第49話 胸騒ぎ
同じ頃、シャルルもまた妙な胸騒ぎを感じていた。第六感が働くたちでもないし展開を先読みして深く考え込むたちでもないので、普段は楽天的な気持ちでいることが多いが、今朝は不思議と胸がざわざわした。あまり感じたことのない動揺だった。
シャルルはもやもやした気持ちを振り払えないまま家を出た。学園区の入り口でレオやリリハと合流し、三人で学校へ向かう。
「ねぇ、学力コンテスト、シャルルは何位かな」
リリハは興味深げにシャルルの顔を見た。
「さぁ、何位かな。難しかったから上位は無理だろうな」
「自信ないの?」
「ないよ。適当に答えたものもあるから」
シャルルがそう言うと、レオが意外そうに目を丸くした。
「何だ、シャルルにもそういうことってあるんだな。俺と一緒じゃん」
シャルルは笑った。
「そうだよ。俺もあんまり勉強は得意じゃない」
シャルルのその言葉を聞き、レオは急に真面目な顔になった。
「まさか俺に教えてくれた勉強も適当だったんじゃ……。今回俺の成績が悪かったのもそのせい……」
「いや、それはない。ちゃんと教えたから。レオの成績が悪いのは俺のせいじゃないからね」
シャルルがからかい交じりにそう言うと、レオも負けじと小さくちっと舌を打った。
「上手い言い訳だと思ったのにな」
「残念だったね」
そんな会話をしながら登校した。
三人で話している間は気が紛れたが、学校へ着いても胸騒ぎは続いた。
シャルルは席に着いた後、後席のリリハに訊ねた。
「ねぇ、リリハ。俺、今日は朝から胸騒ぎがするんだけど、リリハはそんなことない?」
リリハは少し考えてから首を左右に振った。
「私はそんなことないわよ。結果発表の前だから緊張してるんじゃない?」
「そうかな。俺、結果なんてあまり気にしてないんだけど」
「うーん……。シャルルが胸騒ぎを覚えるなんて珍しいことだけど……。何も起きなければいいね」
リリハにそう言われ、シャルルは頷いた。
結果発表はこのすぐ後、朝一の全校集会で行われることになっていた。
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