第65話 時越え鳥と2冊目の妖精の本
僕は時計を見た。23:58。僕は2冊目の妖精の本に手を伸ばした。
時越え鳥の本は予想外だった。高貴な存在の鳥かと思っていたが期待を大きく外れ現在の男子高校生ぽくてあまりにも人間ぽく俗世間のいきものだった。
頭の中は混乱する。たぶん、僕ら神様も人間も期待と想像していたものと大きく違っていた時の驚きとリアクションはきっと同じだ。今、僕は実感している。チリン鈴の音?脳内に声。『ばーか。トダ君。勝手に俺様のイメージをつくって、勝手にがっかりして。お前は失礼な神様候補生だな。自分勝手な考えでは、本当の神様になるのは程遠い。少しは七色髪のはじまりの神様トダを見習え。あいつの脳内は自由だ。なんでも受け入れる。そして考える。相手がある時は初めに壁や先入観、自分の価値観で見てはいけない。”同じものなど、天上界も人間界もない。個々すべて違う。
”なんてね。ちっと決め台詞をいってしまった。トダ君、僕は誰でしょう?』
『君は時越え鳥だな。』
『あたりです。トダ君。良くわかりましたね。』『当たり前じゃないか、僕は君の本を読んでいた。君が本当の時越え鳥なら僕と接触するのは当たり前じゃないか。』
『トダ君、やっぱり君は傲慢ですね。また自分が思ったことを相手がするって思っている。』
『時越え鳥、それは違うな。だってこの本の最後にこう書いてあるよ。”僕と会いたい方はいつでもいいですよ。呼んでくださいって。』
『えっー!そんなこと書いてたっけ?50億年前に書いた本だ。忘れてるよ。』
この本ははじまりのトダでななくお前が書いたんだな。
『自分が書いた本には責任を持ってください。だが違和感がある。50億年前には漫画もゲームもポテチもないと思うけど?』
『あー、その本ね。リアルタイムで更新している本だ。人間界の携帯のブログの更新みたいな感じさ。それに表紙にAの文字がかかれている。それはオートマックに自動更新される本の識別番号さ。もう一冊、君は妖精の本を持っているよね。それにはFつまり完結の本だ。だめだなトダ君、そんなんじゃ神様候補の卒業試験落ちちゃうよ。』
『確かに僕の勉強不足だ。天上界のルールはまだ覚えきれていない。僕らは遠距離で脳内会話しているけどこれからこの部屋に来ないか?悪い妖精のことが知りたい。』
『今は無理。深夜は海外チームとのゲーム対戦開始。それにまずはトダ君、妖精の本を読んから僕に会った方がいいかもね。じゃ。』
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