第83話  魔物の正体 ミユ・石丸

僕らの前に1匹の鹿が飛んで出てきた。

ミユが「可愛い、綺麗な毛並。」

なでなで。手が透けて、できない。

「ガプリ」手をかまれる。「痛い!えっ?手が透けてるのになんで噛まれるの?」

僕は笑った。

「マンガみたいだ。」

石丸が「笑いごとじゃないわよ。トダ笑っていないで早く手当して。」

「ごめんごめん。」「治癒しなくても大丈夫だと思うけど。」「トダ、早く!」僕は治癒力の光をあてた。

「どう?ミユ痛くはないかい?」

「ぜんぜん痛くない。ありがとうトダ。」

「どう致しまして。」

声が聞こえる。

”彼女達は大丈夫だ。“

僕の髪が光る。

「君達2人にはこの森の魔物と試練について、クリアしたようだ。塔までまっすぐだ。話ながら行こう。」

石丸が「どういうこと?」

ミユが「早く話して。」

「さっき話したようにこの森では、口にした言葉が魔物になる。すべて幻だ。ケガをしても本当は痛くないはずだ。」「えっ?痛かったわよ。」

「そう思い込んでいるからさ。話を続けるよ。

人間界の人間は基本見えないものに恐怖を覚える。先入観もその類だ。実際には無害にも関わらずだ。この習性は太古の昔から変わらない。

僕も天上界の教科書で習った。しかし、ここに来て実際体験して実感している。人間は面白い。」

ミユが「なんだか、トダ私達のこと実験?試していない?」

「そんなことは、ないと思うよ。それにこれは、僕だけど僕じゃない。はじまりの神様の七色髪のトダが造った世界だ。

「トダの言ってることよくわかんない!」

石丸が「トダ時々変なこと言うよね。愛宕君と同じ神様なのに違う。なんだかとてもおじさんの神様といる感じ。」

ミユも大きく頷く。

僕は「それは少しショックだな。これでも人間界では高校2年生。若いぞ。」

「そうね、見た目はそこそこ悪くはないけど、雰囲気というか、感じが、年上って感じ。私も年上のえべっさんと話すからわかる。トダはおじさんだったりして。」

『そうだよ。』声がする。

「そうなんだ。やっぱり。」

「えっ、僕は何も言ってないよ。」

「神様は嘘ついちゃいけないんだよ。」

ミユが、からかう。そうだ、僕は嘘をついたことがない。そんなこと気にしたことはなかった。

「ところで石丸は愛宕のことが好きなのか?」「ちがう。」

「えっ?どうして嘘をつくの?君が愛宕を好きって君の君が僕に言ってるよ。」

ミユが「恋はそっとしておくものよ。」

「そうなのか。人間を理解するのは難しいな。」

僕らは塔に着いた。

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