日常系ラブコメの終わらせ方
日常系ラブコメを書きたい。
そう思った方は多いかもしれない。
だが、実際に書いてみると、一つの壁にぶち当たる。
日常系ラブコメって、終わらせ方をどうすればいいのかと。
※私が思い描く日常系ラブコメの定義は、一話完結型の連作短編型ラブコメ作品にしてくれ。ストーリー性はあるのだが、一話一話の繋がりが薄い作品とでも思っていて欲しい。
多くの日常系ラブコメは、初登場時から主人公が目標を持っていないことが多々見受けられる。実際の中高生を想像してもらえれば分かるのだが、多くの若者が大きな目標を持っているはずがないのだ。というか、それが当たり前なのである。
それにも関わらず、一つのエンタメ作品として仕上げる為に、日常系ラブコメ作品は、主人公やヒロインに大きな目標を持たせ、無理矢理ドラマ性を生み出しているのだ。
しかし、上記の手法は勧められるものではない。
ドラマ性を最高潮の段階に運ぶ為(最後の終わり方を劇的なものにするため)に、物語の起承転結を組まなければならないからだ。これでは日常系ラブコメではなく、ただの現代ドラマへと変貌してしまう。難しい点である。
かと言って、ダラダラと起承転結がない作品を書くこともできない。
ネット小説として投稿する分には悩む必要はないかもしれない。けれど、新人賞へ応募する為には、何かしらの「終わり」があったほうがいいだろう。この「終わり」とは、物語の山場である。この物語の山場を作る方法を必死に悩み続けた。
で、早五年が経過し、遂に私は一つの最適解に辿り着いた。
というわけで、皆様にもその情報を共有したいと思います。
『主人公もしくはヒロインが一番最悪な状況に陥るである』
日常系ラブコメは厳密な起承転結が存在しない。
あるとしても、形式上のものである。
面白い物語を書いた結果、起承転結が必然的に生まれた。
そう考えるのが最も近しい表現だなと思えてくる。
もう一度言うが、起承転結があるから面白い物語ができたではない。面白い物語を書いた結果、起承転結が生まれたである。なので、皆様はくれぐれも勘違いしないでもらいたい。
それでは、バカでも書ける日常系ラブコメ講座を開きます。
私はストーリー重視の作家である。
つまり、起承転結を組んでから物語を書き始めるタイプだ。
故に、ドラマチックな展開を作りがちである。
「起」で目標を提示して、「承」で目標達成を叶えるために行動を起こさせ、「転」で目標達成の障害を生み出し、「結」で目標が達成されたかされなかったかと書くタイプなのである。
だからこそとでも言うべきか。
私の作品は「起」を読めば、どんな物語なのか分かる。
目標提示がハッキリしているからこそ、先読みしやすいとでも言えるだろう。それだけ分かりやすい作品に仕上げているとでも言えるのかもしれないが、「う〜ん」と頭を悩ませる点でもあったのだ。
実際にさ、桃太郎が鬼を退治できるか、人魚姫が王子様と結ばれるのか、勇者は魔王を倒せるのか、と「起」さえ読んでしまえば、「結」が二択に絞れる作品は多いだろう。
でも、日常系ラブコメは、その例に当てはまらない。
厳密な起承転結を組まなくても、物語を書くことができる。
言い換えるとするのならば——。
主人公が目標を持たなくても、物語を書き上げる方法だ。
「海賊王になる!」「新世界の王になる!」「GFから脱獄する!」「初恋の女の子を必ず見つけ出す!」
などなど、多くの創作論では、主人公には目標が必要だという。だが、日常系ラブコメを書くには、その目標が邪魔だ。
だから、もう目標を書かなくていい。
わざわざ目標を書く必要なんてどこにもなかったのだ。
ただ、物語の第一章には必要なことがある。
日常系ラブコメに必要なのは、主人公の現状説明だ。
主人公が心の奥から「俺は〇〇する!」と決めなくていい。
ただ、主人公の現状説明があればいい。
ただ、それだけなんだよ、真面目な話、リアルガチに。
ではでは、実際に日常系ラブコメの組み方を教えるぞ。
主人公の設定
気弱な男子高校生。
一番嫌なこと「周りの生徒と争い事を起こすこと」
起「主人公の現状説明」
承「主人公の平凡な日常生活を描く」
転「◎周りの生徒と争い事を起こす◎」
結「仲直りしたあとの、元通りの平穏な生活」
元厨二病患者の男子高校生。
一番嫌なこと「元厨二病患者とバレてしまうこと」
起「主人公の現状説明」
承「主人公の平凡な日常生活を描く」
転「元厨二病患者とバレてしまう」
結「バレてしまったあとの、元通りの平穏な生活」
これの亜種としては——。
誰かを助ける為に、主人公が一番嫌な目に遭うもある。
形式上の起承転結はある。
だが、厳密な起承転結ではない。
言わば、仮初の起承転結とでも言うべきかもしれないね。
この思考方法を持っていれば——。
物語の厳密なプロットを組まなくても書けるだろう。
一定量の文字数を書き上げたあとは、「転」へと運ぶ内容を描けばいいだけだからな( ̄▽ ̄)
連作短編形式で書くとすれば。
1話2500〜3000文字で、全20〜25話ぐらい書けばいい。
言うなれば、この手法はドラえもんの最終回に近いな。
ドラえもんとの出会いを描いて。
楽しいドラえもんとの生活を描いて。
そして、急にドラえもんとの別れを描く流れ。
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今回は、個人的な神回です。
充実した内容だったと思ってます。
多分、当時の私が読んだら、全力で泣くと思う。
五年間以上にも及ぶ私の悩みが解決した( ̄▽ ̄)
余談だが。
書籍「物語のつくり方7つのレッスン」では……。
日常系作品は、最も印象深いエピソードを最後に置けと書かれていました。ただ、私としては、それがどうしても納得できなかった。荒唐無稽な連作短編型作品になるなと思いまして。
やっぱり、物語には最初から最後までを串刺しにする何かしらの「要素」が必要だなと思いましてね。でね、私の手法を使えば、それなりの形になるのではと思い至ったわけである。
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