WEB小説は、ドキュメンタリー番組だと気付いた話

 WEB小説を読んでいると……。

 主人公があまりにも不遇な扱いを受ける作品に出会う。

 例を挙げるとすれば————。


・彼女が寝取られる

・大好きな女の子が他の男に取られてしまう

・自分が大好きだった人たちから裏切られてしまった

・「大嫌い!!お前の顔なんて見たくない」と言われてしまう

・変な噂を立てられて、主人公が犯罪者に仕立て上げられる



 上記みたいな作品ってさ、ネット上に転がってるじゃん。

 でさ、私的にはその面白さが全く理解できなかったんだよ。

 勿論、一部の面白い作品があるのも事実なんだけどさ。


 ただね、下手な作家が書くと、ただの悲観的な作品なのよ。

 エンタメ性の欠けらもないただただ胸糞悪いものの完成よ。


 逆に。


 上手い作家が書くと、ただの悲観的な作品ではないのよ。

 そこにエンタメ性があって、しっかりと面白い作品として成立するんだけどさ。


 んでさ。

 実際に小説のコメ欄を見るわけじゃん。

 すると、まぁ〜荒れてるわけよ。

 民度が低い読者で溢れかえっているわけよ。


 尖ってる小説を書くとね、読者も尖ってるの。

 で、その尖った読者に合わせて小説を書くと——。


 まぁ〜一般人の感覚とは掛け離れた作品になっちゃう。

 そこには、過度な残虐性や過度な性描写が入り混じるのよ。

 で、結果、ネットでしか受けない作品になっちゃうわけだ。


 それはニッチ戦略としてアリなんだけどねぇ〜。

 と、ずっと思っていたんだけどさ。


 んでさ、私さ、昨日ふと気付いちゃったんですよ。


 WEB小説って、ドキュメンタリー番組なんだなと。


 少し前に流行った街録チャンネルというYoutubeチャンネルを知っているかしら? 街で出会った人の半生を聞く動画をさ。


 でさ、尖ったWEB小説って、アレと全く同じ構造なのよ。


『火事が発生し、美少女姉妹を無事救出。人工呼吸で命を取り止めに成功したのだが、『強姦魔』と断罪を受ける。街中でその異名が蔓延り、家族、彼女、幼馴染み、妹に見放されてしまった。俺の行き場はもう消えてしまった。もう死にたい』



 上記みたいな作品名を見たら、ドン引きするじゃない?

 たださ、主人公が不遇な存在なんだなとは分かるわけじゃん。で、更に、どんなストーリー展開になるんだろと思うの。


 実際さ、壮絶な人生を歩んできた人の話って気になるじゃん。例えばさ——。


『中卒フリーター。高認を受けて、東大進学。在学中に起業して、年商30億の会社を成立したものの、詐欺被害で自己破産。マグロ漁船で一獲千金を狙っていたら、座礁にぶつかる。無人島に不時着し、3ヶ月間、救援が来るまで生き続けた話』


(この話は、エンタメ性が強いですがね〜)


 上記の内容を聞いてみたいと少しは思わない??(笑)


 中卒ニートから東大に進学するまでの話。

 在学中に起業して年商30億を手に入れるまでの話。

 そして、そこから自己破産するまでの話。

 マグロ漁船に乗り込み、一獲千金を狙うまでの話。

 無人島で3ヶ月救援が来るまでサバイバルしていた話。


 嘘だとしても、少しは聞いてみたいと思いません??

 逆に、どれだけ面白い嘘を吐くんだろうと気にならない??



 で、物語はドキュメンタリー番組なわけじゃん。


 だからさ、主人公が特別な存在であるべきなのよ。

 一般人から聞ける苦労話や不幸話は、殆ど一緒だからさ。

 で、主人公を特別にする簡単な方法——。


 それが、主人公を不遇な存在に仕立てあげることだと思う。

 それも出来る限り、徹底的に追い詰めに追い詰めまくる。

 だって、ドキュメンタリー番組的には、そっちのが面白いからさ。それ故に、過激な内容がガンガン増えてくるわけよ。


 でも、カクヨム内では、エロ描写が使えないわけじゃん。

 ならば——その過激さは、人間関係で魅せるしかないわけ。



 んでさ、私はこの手の話が苦手だったんだよねぇ〜。

 ていうか、エンタメ性が全くないし、何が面白いんだろうと本気で思っていたわけよ。でもさ、不遇な主人公を追いかけるドキュメンタリー番組なんだ。


 そう考えたらさ、面白いんだよねぇ〜。


 え〜とね。


 私はね、主人公が不遇な扱いを受ける。

 で、復讐も何も起きず、ただ一方的に受け続ける。

 だからこそ、胸糞悪い作品だと思っていたのよ。


 でも、これをドキュメンタリー番組として見てみると。


 不遇な扱いを受けながらも必死に生きる主人公。

 復讐も何も起きず、ただ一方的に受け続ける。

 次から次へとハプニングが起き、災難が降りかかってくる。

 それを真正面に受けながらも、主人公は今日も生きている。


 そして——最終的には少しの幸せを手に入れて、物語終了。



 という形にすれば、物語としては成立するなと思ったわ。

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