第39話 奮闘
途中で食事休憩なども挟みつつ、二人は夜更けまで黙々と作業を続けた。ノートを書き始めてから何時間経っただろうか。夜中の二時になったところでセルシオが手を止めた。
「シャルル、私達も少し休もう。明日も学校があるし、少し寝ておかないと体が持たない」
集中力が切れると一気に疲労に襲われた。二人は揃って欠伸をしながら簡単に寝支度を整えた。セルシオは自分のベッドがすぐそばにあるが、シャルルに遠慮して、部屋に二つあるソファーのうちの一つに横になった。シャルルももう一つのソファーに横になり、二人は毛布に包まって朝まで眠った。
結局ノートの纏めは途中までしか進まなかったので、シャルルは自分の受け持った教科のノートを一旦引き取り、夕方に持ってくる約束をした。
シャルルの分の朝食も用意するとセルシオが言ってくれたが、早めに帰って登校の準備を整えたかったので丁重に断った。
コーレル家に帰る際にはサクレット家の執事が付き添ってくれ、一晩の成り行きを改めて説明してくれた。
シャルルはシャワーや着替えを手早く済ませると、朝食を摂って学校へ出掛けた。
セルシオが止めてくれなければあのまま一睡もせずにノートを書き続けていただろう。それではやっていることがダリアと同じだし、体力に自信があっても試験前の大事な時期に体調を崩しかねない。適切なところで止めてもらえてよかったとありがたく思った。
今日もレオやリリハと放課後勉強会をする予定だったが、二人に事情を説明し、すぐに帰れるようにした。
「シャルルがいないなら俺達も今日は勉強会やめよう」
レオが目を輝かせながら言うと、リリハは頬を膨らませた。
「何言ってるのよ。シャルルがいない分、私がみっちり教えてあげるから覚悟してね」
レオは「ええ……」と漏らしながら露骨に顔を歪めた。
明日は必ず勉強会に参加する約束をして、シャルルは一足先に帰った。明るい夕空の下を一人で歩いていると、気心知れた友人と一緒に過ごせない寂しさが募った。
家に帰ると昨晩のノートを広げ、纏めの続きをした。休み時間も作業を進めていたのであと一息だった。
一時間ほどで纏めを終え、シャルルは約束通りノートを持ってサクレット家へ向かった。
夕空は西へ去っていき、頭上には青い星空が広がっていた。
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