第6話 トダ流れにのる
「トダ、お風呂沸いたわよ。君が最後だから掃除ヨロシク。あっ、そうそう明日の朝は7時半には家を出て学校行くからね。寝坊しないでよ。じゃ。」早く口で言いたいことだけ、僕に伝えてサラは自分の部屋に行った。楽しそうだが、少し疲れているようだ。きっとそのままバタンと寝そうだな。心配ないな。「そうね。」
「あー、びっくりした。おばあさんさんですか。驚かさせないでくださいよ。」僕は振り返り、おばあさんを見た。おばあさんさんは、またニヤリとして
「寝ることは大事よね。それにあの子なら寝たら翌朝、元気になっているはずよ。」
「そうですか。よかったです。」
「ところでトダ君、お風呂の前にお茶でもどう?」
「はい。頂きます。」おばあさんさんは良い香りのお茶を僕に出してくれた。緑茶の良い香りが木の温もりのある部屋を満たす。「どうぞ。」白地に藍色の柄、これまた良い湯呑みだ。緑が映える。僕は一口、「美味しい。」二口、懐かしい香りだ。良いお茶だ。
「おばあさん、このお茶美味しいですね。」「私のお気に入りのお茶でね。ホシノムラのものだよ。」「ホシノムラ?」
「ところでトダ君、何か思い出したかい?」
「残念ながら、はっきりとはまだですね。確か運動会で玉転がしをしていて、どこか高いところか落ちたような?思い出そうとすると靄が出て、うまく思い出せません。でもあのベンチでおばあさんと会ったのは、はっきり覚えています。」
「なんだ、バレていたんだね。」
「そうですよ。ふふふって、急に消えてるからびっくりしましたよ。」
「そうだったのね。驚かす気はなかったんだけどね。」僕は時計に目をやった。22時。
「おばあさん、時間も遅いのでお風呂に入って寝ることにします。」
「そうね。付き合わせて悪かったね。」
「いいえ、こちらこそ全くの他人の僕を家に入れて頂き感謝しています。それに学校まで。」
「トダ君、気にしなくていいのよ。困った時はお互い様。」そしておばあさんは小声で「人は大昔から神様に頼って願いごとをするばかり。たまには逆でもね。」僕はおばあさんさんの声が聞き取れず「えっ?何か言いました?」おばあさんはニヤリとして「何も。」
「お休みなさい。」おばあさんは部屋へ。
僕はお風呂を上がって「サッパリ気持ちがいい。」
玄関横の和室の部屋のドアをガラガラ。足を一歩踏み入れた。瞬間、空気が変わった。
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