第116話  表紙A 七色髪の神様トダ

落ちた本を手にした。

タイトルは 『七色髪のはじまりの神様トダ』

ストレート過ぎるタイトルになぜか、ニヤっとしてしまった。表紙はA。自動更新される本だ。七色髪のトダは50億年前のはじまりの神様だ。種別Aってことは、当たり前だが50億年経っても今のこの時代に影響力があるのか。

七色髪のはじまりの神様トダ。凄すぎる。

僕は本をパラパラとめくった。

目次、僕の名前があった。

“第二章トダ現る“

少し読み進めた。『私はこのはじまりの神様の

七色髪の力をトダに継承した。

お守り役に風神。』

「丸太郎のことか?」僕はその本を司書のイセさんに黙って持って来てしまった。

悪いことをした。

午後の授業は頭に入らない。

終了の鐘が鳴る。

氷川が何か言ったが、「悪い、急ぐ。」

僕はダッシュで教室を出た。

本を読みたくてしょうがない。

久々の強い衝動だ。人間界での出来事や大人の神様達との戦いも結構衝撃的な出来事だったが、正直どこか他人事だった。

ただこの本は、自分について書かれている。

主人公は自分だ。自分宛の本、ワクワクしないわけはない。

僕は寮の部屋に急いだ。ベッドにゴロリ、本を広げた。人間界のヒイラギさんの部屋の畳をふっと思い出してしまった。

「ここは、硬くない。ふかふかだ。」

本を読み出す。

『七色髪の力を継承するもの。私は彼を選んだ。私と同じトダを名乗る。その時は突然現れる。天上界人から人間界に落ちてしまう。

いや、落とした。やがて人間界の普通の高校生として生活。人間と神様の違い。人間にも多種多様な考えがある。人間だけで完結するもの。

神様と交わろうとするもの。神様を否定するもの。神様側も同じく、多種多様だ。

七色髪のはじまりの神、私の力はどこにも属さない。自由だ。私は、はじまりの神、無だ。

トダは・・・それとも

「ははは。」突然、本から声が。

顔がヌウーっと出て来た。七色髪のトダだ。

「驚かせないでください。」

「すまない。トダの顔がコロコロ変わるから、楽しくて仕方なかった。

しかしトダ、いくら自分の事が書かれた本だからと、保管番号がない本を持って来るのは、まずいな。天上界の時空空間に制御をおどこし、番号付与し管理している。今頃、司書のイセは大慌てだぞ。」

「ごめんさい。イセさんには誤ります。」

七色髪のトダが「制御番号が無しという事は、自由にこの時代に実体を動かせる。

トダ、返すのは待て。ここで少し遊びたくなった。」

七色髪のトダは本から出てきた。

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