第14話 僕は次神・ジキガミ
「ヒイラギさん、サラに話すいい機会じゃないですか?」
弁天がサラを見て
「サラも知りたいでしょう?
天野家のヒ・ミ・ツ。」
サラが「でも私、弁天をここに住んでいいって認めたわけじゃないからね。」
おばあさんが「じゃあ、話すことにしようかね。トダ君も記憶喪失のままだけど、ちゃんと聞いてね。」
「はい。」
僕らは、おばあさんを囲んだ。
「まずは弁天、トダ君、君たちは神様よね。」
弁天が「はい。正式には神様学校の卒業前だから天上界では次神・ジキガミと呼ばれています。」
「そう、そうだったわね。この時期は体力テスト、運動会かしらね。」
弁天が「はい。そうです。その途中でトダは、玉転がし中、追いかけてどうやら人間界に落ちたようです。トダ覚えてる?」
弁天は僕のポケットの鈴を鳴らした。
音と共に頭の中の白い靄が切れた。
「思い出した。そうだ。僕は次神3回生。卒業試験。運動会。僕は玉を追いかけて落下したんだ。」
おばあさんが「トダ君、思い出してよかったね。でもその弁天の鈴の力は長くは続かないのよ。気をつけて。次神の力は、鈴が鳴った瞬間とあの部屋だけ。それ以外では君はただの人間だよ。」
僕は「はい。わかりました。
僅かな時間でも記憶と天上界の次神の力が使えれば、大丈夫です。」
弁天が嬉しいそうに僕に抱きつく。
「トダ、よかったね。」
サラの目が僕をにらむ。
“えっ?僕何かした?“
サラが「じゃあ2人は神様?ってこと?
信じられない。」
おばあさんは「サラ、そうだよね。突然神様だなんて。でもよく聞いてサラ、私達、天野家も神様の一族だよ。」
サラが「えー!そうなのー!」
弁天が「サラ、本当に何も知らないんだね。
ヒイラギさんは神様学校の学長の娘さんだよ。天上界と人間界どちらも行き来できて、悪いヤカラが天上界に入らないようにセキュリティも兼ねて人間界で門番をされている。由緒正しき神様。ヒイラギ様だよ。」
サラの顔がひきつる。「えっ?」
弁天が「トダ、氷川が言ってなかった?卒業試験には歴史も出るって。」
氷川が言っていたのは覚えてる。
正直僕は去年まではトップの成績。優等生だった。しかし3回生になってから卒業が怖くなっていた。“卒業したくない”僕の心が揺らぎを起こし学びを拒んでいた。
「そうよね。神様になるのは怖いわよね。
トダ君、きみは優しく、真面目な次神だね。」
「そうよね。」
「そうかも。」
皆んなに心を読まれた。
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