第85話 魔物の正体 タクヤ・賀茂
タクヤは疲れているのか黙って歩いている。賀茂君は存在しない人間の自分の手で歩きながら、木の小枝を掴み、実際には掴めない苛立ちを感じながら歩いてる。
“サラ大丈夫?弁天達もそろそろ着くようだ。”
“まだまだ時間がかかりそう。”
“大丈夫だ。ゆっくりでいい。サラのペースで。
無理はいけないよ。”
“ありがとうトダ。”
「トダ、本当の大神様みたい。」
さっきまで見えていた塔の青い屋根が見えない。
サラが「塔までまだかな。」
タクヤが「まだだと思うよ。」
賀茂は存在しない自分に苛立ち、疲れと感情がピークのようだ。
サラが「賀茂、イライラ、大丈夫?」
賀茂は「大丈夫じゃない。何も掴めない。苛立ちを感じる。式神も使えない。この境界線はなんだ。神様だけが存在できる。なんて不公平な場所だ。」
タクヤが「賀茂、サラにあたるな。」
「君に言われる筋合いはない。ほっといてくれ。それに前から僕は君のその女子びいきが許せない。僕は弁天のことは本気だ。君に負けるつもりも譲るつもりもない。」
サラが「えっ!弁天のこと好きなのはわかるけど急にケンカしない。ケンカしてもしょうがないよ。」
タクヤが「そうだな。」
賀茂が「じゃあ、勝負だ。」
タクヤも「よし勝負だ。」次の瞬間、
目の前にウサギが。サラが「ウサギ。」しかし、ウサギの後ろには、何十匹、何百匹のウサギが前足を二本立てて攻撃態勢でこちらを見ている。タクヤが「だめだ、逃げろ。」1匹のウサギが振り向く。一斉に他のウサギがこちらに跳ねて向かってくる。「わー!」タクヤも賀茂もサラも前を向いて走った。とまったらかまれてる。消滅してしまう。逃げなきゃ。本能で”逃げろ”の声が聞こえた。3人は全速力では走る。ウサギはピョンピョン飛び掛かってくる。タクヤが倒れる。ウサギの大群が。賀茂が気づき手を伸ばす。手をつないだ。しっかり握り返した次の瞬間、ジャンプしたウサギの群れが倒れたタイヤと賀茂の上に覆いかぶった。サラ叫ぶ。「助けて―。」時間が止まった。
ウサギは空中で止まっている。手を引き上げタクヤが「ありがとう。賀茂助かった。」「いや、問題ない。」
タクヤが「サラこの時間の停止は?サラの力。」「そう、神様サラの力。」
「すごいな。」
「でもね、正直言うとここの魔物は存在するけど。人間には幻なの。」
賀茂が「幻に必死になったんだな。僕らは神様に遊ばれているのか?」
ウサギに追われて走ったせいか、塔に着いた。
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