第28話 月は無慈悲な夜の傍観者
朝食を済ませた後、空いている食堂のテーブルを一つ借りて外部リンクに接続する。暇な時間は有効的に使おう。ゲームの中でだらだらと過ごす暇があるならと、夕方まで学校から提出された課題に取り掛かった。
それを見たチンチラも一緒に勉強をやり始めるが、彼女は今晩のことが気になって集中できずに、半分上の空だった。
だけど、俺は正直言ってそれどころではない。
通う学校は出席日数がない代わりに課題提出数という恐ろしいノルマがある。昔でいうところの通信教育に似たようなシステムだ。
しかも、提出するレポートやプリントは、VOOKファイルというVR専用書籍ファイルを学校でコピー不可に設定したノートに、手書きかワープロで提出しなければいけない。VOOKファイルを開発した奴はマジで死ね。
例え試験で良い点を取ったとしても、課題の提出が少なければ落第するし、レポートをネット丸写しで提出しても勉強してなきゃ試験で落ちる。卒業率が四割切る学校はダテじゃない。舐めていたらあっという間に退学だ。
今晩? 知るかボケ! 現実の方が大事に決まっている。俺はまだ皆のように廃人じゃない……今更なんの説得力の欠片もないが、そう思いたい……です。
昼飯も『反省する猿』で食べて教材に取り掛かっていたら、スキルを上げに行った遊び人メンバーが帰って来た。大の大人が遊んでばかりで情けない。
ああ、そういえば皆が出かける前に、不味いマナポーションをジョーディーさんに渡したけど、飲んだのかな?
「ジョーディーさん。マナポーションはどうだった?」
「んー問題なかったよ、きちんとMP回復したし」
ケロンとした表情で普通に答えるジョーディーさんに違和感、いや、狂気を感じる。
ちゃんと不味い方を渡したよな? こっそり鞄の中を確認したけど、確かに不味い方を渡していた。
「味はどうでした?」
「うーん、私はわりと好きよ。あ、でもコートニーちゃんは一口飲んで駄目って言ってたね」
姉さんを見ると、手を左右に振って明らかに嫌そうな顔をしていた。
ああ、俺は飯マズ嫁の力量を甘く見ていたらしい。ベイブさん、あなたの妻は重傷です。速やかに食育を施さなければ、自分の身に危険が迫るぞ。
学校の課題が三割ほど終わった時点で夕方近くになった。
課題の期限は来週末までだから結構良いペース。加速時間システム、マジ最高。あれ? サブイボが出た。
集合時間までには少し早かったけど、皆で盗賊ギルドの隠れアジトに向かうことにした。
やはり俺を含めて皆は緊張しているのか、道中はいつもよりも無口だったと思う。コイツ等にも緊張というものが存在していた事に衝撃を受けた。
隠れアジトはギルドマスターが言っていた通り、町の外れにあった。
町外れと言っても実際には南の城壁を越えた先にあって、ぽつぽつと民家がある戦闘可能エリアだった。
さらに歩いて、少し大きめな古ぼけた民家の前に到着する。ここが盗賊ギルドの隠れアジトらしい。民家の窓を見れば、こちらを監視している薄汚いおっさんの人影が見えた。
もし現実だったら泥棒と勘違いして通報する。いや、実際に泥棒だから間違ってはいないのか……。
義兄さんが合言葉を扉の前で言うと、ゆっくりと扉が開いて手招きする小汚いおっさんの誘導に従い中に入った。
それにしても先程から見る盗賊が全員汚いけれど、盗賊のトレードマークは「汚れ」なのだろうか? そう考えると、ローグから転職したい。
「早かったな」
中に入った俺達が居間で待っていたら、二階からギルドマスターが降りてきた。
ギルドマスターの周りには手下と思しきガラの悪いおっさん達が居たけど、ここはおっさんしか居ないのか?
おっさん達は一般人とは異なり、ガラが悪い、身なりが悪い、面が悪いと、いくら真面目な盗賊ギルドで善人だったとしても、悪評が立つのは当たり前だと思う。
実際におっさん達を見て怖がっているチンチラは、借金で身売りされてエロ動画に出演する予定の娘にしか見えなかった。
「少し早かったけど意気込みと受け止めてくれ」
「ふっ、悪くない。着いて来い、配置を説明する」
義兄さんのセリフに少し笑って、ギルドマスターは奥の部屋へと俺達を案内した。
「ふっ」ってなんだよ、あんた一体どこの悪の幹部だ? ああ、悪の幹部じゃなくてボスか。
それと義兄さん、少し脳筋入っているその冗談は、あんたと一緒で面白くない。
奥の部屋へ行くと、中央にでーんと置かれた広い机の上に、これから向かう館の見取り図が広がっていた。
「俺達は正面から突入するから、お前達は裏口から突入してくれ。先ほどの偵察だと見張りが一人居たが、できれば見つからないようにそちらで始末してくれると助かる」
「ああ、了解した」
ギルドマスターが指で進入ルートを指しながら説明すると、義兄さんが頷いた。
「突入したら俺達はホールから二階に上がる。お前達は裏にある業務用階段から二階に上がってくれ。恐らくライノの糞ガキは二階の奥にある館主の部屋に居るはずだ。そこが最終目標地点と思ってくれ」
「ライノ?」
「先代のクソガキだ」
「合流したら突入で良いのか?」
「そのつもりだが、先に着いたら勝手に突入してもいいぜ。こっちは楽できるからな」
義兄さんの質問にギルドマスターがにやりと笑って答える。同じ獲物を狩るライバル同士ってことなのか、義兄さんもギルドマスターに向かってにやりと笑い返した。
脳筋の頭の中は既に戦闘モードに入っているらしい。誰か止めろ。
だけどギルドマスターの言葉を返せば、遅く行けばチョイ悪おやじ率いる盗賊ギルドがボスと戦うってことだよな。その事に気づいて、心の中で手抜きをしようと誓う。
「それとレイ」
「何?」
「今からお前アサシンな。よろしく頼むぞ」
「げっ!」
ああ、忘れてた。うんざりして手で額を抑え天井を見上げて、ふと思い付く。
俺は偽物を演じられている。そう、アサシンになれと言ったのはギルドマスターだ。
もし、アサシンから問い詰められたら、犯人はこの目の前のチョイ悪おやじに仕立ててやろう。それに、他のメンバーも止めなかったんだから共犯だ。殺されるなら全員道連れにしてやる。
「仕方がないな。もし本物に会ったら、アンタが何とかしろよ」
そう言いながら下を向いて顔を隠す。フードの下でニヤニヤが止まらない。
「ああ、分かった」
ギルドマスターは笑っていたけど、自分で言ったことをいつか後悔しろよ。
打ち合わせが終わると、俺達を手下に紹介するらしい。ギルドマスターは俺達を連れて、盗賊ギルドのメンバーの前に立たせた。
正直言って、襲撃直前のやくざ達の前に立つのは結構勇気が要る。横のチンチラなんか震えていて、その様子はこれからここに居るおっさん全員を相手にさせられる予定のエロ女優と同じだった。
「おい、お前ら聞け! これからライノのガキ共を潰しに行くぞ!!」
『おーー!!』
ギルドマスターが声を張り上げ鼓舞すれば、全員がそれに負けじと声を張り上げ応じた。
おっさん達が上げる雄たけびに驚く。義兄さん達も驚いていたけど、姉さんだけは笑っていた。
うすうす気が付いていたけど、姉さんは恐怖心というものを感じない性格、いや病気らしい。
「俺達の方が数は少ねえが、心配は不要だ! 今回は助っ人でコイツ等にも協力を得ることにした。知っての通り、ライノ達が潰れる要因となったコートニー様一行とアサシンだ……ってアサシンどこいった?」
紹介された姉さんが笑顔で手を振り、おっさん達はデレーンと鼻の下を伸ばしてしていた。その横の義兄さんが微妙な表情になる。
俺? ガサツな姉と違って人前に出るのが好きじゃないから、ステルスで隠れたけど何か?
「まあいい。アサシンは照れ屋だから、人前に出るのが恥ずかしいらしい」
『あはははははっ!!』
くっ! あの野郎、覚えとけ。
「いいか、お前等。怪我をするなとは言わないが、死ぬことだけは許さん!! もし死ぬ覚悟で突っ込む奴が居たら、その前に俺が地獄に落としてやる! 分かったな!!」
『おーーーー!!』
お前が殺してどうする。
「時間まで待機だ、ゆっくり休んでいろ。解散だ!」
ギルドマスターが解散と叫ぶと、やくざ達は適当に散らばった。
「それじゃ、俺達は裏に回るから先に行くぞ」
義兄さんがギルドマスターに言うと、彼も頷いた。
「分かった、お前達も死ぬなよ。それとアサシン」
呼び名までアサシンかよ勘弁してくれ。皆の注目がなくなったから、ステルスを解除して柱の陰から姿を現す。
「せっかく俺が鼓舞をしているんだから、姿ぐらい見せろや」
「人前に姿を見せる殺し屋が居るかよ」
ギルドマスターに怒られたけど、人前に姿を見せる殺し屋はアホ過ぎる。そんなアホは即、指名手配だ。
「うーむ、確かにそのとおりだな。まあいい、お前も死ぬなよ」
ギルドマスターがしっしと手を振って俺を追い出す。
安心しろ、元から死ぬつもりなんてねえよ、むしろ手加減してやる。手抜きとも言うがな。
そして、俺達は先行してライノが居る元貴族の館へと移動するため、民家を後にした。
日が沈む……太陽は陽炎を纏い西の大地に消え、月は闇に覆われた世界を見下ろす。
『月は無慈悲な夜の女王』
俺は月を見上げて、知性を得た電子計算機が月で独立運動の指導者になったSF小説を思い出していた。
あのジョークが好きな電子計算機は何を思い、何を考えて革命を起こしたのだろう……。
自分の意思だったのか、それとも計算機の本能で命令に従ったのか……作者が死んだ今となっては、誰にも知る由もない。
このゲームのAI達……今まで出会ったNPCを思い出す。
架空の人格なのに、彼等は確かに生きるという意思が存在していた。
ならばこれから戦う相手は?
生きる意志を持ったNPCを殺す俺は人殺しなのだろうか……。
もう一度月を見るが、美しく輝く女王は何も語らず、無慈悲な夜の傍観者だった。
「レイ、そろそろ時間だ」
静寂を打ち破る義兄さんの声の方向へ視線を向けると、全員が俺を見ていた。
一度頷いた後、彼等から視線を外して、誰にも見られないように目を瞑る。
麻薬漬けにされた人達。人身売買の被害者。母親の助けを求めた子供。そして、罵られてもそれを救おうとする素材屋の店主と婆さん……。
彼等を救う
これが俺の殺しの理由
静かに目を開くと、俺はフードを裏返して赤から黒に変える。
そして、俺はシーフではなくアサシンになっ……。
ゴンッ!!
「……イデッ!!」
「何、自分の世界に入っているの! とっとと行くわよ!!」
俺が決意を胸に秘めたところで、ジョーディーさんに後頭部を叩かれ頭を抱え込む。
近くに居た姉さんとチンチラは、俺とジョーディーさんを見て、クスクスと笑っていた。
この暴力ヒーラーめ、最近チョット男の扱いが酷くないか? 暗黒邪神黒炎殺黒龍波でも食らわすぞ!
でも確かに厨二病が発病した気がする。今の行為を振り返るとちょっと恥ずかしい。それに暗黒邪神黒炎殺黒龍波ってなんだよ。文字が黒だらけじゃねぇか、パコパコ中に墨汁でもぶっ掛けるのか? そんなプレイはマニアック過ぎるわ!
「ほら、レイちゃん行くわよ」
俺は殴られた後頭部を摩りながら、皆の後に続いて敵のアジトへと向かう。
月は何も語らず、ただ冷たい輝きを大地に注いでいた。
俺は先行偵察とアジトへと近づいていた。他の皆は俺の場所から50m下がって岩陰に隠れている。そして、匍匐前進で少しずつ前に進み、周りの草木と同化した俺は、エロ行為を覗き見るかの様に裏門を確認する。
誰も居ねえ。俺の労力を返せ。
待て……誰も居ない? おかしい、先ほどの打ち合わせでは見張りが一人居るという話だった。それに、今日の襲撃は取引があるという情報を基に決めていたはずだから、見張りの数が増えているならまだしも居ないというのはあり得ない。
罠だ!!
そう気づくと、急いで皆の所へ戻った。
「なるほど、確かに怪しいな」
俺の報告を聞いて、義兄さんが頷く。
「そうね、こっちの動きを読まれていたと考えて良いかも」
「しかし、突入しないという案はできない」
「向こうにも連絡するにしても、時間がないわ」
姉さん、ベイブさん、それにジョーディーさんも意見を出し合って悩んでいた。
「考えられるのは二つあると思います」
俺達が悩んでいると、突然チンチラが発言して注目を浴びる。
「一つは空城の計。これは罠と見せかけて敵の警戒心を誘う方法ですが、これは敵が優勢の場合に使われる戦法なので今回は当てはまりません。もう一つは関門捉賊で、こちらは罠を仕掛けて敵の退路を断ってから包囲殲滅する戦術です」
「「「「「…………」」」」」
あれ? チンチラってこんなキャラだったっけ? 俺を含めて全員が驚き彼女を見ていた。
空城の計? 確か、家康が信玄に追い詰められた時、使ったといわれた計略だったよな。元は兵法三六計だっけ?
「チンチラってひょっとして、戦略シミュレーション好き?」
俺が訪ねると、チンチラが気恥ずかしそうに笑って頷いた。
「あはは。分かります? 戦コレにはまっちゃって、それからシミュレーションが好きになっちゃいました」
戦コレとは最近流行っている、全キャラが美少女な育成シミュレーションゲームの事。俺のクラスにもこのゲームを好きなヤツが居るが、そいつは何時も「チハたん、ハァハァ。かわいいよ、チハたん。かわいいよ」が口癖のクラス全員から避けているのを自覚していない幸せな奴だ。
ちなみに、チハというのは戦車らしい。二次元でもせめて人間を愛せ。
「まあ、普通の女子高生は兵法三六計なんて知らないし」
「えへへ、兵法三六計は全部暗記しています」
「そう……凄いわね」
褒められて笑うチンチラに、珍しく姉さんが少し引いていた。
ああ、俺の周りにはまともな人間は居ないのか? どうやら変人集団に戦略オタクが加わったらしい。
「それで、チンチラはどうするのがベストだと思うんだ?」
ベイブさんが質問すると、チンチラが口を開いた。
「館の見取り図から考えられるのは、正面から来た敵を一階ロビーに閉じ込めて、二階からの遠距離攻撃ですね。当然、裏の階段は昇らせないように仕掛けがあってロビー経由じゃないと二階に行けないと思います。つまり、逆に考えれば二階は無防備なはずですので、館に入る前に何とか二階から突入すれば、相手の不意を突けるかと……」
戦略オタ凄げえな。俺が感心して見ていると、目の前で姉さんがチンチラに抱き着いた。
「チーちゃん凄い!! 可愛いし、お利口だし、お姉さんこんな凄い妹を持って嬉しいわ」
「あはは、ありがとうございます」
全開フルスロットルで姉さんのシスコンが爆発中。俺はいつの間にか妹を手に入れたらしい。親父、どこで拵えた?
横ではジョーディーさんが指をくわえて羨ましそうに見ていた。ロリキャラだとお姉さんキャラは無理だろう。
「よし、時間もないし行動しよう。作戦を変更して二階から侵入だ」
さすが義兄さん、空気を読まない、見ない、感じない。見事に姉さんの空気をぶち壊す。だけど時間がないのは事実、俺達は義兄さんに頷くと裏口からアジトへと突入した。
裏門を調べると鍵が掛かっていなかった。俺達はお互いの顔を見合わせ頷き、敵の罠であることを確信する。
裏庭に侵入して館を見れば、元貴族の館だった事もあって大きかった。
問題は、一階の高さが普通の家の倍近く……約4m以上は確実にあり、壁を見れば凹凸の無い平面だったので登るの事が不可能だった。
「マズイな……」
「ごめんなさい。これは想定外でした」
義兄さんが呟くとチンチラも申し訳なさそうに謝っていた。
「チーちゃんは悪くないわ。作戦自体は間違ってないもん」
「そうよ、何とかなるわ。レイちゃん、何か良い方法はない?」
ジョーディーさんと姉さんがチンチラを慰めるているけど、何で俺に振る?
今手持ちのアイテムで使えそうなのは……カギ爪付ロープがあるな。でも、女性にロープで壁を登れと言うのはきついかもしれない。
ガシャーン!!
俺が考えていると、正面の方からガラスが割れる音と騒めき声が聞こえた。どうやら、考えている時間もないらしい。
俺は皆を、いや、正確にはチンチラの後ろにそびえ立つ岩を見て……二階に上がる方法が浮かんだ。
「ゴンを使おう」
「「「「「へ?」」」」」
俺の案に皆が驚き首を傾げる。
「ゴンが手を伸ばせば2.5mぐらいまで手が届く。その上に義兄さんが登って、さらに人を乗せれば二階に上がる高さまで届くんじゃね?」
そして、鞄からカギ爪付ロープを取り出す。
「それに、一人が二階に上がれば、後はゴンとこのロープを使って楽に登れると思う。全員が登ったら、ゴンをリリースして再召喚すれば良いし」
「なるほど。時間もないからそれでいくぞ」
俺の案を聞いて義兄さんが頷く。
他の皆も賛成すると、チンチラの命令にゴンちゃんがしゃがんで、義兄さんと俺を乗せた。さすが力士、例えそれが女性でも、男性二人ぐらいなら余裕で乗せる。
不安定な足場だったけど壁に手を付いて、ゴンちゃんの上でしゃがんだ義兄さんの肩に乗った。
「いいぞ」
義兄さんの合図でゴンちゃんが起き上がる。あわわ、落ちる! もっとゆっくり頼むよ。
さらに、義兄さんがゆっくりと立ち上がると、俺の体は余裕で二階の窓に届いていた。
窓から部屋の中を確認するが、真っ暗で見えなかった。
スキルでも人の気配はなし、それにロビーで騒音があったにも関わらず寝ているということはないだろう。
それでも念には念を入れて、鍵近くの窓ガラスをナイフでいくつも傷を付けてから、ナイフの柄の底で押す様に叩いて静かに窓ガラスを割った。
「そんなやり方どこで覚えた」
「防犯特集の動画」
「防犯で犯罪のやり方を覚えるなよ……」
下から様子を見ていた義兄さんが尋ねてきたから、知識の元ネタを教えると呆れていた。
鍵を開けて窓を広げると二階に音を立てずに侵入する。生命反応、トラップともになし、All Clear。
近くにあったベッドにカギ爪付ロープを結んで外に投げる。既に次の用意ができていたのか、すぐにチンチラが窓の外から顔を見せた。
「よっと」
チンチラの腕を掴んで部屋の中に引っ張り上げる。
「ありがとう」
「一応静かにね」
「うん」
チンチラに向けて口元に一本指を立ててから、次に来るメンバーを待った。その後も続々と来るメンバーを部屋の中に入れる。
ジョーディーさんだけは背がちんちくりんだったため、ロープを引っ張ってあげる。やーい、チービ、チービ。
最後に義兄さんが入って全員がそろうと、ゴンちゃんはチンチラの魔法で一旦、土に帰った。
「『クリエイト・ゴーレム』」
一度土に帰ったゴーレムをチンチラが再召喚すると、部屋の中にゴンちゃんが現れた。部屋に岩も土もないが、その纏っている岩はどこから持ってきた?
チンチラの召喚が終わると、俺達は騒動が聞こえるロビーへと急いだ。
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