第86話 青い屋根の塔
サラ達が最後に塔に着いた。
「誰も欠けることなく、みんな揃ったようで嬉しいよ。」
トダの言葉にみんな安心する。
「ここ天上界との境界線では人間界の人間は存在できない。さっき遠くで聞こえたが賀茂君の言葉通りここは不公平な場所だ。人間にとってはアウェー。不安定な場所だ。自分自身が実体化していないことに苛立つ、不安もあると思う。だからといって、この境界線に来た意味は必ずある。この状況を我慢と言う言葉は好きではない。我慢ではなく。倒そう。変えよう。みんなで苦境の中”あの方”を捕まえよう。
それにみんなはもう、自分で造った、言葉した魔物を倒してきた。そうだろう。実績がある。できる。達成感がある。その感情を大事にこれから塔の中の入っていこう。」
賀茂君が「そうだな、この境界線では式神も使えず、森の小さな枝さえもつかめず、折れず、イライラしていた。人間界では子供でも折れる枝なのに。もやもやしていた。そこに魔物が。タクヤとサラと協力して魔物をかいくぐってきた。そうだな。不安定な場所だが大丈夫だ。敵だが仲間もいる。」
ミユが「敵って?」
賀茂君が「仲間だけどタクヤは敵だ。恋のライバル。僕は弁天が好きだー!」
タクヤも負けじと「弁天ちゃん。こんな、式神使いの陰陽師より心の読めるやさしい僕の方が断然いいよね。ねえ、弁天ちゃん。ねえ、ねえ。」
弁天の顔が引きつる。
ミユが「あ、そういうこと。聞いて損した。トダ、この2人おいて早く行こう。」
「えっーーー」2人がハモる。
塔の扉の前で僕は立ち止まり石丸ミカを見た。そしてみんなに「これから塔に入る。この中には僕らが探している、君たち人間界を混乱させて”あの方”がいる。気を引きしてめていこう。たとえ相手が神様であっても僕らは僕らの力を信じよう。
これは単なる言葉だが究極に力が欲しい時は”自分で自身の名前”を呼べばいい。自分が自分に力をくれる。
ミユが「簡単そう。でも私はトダを呼ぶわ。私より強いもの。」
「ミユ、僕の名前を呼んでくれるのはうれしいけど、究極の力は他の人の名前に宿らない。自分の名前だけだ。」
そして僕は声に出さず、人間が自身の名前を呼んだ究極の力の中に僕いる。それが神様トダさ。
ミユが残念そうに「そうなの。でも私はトダが好き。結婚相手はキリって言ったけど、私、トダが好きだからね。」
レンが「ミユ、お前も告白かよ。熱いね。高校生。」
僕は苦笑した。
「行くぞ。」扉をひらいた。
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