後書き
ありがとうございました
去年10月末から約半年間、114話に渡って連載してきた当作品も、おかげさまで完結となりました。
この作品は約20年前に終盤まで書いたものの完結には至らず、頭の中で眠ったままになっていたお話でした。
いつか完結させられたらいいなと思い、今まで何度となく試作を繰り返してきましたが、なかなか上手くいかず、気が付けば20年もの歳月が流れていました。
今回連載にあたって、『絶対完結』を目標に掲げ、1話の文字数を少なくし、無理なく執筆できるようにしました。
そのせいで書き切れなかったセリフやシーンも色々あるのですが、この短い尺でなければ完結はやはり難しかっただろうなと感じることもあったので、これが私の実力だったのだと思います。
カクヨムの連載では多くの方に作品を読んでいただき、とても嬉しく日々励みになっていました。
自分の書いたものを誰かが受け取ってくださるというのは、書き手にとって至上の喜びだと改めて感じました。
思春期の少年少女達の日常を描くという、何の捻りもない物語だったのですが、こんなに多くの方に読んでいただけて光栄に思います。
半年間、ありがとうございました。
*
中学3年生というのは、自分の将来と本格的に向き合う年頃だと思います。
一番多感な時期に、主人公のシャルルはポート街の空気に触れ、女詩人や帽子の男、カムリとの交流を通し、先の見えない自身の将来をゆっくり熟考して、おぼろげながら指針を見つけたと思います。
シャルルは正義感の強い少年として描きましたが、一方で自分の人生にあまり興味がなく、他者との交流がないと高みを目指せないという欠点もありました。
また、実弟のサクシードとはついに和解することができず、今後の人生の課題として残ってしまいました。
そんなシャルルにとってやはりポート街はこれからも特別な場所であり、心の拠り所であり続けるのだと思います。
貧しい中でも学業に励むパル、尊敬する人と別れながらも成長を続けようとするアイシス、頑なだった心を開いて孤独から抜け出したダリア、先輩として頼もしい背中を見せてくれたセルシオ、道を外しながらも軌道修正をはかろうとするサクシード。みんなこれからも一生懸命頑張っていくことと思います。
そしてその姿を、トムじいさんをはじめ、周りの大人達がずっと見守ってくれるはずです。
みんなの成長を祈りながら、作品も終幕といたします。
ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
スエテナター
2024年4月29日
スウィルビンの風の歌 スエテナター @suetenata
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