第3話 二つ名はつぼマッサージ師

 つぼマッサージ師。最初の戦闘で自ら付けた二つ名だ。


 村から出て三十分も歩くと、太陽が沈んで辺りを闇が覆った。


「『ライトトーチ』」


 ジョーディーさんが光魔法を唱えて俺達の周りを明るくするが、それでも夜空の下だと草原に潜む敵を探すのは困難だった。

 肉眼だけだとこの作戦は失敗だったが、義兄さんが言った通り俺の生存術スキルが役に立った。


「モンスターの気配……? 右前方に反応あり」


 俺の報告を聞いた全員が足を止めて中腰になる……ノリノリだな。

 俺も皆と同じく中腰の姿勢になって音を立てずに前進する。少し移動すると離れた場所で草を食べているウサギを見つけた。


「あれはラビットだな。コートニー、攻撃して敵を引っ張ってくれ」


 動物虐待を屁とも思わない義兄さんが指示を出す。


「りょうかーい。『アイスボール』」


 静かに行動していた俺達を全無視した姉さんの声が草原に響くと、彼女が持つ杖の先に氷の弾が浮かび上がる。

 そして、姉さんが杖をバットの様にスイングして氷の弾を飛ばした。

 放たれた氷の弾は真っすぐ飛ぶと食事中のラビットの胴体に命中。ラビットは悶絶して地面を転げ回っていた。


 ……うわぁ。


 痛がるラビットを見て、九歳の時にVR大雪山で姉さんと雪合戦をした事を思い出す。

 雪玉をギュッと固めて氷球にして投げると痛い。それを姉さんにぶつけられて本当に痛かった。そういえば、あの時の姉さんはやけにテンションが高かったな。雪山……ああ、山ガールか……。


 悶絶から回復したラビットは逃亡せずに姉さんを襲おうと、ピョンピョン跳ねてこちらに向かって来た。現実のウサギだったら確実に逃走を図るが、ここはゲームだから関係ないらしい。

 近づくラビットを見て違和感を感じる……あれ? デカクね!?

 よく見てみればラビットは羊ぐらいの大きさだった。それだけ大きいとゲッ歯もデカい。


 俺が驚いている間に義兄さんが姉さんとラビットの間に立ち塞がる。そして、ラビットが着地するのと同時に盾でラビットの横っ面を殴った。

 義兄さんのアクション技、『シールドバッシュ』が炸裂すると、ラビットの可愛い顔が歪んで体が仰け反る。

 いきなり現れて平手打ち。いや、盾で殴られれば誰でも驚くし俺なら殴り返す。


 次に義兄さんは剣を格好良く振ってラビットを『挑発』し、敵意ヘイトを自分へと向けさせた。

 ところで、ラビットが仰け反って義兄さんを見てないけど、それの効果はあるのか?

 ビックなウサギちゃんの様子を見ていると、『シールドバッシュ』のスタンが解けたラビットは姉さんから義兄さんへとターゲットを変更した。どうやら一応の効果はあったらしい。


 いけない、俺も攻撃に参加しないと……。

 ベイブさんは既に戦闘に参加して攻撃しているし、ジョーディーさんは顔面頭突きを真正面から喰らって鼻血を垂らした義兄さんを魔法で回復させると、笑いながらメイスで殴っていた。

 姉さんは……。


「がんばれーー♪」


 MP温存か知らないけど皆を応援しているよ。

 俺は生存術と危険感知の両スキルで常に周りを警戒しながらラビットの背後へと回りこむ。そして、油断しているラビットの背後から攻撃……あれ? 攻撃……。


 刺さらない!?


 もう一度攻撃……やっぱり刺さらない!! 体毛に跳ね返される!?

 まるでツボマッサージをしている感じだ。ラビットもこんな攻撃じゃ逆に元気になる。もう一度と思ったら、ベイブさんが止めを刺してラビットが死んだ。


 あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ!

 おれはローグになったつもりがいつのまにかつぼマッサージ師になっていた。

 な…何を言ってるのかわからねーと思うが

 おれも何になったのかわからなかった…


 一世紀を超えても未だに使われているアスキーアートで、今の気持ちを表現した。


「義兄さん、大変だ!」

「どうした?」

「攻撃が効かない!!」

「分かった、がんばれ!!」

「……おう!!」


 俺の悲鳴は華麗にスルー。

 その後、俺の生存術で敵を察知、姉さんの魔法で誘き寄せてから義兄さんのシールドバッシュと挑発、ベイブさんとジョーディーさんの攻撃、おまけで俺のつぼマッサージ。戦闘後はジョーディーさんのヒールで回復と、息の合ったコンビネーションで敵を順調に倒していった。

 つぼマッサージが余計な気もするが、現実の筋力が壊滅的な俺では今のレベルだとウサギすら倒せないという事だろう……え? 俺、ウサギより弱いのか?


 今までの戦闘で分かった事だが、ゲーム内でパーティーを組んだ場合、味方のダメージが四割を切るとパーティーメンバー全員にアナウンスが飛んだ。

 ジョーディーさんはそのアナウンスを見て義兄さんにヒールを掛け、その時以外は楽しそうに敵を殴っていた。

 それと、俺は魔法を使わないからMPなんて怪しいものを持ってないが、魔法を使うプレイヤーは体感でMPという存在を知る事が出来るらしい。実に不気味である。




 月が頭上に上がる頃、俺達はレベル3になった。

 休憩ということで、ベイブさんに教わって野営を設置する。教わると言っても、ただ薪を拾ってから火をつけるだけ。飯は手持ちの簡易食料を食べた。薄味。

 皆はたき火を囲んで夜食を食べたり、横になって体を休ませていた。時折動かないのは自分のスキルレベルを確認しているからだと思う。

 俺もスキルを確認すると、盗賊攻撃スキルがレベル3になって新しいアクション技を覚えていた。


 バックステップ


 ……ダメじゃん。

 技を使っても攻撃できねえし、ただ後ろに下がるだけじゃねえか。攻撃しようとしたら離れるのか? この先、今より強い敵が出るのにどうするのこれ。

 せめて皆の役に立つように、敵の検索だけは確実にやろうと決める。まあ、これしかないんだけど……。


-------------------

レイ Lv3


取得スキル

 【戦闘スキル<Lv.3>】【生存術<Lv.3>】【危険感知<Lv.3>】【盗賊攻撃スキル<Lv.3>】【盗賊隠密スキル<Lv.2>】


アクション

生存術・危険感知・ステルス・目くらまし(唾吐き)・バックステップ


-------------------


 北への移動中も生存術スキルでモンスターを見つけては、次々と倒していった。

 俺もレベルが上がって少しだけだけどダメージを与えることが出来るようになった。

 種族ボーナスが増えたのと、盗賊攻撃スキルのレベルが上がって背面攻撃のボーナスが増えたからだと思う。


 今もジャイアントラットの背後に素早く回ると両手のナイフを逆手にして、モンスターの背中をプスプス突き刺す。

 瞳孔を開いて、何度も何度もナイフを突き刺す姿は殺人鬼。

 横で戦っていたベイブさんが俺を見て驚愕していた。だけど、これが一番力が入る刺し方だから仕方がない。


 ぶす!!


 良い感じで刺さったけどクリティカルか?

 背面ボーナスも含めるとそれなりにダメージが出たと思う。ジャイアントラットも……あれ?

 なんか、ジャイアントラットの動きがが止まって、ゆっくりこっちを振り向いた。

 アスキーアートで表すなら、こんな感じ……。


 (    )


 (д゜# )


 (゜д゜#)


 えっと……こっちみんな。


 俺の思いは通じず、ジャイアントラットの突進を食らって吹っ飛んだ。

 ジャイアントラットって一番の雑魚だよな? 一発で吹っ飛ばされるってどれだけ体力低いんだ?

 俺が頭を抱えている間に、ベイブさんがジャイアントラットに止めを刺していた。

 今の俺だと体力が低すぎてネズミで死ぬ……え? 俺、ネズミより弱いのか?

 ネズミ以下とか言われたら誰でも泣く。何となく反応は分かっているが、一応義兄さんに報告する。


「義兄さん、大変だ!」

「どうした?」

「ダメージがひどすぎる!!」

「おう、がんばれ!」

「…………」


 おおぅ、またしてもスルー。もう俺の存在がネタ扱い。

 多分あの一撃はクリティカルだったんだろう。そう思わないとやってられん。

 そして俺達は村を中心に周回しながら敵を倒しつつ、北側へ到着した。




 敵を探しながら移動する。

 モンスターを見付けやすいという理由で、何時の間にかパーティーの先頭は俺になっていた。俺はレーダーか何かか? 迷子になっても責任は取らねえぞ。

 義兄さんからは危険だから森に入るなと言われているけど、安心しろよ入るつもりは全くねえ。むしろこのまま帰りたい。いっその事ログアウトしたい。


「夜にレベル上げをするとか最初は無理だと思ったけど、レイ君が居るだけでこんなにサクサク進むんだもん。助かるわぁ」


 ジョーディーさんの話に義兄さんがドヤ顔をする。ムカつくから、その殴りたくなる笑顔を今すぐ止めろ。


「……大した事はしてないよ」


 戦闘になると本当に役立ってないのは自覚している。


「またまた~~謙遜しちゃって、だけどそこが良いよね~~。無口でニヒルな年下……ダンディも捨てがたいけど、無口キャラも……ジュルリ」


 最後に何かが聞こえた気がして振り返ると、ジョーディーさんの口からヨダレが垂れてた……お前の腐った性癖は諦めるから、せめて理性で欲望を隠せ。

 ちなみに、無口なのは敵の検索に集中していて会話に混ざる余裕がないだけ。

 戦闘中の顔を見れば、理想のイケメンも崩れると……ああ、姉さんからもらったフード付きのマントで顔が隠れているのか……そこまで計算したのか?

 姉さんは俺の考えていることが分かっているのか、俺を見て笑顔でサムズアップをする……このパーティーに一人、魔女が居る。ああ、この女のスキルは魔法特化だった。




 しばらく進むと、前方で二匹のモンスターを感知した。

 しかし、通常は気配を感じると頭の中で浮かぶミニマップの反応が青いのに、今回は赤く嫌な感じがした。

 足を止めて中腰になると、俺の動きを見た背後の皆もしゃがんで静かになる。


「mobか?」


 俺の横に移動してきた義兄さんの問いに前を見据えたまま頷く。


「二匹居るけど今までと違う……多分、危険感知のスキルも発動したんだと思う」

「アクティブか……」

「こちらを見つけ次第、同時に襲って来るんじゃなかな?」


 俺の意見と一致したのか義兄さんが頷く。

 だけど、俺は逃げたい、義兄さんは戦いたい。意見は一致しているけれど、二人の気持ちは一致していなかった。


「となるとウルフの可能性が高いな。戦うにしても、もう少し敵の情報が欲しいが……」


 ダメだ、コイツの頭に撤退の二文字が何処にもねえ。


「もう少し先に行けば、確認できると思うけど……」


 そこで、盗賊隠密スキルの存在を思い出した。


「俺が隠れて見てくるよ」

「大丈夫か?」

「暗闇だし、一応ステルスを使うから大丈夫だと思いたい……本当に思いたい……」

「ステルスも万能じゃない。あまり近づかないようにしろ」


 半透明だしね。ステルスと言うより幽霊になった気がする。うらめしや。

 俺は義兄さんに頷いてからステルスを起動する。


「行ってくる」


 しゃべると同時にステルスが解けた。ダメじゃん。もう一度掛け直してから、生体反応のある場所まで近づいた。

 15mぐらい進むと追加で一匹の生体反応を確認する。やはりこれも赤くアクティブだった。恐らく全部で三匹。違ったら知らん。長居は無用とすたこら戻る。


「おう、どうだった?」


 あれ? ステルスしっぱなしなのにバレテーラ。


「奥にもう一匹居て合計三匹。後は確認できなかった」


 メインで戦うのは俺じゃないから適当に答える。


「三匹か……ベイブ、一体は任せられるか?」

「一応、パリィは上がっているから、ある程度のダメージは受け流せるはず……だがβの時と比べて、敵全体の体力も攻撃力も相当上がっている。ギリギリの勝負だろう」

「ベイブもそう感じたか……βの時は初っ端からこんなに敵が強くなかったが、バランス調整で強くなったと見るべきか」

「多分な」


 義兄さんとベイブさんの会話を聞いていた姉さんとジョーディーさんも頷いている。なるほど……俺が弱いんじゃない、敵が強いだけなんだ! そうだ、きっとそうだ……と思わねえとやってられねえよ。


「コートニー。足止めは覚えたか?」


 義兄さんの確認に姉さんが頷く。


「覚えているけど、まだLv4だし十二秒しか持たないわよ」

「それで十分だ。手前の二匹をそれぞれ俺とベイブで相手する。コートニーは奥の一匹を足止めしてから俺の敵を攻撃。奥の敵が来たら俺がヘイトを取って二匹同時に相手をする。

 ジョーディーは俺が相手をしている最初の一匹に一度だけライトアロー。後はヒールに専念してくれ。レイは俺の一匹目を倒すのを手伝って、倒した後はベイブのヘルプを頼む。それとヒールポーションはいくつある?」

「使ってないから五つ」


 義兄さんの質問に手を広げて答える。


「ウルフは体力が低い代わりに攻撃力が高い。中盤で俺かベイブの体力が四割を切ったらポーションを使って回復してくれ」

「分かった」




「レイ、ちょっといいか?」


 ブリーフィングの後でベイブさんに呼ばれる。


「何?」

「両方のナイフを逆手に持つより、左手は順手持ちにして防御メインに使った方が良いぞ。その、あれだ、両方逆手だと戦いにくいだろ」


 ああ、さっきのあれか。言葉は濁しているけど、俺の戦闘をホラー映画でも見ている様な顔をしていたし……。

 ベイブさんの指導を受けて言われた通りにやってみる。

 ナイフを腰から抜いて、このままだと両方とも逆手だから……左手だけ空中でクルッと半回転させてパシッと順手に持ち構えた。

 おっ決まった♪ 俺の行動を見ていたジョーディーさんが口笛を吹くまねをして、姉さんも音を立てずに軽く拍手する。

 二人に軽く肩を竦めると、先ほど同じ様に片方のナイフを半回転させて順手に戻してから二本同時に鞘へ収めた。


「なかなか決まっていたぞ」


 ベイブさんが満足そうに頷く。フードで隠れているが、今の俺は確実にドヤ顔だった。




「よし準備はいいな。コートニーの射程まで全員移動するぞ」


 義兄さんの合図で俺達は中腰のまま移動してウルフから10mぐらいまで近づく。

 相手はまだ俺達に気付かずにのんびり寝そべっていた。

 義兄さんとベイブさんが横目で互いを確認すると、ウルフに向かって走り出す。

 俺はステルスを起動させると、その後ろをこそこそ付いて行った。


「いっくよ~~『アイスルート』」


 姉さんが魔法を唱えると、奥に居たウルフの足に氷が張り付いて移動速度が低下した。

 魔法の効果は十二秒。その間に義兄さんと対峙するウルフを倒す必要があった。

 義兄さんと対峙しているウルフは、義兄さんの『挑発』と『シールドバッシュ』を受け、追加でジョーディーさんの魔法攻撃を喰らっていた。

 俺も攻撃に参加しようとウルフの背後に忍び寄って腰からナイフを抜く。

 そして、先程と同じように左手の武器を空中でクルッと半回転させて……あっ……ナイフが地面に落ちた。


 慌てて拾おうと中腰になると、義兄さんの攻撃を避けたウルフが後ろに飛び退いて、俺の目前で着地した。


 俺とケツとの距離、僅か10cm。ぶらぶらしているお稲荷さんが美味しそう。


 ウルフは興奮して尻尾を立てているからωな金玉も丸見え。ωがチョット可愛い。

 義兄さんを警戒しているウルフはステルスを起動している俺に全く気付いていなかった。

 そして、目の前にはウルフの*いや、ケツ……ωとどっちにするか迷ったが、拾ったナイフをそのまま目の前にある穴に突き刺した。


「アアーッ! ウォォォォン!!」


 どうやら、クリティカルヒットのご様子で……あれ? ウルフの動きがが止まって、ゆっくりこっちを振り向いた。このパターンはまたあれか……。

 アスキーアートで表すなら、こんな感じ……。


 (    )<!!


 (゜ェ゜* )


 さっきよりもワンステップ早く振り向いた。かなりお怒り……いや、チョット恥ずかしそうなご様子。

 オオカミさん、オオカミさんどうしてこんなに照れているの? 何かに目覚めたの?

 もう一本のナイフで二本同時挿入をしようとしたら、姉さんの魔法が発動して、氷の玉がウルフ側頭部に命中。トドメに義兄さんが剣を振り下ろし、ウルフは死亡した。


「ナイスだ」


 義兄さんはそう言うと、直ぐに三匹目のウルフを『挑発』して、戦闘を開始していた。

 まさかケツの穴にナイフを刺して褒められるとは思わなかった。

 俺は心の中で死んだウルフに合掌すると、ベイブさんのヘルプに向かった。




「ベイブさん大丈夫ですか?」

「おう、まだ大丈夫だ。背後から攻撃してくれ」


 ベイブさんがウルフの噛み付きをダガーで受け流しながら、俺に向かって指示を出す。傍から見れば犬同士の縄張り争いにしか見えねえ。

 ベイブさんは攻撃を躱すと反撃にダガーでウルフを斬りつけた。犬の癖に格好良いな。

 俺も背後に回って攻撃を開始する。ア〇ルプレイ? 今はダメだ腐女子が見ている!!

 俺とベイブさんが攻撃していると、ベイブさんがウルフの攻撃を喰らって、同時に俺の視線の隅でベイブさんの体力低下の警告アナウンスが現れた。

 慌ててカバンからポーションを取り出そうとしたら、ジョーディーさんがヒールをして彼を回復させていた。ジョーディーさんも地味だけど良い仕事をする。腐女子だけど……。

 アナウンスが消えたのを確認すると俺も攻撃を再開する。

 ベイブさんが言っていた通り、右手逆手の左手順手だと攻撃がスムーズだった。与えるダメージが低くても、例えツボマッサージでも良い感じだ。


 二匹目も姉さんの『アイスボール』で止めを刺した。

 最後の一匹を倒しに向かおうとしたら、俺の生存術スキルが新たな生体反応を感知した。同時に危険感知も反応する。


「何か来る。アクティブだ!」

「ふえぇぇ。MPもうあまり残ってないよ~」


 「ふえぇぇ」とか言う人を初めて見た。ジョーディーさんは姿だけではなく精神も幼児化したらしいが、中身は腐女子。存在自体がアウト。


「コートニー、足止めをして時間を稼いでくれ! ジョーディーはMP温存。俺達はその間に残りのウルフを全員で攻撃!」


 義兄さんが戦いながら指示を出す。さすが脳筋効率厨、戦闘だけなら頼りになる。

 そして、最後のウルフに止めを刺したタイミングで、新たな敵が俺達の前に姿を現した。


 暗闇から姿を現したのは、ゴブリンだった。

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