『青春ブタ野郎』で考えるラブコメ構造

 青春ブタ野郎を知らない方はごめんね。

 ただ、作品の内容説明は面倒なので……。


 割愛させてください。

 今回は語る内容が多すぎるんだよ。


 許してください(´;ω;`)


 詳しく知りたいって方は……。

 原作1巻を読んでください。

 アニメ版では説明不足な点が多すぎます。


 なので、原作1巻を読んでくださいッ!!


 今回は超絶役立つ内容ですッ!!!!


 では、早速解説へと移りますね( ̄▽ ̄)


◇◆◇◆◇◆


 あらすじは説明しません。

 もう皆様は全部学習済みということで。


 私はお話を進めさせていただきます。


 あまり大きな声では言えませんが……。


 Wikip⚫︎diaで調べれば……。


 第1巻の概略を最後まで把握できます。

 400文字に満たない文章なので読んでくれ。

 最低限の情報がないと、楽しめないから。


 新人賞を出すのに概略が必要でしょ?

 最初から最後まで全部説明するの。

 あの参考にもなるほど纏まってます。


 なので、一読して損はないと思います。


【ラブコメ作品に必要なことは何か??】


 その答えは——。


 ヒーローとヒロインの関係性です。

 これだけは絶対に確信があります。


 この二人の関係性が面白いほど……。


 物語は面白くなります。間違いないッ!!


 では、青ブタのヒーローとヒロインは??


『梓川咲太』と『桜島麻衣』ですね。


 二人の関係性を一言で説明すると。


 秘密の共有をしている間柄でございます。

 

 これを身近な表現で示すと。


『医者』と『患者』の関係に近いです。


 これをもう少し抽象的に表現すると。


『悩みを解決する者』と『悩みを抱える者』


【この秘密の共有とは一体何か??】


 キャラとキャラを結ぶには何かが必要です。

 この何かが物語の中心部分に当たる。

 他作品との差異点を作る上で一番大事ッ!


(例)


 ドラえもんとのび太では、ひみつ道具

 悟空とベジータでは、バトル(戦闘)

 ライトとLでは、デスノート


◇◆◇◆◇◆


 では、青春ブタ野郎では何が二人を結ぶ?


『思春期症候群』でございます。


 思春期症候群とは——。


 悩める少年少女が発症する青春の病。

 分かりやすく説明してしまえば——。


 少年少女が抱える悩みが具現化したもの。

 言わば。

 心に抱える問題が具現化し、現実世界に影響を与えてしまうモノへ変貌するのです。


 今作の第1巻では——。


 桜島麻衣の姿が他人から認知されない。

 しかし、梓川咲太だけは認知できる。


『梓川咲太』と『桜島麻衣』→思春期症候群


【桜島麻衣はなぜ思春期症候群を発症したのか?】


 芸能活動を休止中の超有名人の桜島麻衣に関わることを、誰もが避けていた。

 また、子供の頃から注目を浴びていたので、誰もが自分を知らない世界への渇望。


 この二つも想定することができますが。


 私が注目した点は——。


 自分がやりたいことができないこと。

 言わば、芸能活動ができないことです。


 桜島麻衣が芸能活動から退いた理由。


 それは芸能会社の社長。


 つまり——。


 桜島麻衣の母親との諍いが原因でした。

 しかし、第1巻を読む限りでは、母親との諍いはただの設定であり、物語には関係ない。


(普通の作品ならば、母親との和解が問題解決になると思われがちですが……今作は違います。この部分は、物凄く考えられてます)


【では、なぜ『思春期症候群』なのか??】


 原作者の鴨志田一先生は過去に『さくら荘のペットな彼女』を書いています。


 さくら荘のお話を簡単に説明すると。


 青春ラブコメです。

 特殊な力や不思議な力は何もありません。

 そんな日常で書き綴る学園ドラマ作品。


 超絶実力者なわけです。

 そんな先生ならば、思春期症候群という設定を使わずにでも、物語を紡げるはずです。


 実際問題。


 第1巻部分では必ず必要とは感じられませんでした。物語を面白くする仕掛けだが、他の方法でも十分面白くできる気がしました。


 例を出せば。


『俺ガイル』や『スケダン』みたいに……。


 駆け込み寺みたいな場所があればいい。

 そこで、ヒロインが問題を打ち明ける。

 これで主人公が問題解決を導いていくと。

 そうすれば、物語としては成立します。


(芸能人の桜島麻衣が駆け込み寺みたいな部活動へ相談しに行く可能性はゼロに近いですが……何か理由を付ければ書けそうです)


 それにも関わらず、なぜ選んだのか??


◇◆◇◆◇◆


 思春期症候群とは、ギミックなんですよ。

 舞台装置なんです。

 日常と非日常を繋げる舞台装置なんです。


(例)


 物語シリーズの『怪異』

 涼宮ハルヒの『ハルヒ』


 第1巻部分だけならば。


 思春期症候群は絶対条件ではありません。

 ただ、シリーズ化を狙うと——。


 どうしても物語のギミックが必要ですッ!


 というか、二人の関係性を強固にする何かが必要だったわけです。それも強烈な!!


 梓川咲太と桜島麻衣

 この二人を繋げるのがただの『駆け込み寺』だったのならば、それは話にならない。


 名探偵コナンは駆け込み寺構成。

 探偵と依頼人の関係です。

 だから、事件さえ解決すれば終わりです。


(蘭ちゃんがいるのでヒロインが要らない)


 しか〜し。


 ラブコメ作品。それも第1巻でございます。


『悩みを解消する者』と『悩みを抱える者』


 この関係性が解消されれば物語は終わり。


 駆け込み寺設定ならば……。


 平凡な男子高校生と超有名人の大女優


 この関係性に戻るだけですから。

 今後二人が近付く可能性は厳しいです。

 ましてや、彼氏彼女になったとしても……。

 違う世界で生きる二人のお話が中心に。


 皆様大好きなジャンプ漫画の『アイズ』と同じような関係性になり、もどかしいだけ。


 メタ的な意味でも、今後ヒロインが抱える問題は『芸能界活動』がメインになるはず。

 しかし、駆け込み寺設定の範疇では、解決が滅茶苦茶難しくなるわけですし。


 というわけで。


 思春期症候群設定を追加したと思ってる。


 この設定を追加した理由は——。


 日常内に非日常を作り出すこと。

 言わば、知覚できる非日常の創造です。


 化物語では、重し蟹を知覚できました。

 ハルヒでは、閉鎖空間に閉じ込められる。


◇◆◇◆◇◆


【思春期症候群の役割は仮想敵の具現化】


 バトル漫画では敵の存在が大きいです。

 この敵が巨大で強ければ強いほど燃える。


 正直な話。


 明確な敵が存在する作品は書くのが楽。


 しかし。


 現実世界の作品。

 特にラブコメでは敵は基本出てこない。

 下手な作家が書くと——。


 見るからに鬼畜なヤバい奴を出します。


 前科十犯の大量殺人鬼

 虐待大好きなヒロインの両親

 性的な行為を強要する最低なクズ男


(バトル漫画ではいいんだけどなぁ〜)


 という敵がいれば……容赦無く殴りたい。

 ただし、そんなキャラは世界観を壊すし、見てて良い気分にはなれません。


 きらら枠の萌え漫画に上記設定のヤバい敵が出てきたら……私は投げ捨てると思うよ。


 というわけで、仮想敵を出すわけです。


◇◆◇◆◇◆


【仮想敵は、主人公がぶち壊す存在】


 思春期症候群はね、仮想敵発生装置です。


 でね、この仮想敵出現が——。


 日常と非日常を分けています。

 でな、この手の作品はね——。


 非日常が日常に戻るのが目的なんですよ!


 非日常を解消することで、ヒロインが抱える問題が解決するから。その為に、主人公は尽力するってわけです( ̄▽ ̄)


 ドラえもんで言うところの。

 のび太くんがひみつ道具を乱用する。

 世界が変貌してしまい、元の世界へ戻す。


 この展開に近いかもしれません。


【非日常から日常への帰還は最高のカタルシスを生む】


 非日常から日常に戻る。

 これって簡単にカタルシスを与えられる。

 物語として締まりがあるんだよねぇ〜。


 大長編ドラえもんで大冒険をするじゃん。

 その後、日常へと戻ってくるじゃん。

 それってさ、カタルシスがあるじゃん??


 たったの90分ぐらいの冒険だよ??


 それなのにさ。

 物語が終わったんだなという感動がさ。


 でさ、舞台装置がある物語はさ。


 この大冒険をさ。

 身近な日常内で上手く作ってるんだよね。

 だからさ、物語が終わったあとに……。


 謎の感動が生まれるのよ。


 涼宮ハルヒもさ。

 第1巻の最後で閉鎖空間に飛ばされるよね?

 アレもさ、非日常から日常への帰還なの。


 青春ブタ野郎もさ。

 第1巻の最後で桜島麻衣が消えてしまう。

 で、非日常から日常への帰還を果たすの。


 メディア化した際に、仮想敵は映えます。

 分かりやすい敵があればあるほどに、映像的に見てて楽しいです。

 主人公の心やヒロインの心だけで解決してしまう物語は映像映えしませんからね。


◇◆◇◆◇◆


【総括】


 ラブコメ構造は——。


 ヒーローとヒロインを繋げるものが大事!

 この繋げるものは、共通点でもいいです。

 二人の仲が強固に繋がるものを選ぼうッ!


 シリーズ化を考えると、1巻以降も強固に繋がる何かしらのギミックが必要ですね!!


◇◆◇◆◇◆


『痴漢を撃退したら、惚れられてしまった』


 これだけではギミックが弱いです。

 痴漢撃退は、第1巻部分だけの関係性。

 2巻以降も繋げようと思うのならば……。


 もっと強固なモノが必要です。


 なので、設定を追加させます。


 主人公は生粋のオタク

 ヒロインは超人気コスプレイヤー


 この設定ならば……。


 痴漢撃退後も、多少はマシになります。


「えっ〜!? あの地味少女が超絶人気コスプレイヤーだったのぉぉおおおおおおおお」

「知らずに助けてくれたんですか……」


 しかし、これではまだ足りません。


 コスプレに必要なのは、衣装ですかね??


 ヒロインは格別に胸が大きい女の子

 なので、自分が切れる衣装が少ない。


 主人公はコスプレ衣装職人。

 可愛いモノを作るのが大得意。


 みたいな設定にすれば……。


「俺に作らせてくれないか?」

「えっ……? いいの??」

「あぁ。頼むよ、俺は作りたいんだ!」


 着せ恋読んだことないけど、こんな感じ?


 もし一緒ならごめんなさい( ̄▽ ̄;)


◇◆◇◆◇◆


 今回の解説は難易度が高いと思います。

 出来る限り、分かりやすく説明したつもりです。皆様が付いて来れたか心配です。


 ただ、有益な情報を吐きまくった。

 ラブコメ構造の重要部分を語りました。


 有料にしようかなと思える出来です(笑)


 今後、皆様は作品を読む際は、ヒーローとヒロインが『何』で繋がってるか確認して!


 この部分が明確なモノであればあるほどに、物語は面白くなりますし、個性溢れるものへとなります。なので、チェックだぁ!!


 普段から小説を分析するように読むと、面白さが二倍、三倍と膨れ上がっていきます。


 また、勉強にもなるので、読みましょう!



 今回はラブコメ構造分解でしたが……。


 青春ブタ野郎はね。

 物語構成も面白いほどに計算されてます。


 第1巻の完成度は高いですよ( ̄▽ ̄)


 第一章は化物語の構造と一緒。

 第二章〜第四章は難病感動系の型と一緒。

 第五章は涼宮ハルヒの憂鬱と一緒。

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