第32話 ミユ宅とえべっさん

ミユが「トダ、数学教えてあげるよ。」

以外だった。キリならわかるが、

ギャル系のミユが。

キリが「ミユはこう見えて、数学だけは学年トップよ。」

サラが「実は私もちょっと苦手で。ミユお願い。」

僕は「ミユ、数学教えてください。お願いします。」

「トダ、いいよ。3年生までの数学もう習得済みだし。」

「すごいな。」

レンとタクヤも「僕らもお願いミユちゃん。」

「はい、はい。」

「じゃ早速、放課後、自宅へどうぞ。」

勉強なのにみんなテンションが高い。

委員会があるキリ以外4人はミユ宅へ。

途中、横断歩道で大きな荷物のおじさんが横に立っていた。頭の中に“重い手がちぎれそうだ。握力が若い頃に比べてなくなったか。情け無い。“

「手伝いましょうか」

おじさんは「ありがとう。」そう言って重そうなカバンを僕に渡し、横断歩道を渡りきった。

「ドーン。」僕の肩に丸太郎が

「トダ、人間の心の声が聞こえるようになったんだな。進化しているぞ。よしよし。」

珍しく褒める。

が、「丸太郎どこに行っていたんだ。大変だったんだぞ。八幡先生の下僕になったり。」

「えー、トダお前、八幡の下僕になったのか?」

「いやまだだ。しかし、数学赤点とったら、下僕になるらしい。僕が返事したから。」

「弁天は?はいなかったのか?」

「いたんけど、先に返事しちゃって。」

「ほんと、トダはまぬけだな。それに陰陽師に心配されるとは?」

丸太郎は僕のポケットの式神を見た。

「ポコン。」

「いたい!」大声をだしてしまった。

みんなが、

「わー、丸太郎だあ。」

ミユが「可愛い。初めまして。白くて丸くて手毬みたい。丸ちゃんも家へどうぞ。」

ミユの家は豪邸だった。白い土壁がずーっとつづいてる。玄関前で長い。庭を見る。池に鯉。その奥に祠?恵比寿様?

僕は立ち止まる。

ミユが「トダ、気になる?あれは”えべっさん”私の友達。ほら、見ての通り私お金持ちの一人っ子でしょう。親は会社のことでいっぱい。小さい頃はえべっさんに遊んでもらっていたの。えべっさんは算数が得意。で今の私が天才的に数学できるのは彼のおかげ。」

「へーえ、そうなんだ。僕も彼と友達になりたいなあ。」

サラ、レン、タクヤも大声で「えべっさん、友達になってください。」叫んだ。ピカーンっと祠が光った気がした。

丸太郎もチラリと見た。

「行くわよ。早く勉強しなきゃ。でしょう。」ミユが少しお姉さんに見えた。

「みんな、早く早く。」

「お邪魔しまーす。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る