第40話  神堕ち愛宕の陣地

僕らは隠れ蓑を弁天から受け取った。タクヤが「弁天ちゃん、ありがとう。」

隠れ蓑に頬ずり。ミユが「タクヤキモい。」

隠れ蓑。これは天上界ではとてもポピュラーなアイテムだ。天上界では使用しないが、人間界より助けのサインがあると人間界の人間に貸し出す。名前の通りこの隠れ蓑を着ると人間界では周りから見えなくなる。着る結界のようなものだ。ただし天上界の大鏡からは丸見えだ。僕も良く大鏡から隠れ蓑を着て行動している人間を眺めていた。神様道具の一つだ。

でもこんなにたくさんの隠れ蓑を用意できるとはさすが弁天だ。相変わらず顔が広い。キリが「賀茂君、愛宕の居場所は知っているの?」

「もちろんさ。さっき話したように式神が教えてくれる。3丁目の下の宮さんの石段を上がったところに白いおしゃれなコンクリート打ちっぱなしの家がある。そこに愛宕はいる。」

レンが「場所はわかったし、みんなで突撃すれば愛宕も観念するさ。」

サラも「そうね、人数も8対1じゃ全然勝ちね。」

僕は「そうかな。人数だけじゃ勝てないよ。愛宕は元神様。それも負のエネルギーの中で生きている。確かに人間界は天上界と違って負のエネルギーがどこかしこにも落ちている。愛宕も満ち足りているはずさ。と言うことは今、愛宕の力はかなり強いはず。それに愛宕は生きた人間から火にともす、紙や木のエネルギーを直接、接種している。人間の命を食べている。正しい清い心で行かないと。心の隙間の悪が、負が、少しでもあれば愛宕は侵入してくる。みんな気をつけるように。形のない負の感情は誰もが持っている。形が無い分、わかりにくい。」

ミユが「トダ、説教のような説明はいいから、早く雨乞い祭の盃を取り戻しに行こうよ。」

「そうだな。みんな準備はいいか?」サラが「おーう!」気合いを入れた。

僕らは3丁目迄普通に歩いた。ここから10分もかからない。近い場所だ。

着いた。下の宮さん。石段を登ろうとレンが足をかけようとした瞬間、

賀茂君が「レン待った。もう見られている。」式神が賀茂君に知らせる。

僕も、弁天、サラも気づいた。「誰かに見られている。」

弁天が指示「石段上る前にみんな隠れ蓑を着て。」そして僕らは姿を消し、石段を登り始めた。

僕は冷たいコンクリ―トの家の中からじーっと僕らの行動を見ている”目”があることに気づいた。そして僕らが隠れ蓑を着た瞬間からその”目”が怒り、鬼の目に変わったのが見えた。

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