第8話 変態仮面の人
家に戻ってスキルをセットする。
今日取得した乗馬スキルを控えに入れて、代わりにコトカで入手したボルダリングスキルをセットした。
戦闘もあったし、久しぶりのレベル、ドン!
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Lv20
テクノブレイカーSTR+3、AGI+6、痛覚倍増付与付
サバギンレーザーVIT+10
・筋力(STR)6+3=9
・体力(VIT)2+10=12
・瞬発(AGI)8+6=14
・知力(INT)5
・器用(DEX)2
取得スキル
スキル増加の指輪(+3)
盗賊隠密スキルのフード付きマント(盗賊隠密スキル+6)
【生存術<Lv.21> INT+2】【危険感知<Lv.21> INT+2】【戦闘スキル<Lv.21> VIT+2】【盗賊攻撃スキル<Lv.21> AGI+2】【盗賊隠密スキル<Lv.18(+6)24> DEX+1】【盗賊窃盗スキル<Lv.10> DEX+1】【盗賊戦闘回避スキル<Lv.8>】【突刺剣スキル<Lv.21> AGI+4】【打撃スキル<Lv.17> STR+3】【格闘技スキル<Lv.17> STR+3】【軽業スキル<Lv.14> AGI+2】【サバイバルスキル<Lv.10> INT+1】【ボルダリング<Lv.4>】
控え
【生産スキル<Lv.17> INT+1】【調合士スキル<Lv.20> INT+2】【毒作成スキル<Lv.20> INT+2】【薬草学スキル<Lv.20> INT+2】【乗馬スキル<Lv.5>】
アクション
生存術・危険感知・ステルス・目くらまし(唾吐き)・バックステップ×2・バックアタック・死んだふり・足蹴り・薬作成・毒作成・バランス崩し・ホップ・ステップ・ジャンプ
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スキルボーナスと武器ボーナスが増えてきたから、今回から合計値を入れてみた。
フォレストウルフ数匹とクマーを倒したけどレベルは上がっていない。敵は強くなっているけど必要経験値も増えていた。攻撃系スキルのレベルは少し上がっていた。
今日取った乗馬スキルは、美ケツの馬に乗ったおかげでレベルが一気に5まで上がっている。だけど残念、男が騎乗位を上手くなっても誰得だ。
是非、チンチラとステラの二人は乗馬スキルを早く上げて、ローラさんのような痴女を目指して欲しい。
スキルの確認とセットを終えたらゲーム時間で0時を過ぎたので、再び夜の街へと繰り出した。
夜のキンググレイスは街頭の明かりで以外と明るい。電気? いいえ、魔法です。
俺の持っているペンライトと同じ仕組みで、電力代わりに魔石を使っているらしいが、魔法というのはいろいろと便利だ。御都合主義とも言う。
それと、ゲームを始めた時に中世ヨーロッパな世界観だと思っていたが、どうやら最初にログインした村が、ただ単に限界集落のド田舎なだけだったらしい。
夜の街を歩くと、深夜でも街を行く人はそれなりに多かった。
道行く人の殆どが酔っ払いのおっさんだったけど、街頭から外れた暗闇ではその酔っ払いを狙う強盗らしき人物、家の中に忍び込もうと企んでいる怪しい人物。外に干してある下着を狙おうとしている怪しい変態。夜は盗賊の時間だと改めて認識する。
最後の変態に突っ込め? 下着関係はリックのおかげで未だにトラウマが残っているから勘弁してくれ……。
衛兵もチラホラ見かけるが、彼らは基本的にダラダラと巡回しているだけなので、近くに寄らなければ問題なかった。
職務怠慢だと思うけど、この国に直接税金を払ってないから別に気にしない。もし税金を払っていたら暴動を起こす。それに、税金泥棒だったら現実の方が遥かに酷い。
闇夜に潜む彼等と同じく、俺も街頭の下を避けて暗闇の中を進み目的地へと向かった。
会計士が住んでいる茶色のレンガのアパートに到着して物陰に潜む。
周辺の様子を伺うと、アパートは通りに面していて街灯の明かりで明るかった。
アパートの入口前の階段では最悪な事に、汚ねえおっさんが酒を飲んで何かをぼやきながら居座っていた。
無視して入る? できれば誰にも見つかりたくない……せっかく買ったから、パイプ椅子でぶん殴る? ふと、そんな考えが浮かんだけど、この思考は脳筋な義兄さんと同じだと気が付いて頭の中からかき消した。
(ここが目的の家? ワクワクするね!)
おっさんの始末に悩んでいると、俺の腰から無機物が話し掛けてきた。相変わらずウゼェ……。
(これから忍び込もうとしているのに話し掛けるな)
(だって何時も人が居る時に話し掛けもダメって言うじゃん)
(聞こえるのが俺しか居ないんだから当たり前だろ。お前と会話していたら周りから変な目で見られるだろうが!)
(何時もの事でしょ)
うっさいわ!
(集中力を高めたいから話し掛けるんじゃねえぞ)
(ねぇねぇ、僕も何か手伝えない?)
コイツ人の話を聞きやしねえ……お前ができるのはケツに刺さるだけじゃね?
だけど、コイツのア○ルバイブ率が高いのも、持ち主としては確かに嫌だ。
(……お前、何かできるのか?)
(もちろん、何もできないよ)
使えねぇ……。
(まあいい、周りを見て監視してろ)
(りょうかーい)
テクノブレイカーとの会話を終えて、再びアパートの様子を伺う。
正面が無理なら別の場所から入るしかない。口元を黒いマスクで覆ってから侵入を開始した。
まず、入口の酔っ払いに見つからないようにステルスを発動してアパートに近づく。
次に地面の石を拾って注意を引き付けようと、酔っ払いの反対側に向かって石を投げた。
「うにゃーー!」
「あーなんだー?」
ありゃ? どうやら投げた先に猫が居たらしく、投げた石に驚いたらしい。猫の叫び声に酔っ払いが振り向く。
猫には悪いがチャンスなのでステルスを解除して、一気に突入してアパート横の路地へと潜り込んだ。
「キシャーーーー!!」
「うわ、おい、馬鹿! 止めろ!!」
アパート正面では猫が勘違いして酔っ払いを襲っていた。
(ひっどいな~)
(偶然だから仕方がないだろ)
俺の行動にテクノブレイカーからヤジが飛ぶが、ワザとじゃない。
荒ぶる猫と戯れる酔っ払いを背後に、路地の奥へと進んだ。
路地の奥に進むと、壁に屋根の雨水を地面に流す
(さて登るか)
(がんばれ~)
(うるせえ、今すぐ錆びろ)
腰から聞こえる声に文句を言いながら、竪樋を掴んで前後に揺らし頑丈なのを確認して、竪樋を頼りに凹凸のある壁を登り始めた。
ボルダリングスキルの効果は知らんけど、会計士が住んでいる三階まで壁をすいすい登る。
そして、侵入しようと手の届く範囲の窓を掴むが、鍵が掛かっていて開かなかった。
(上の窓が開いてるよ)
(ふむ……)
侵入ルートに悩んでいると、テクノブレイカーが助言してきた。
(前から思っていたけど、目がないのにどうやって見てるんだ?)
(あるじの目を通して見れるんだ。凄いでしょ)
(なぜ主? まあいいけど、俺の立場から言えば気持ち悪いの一言だな)
本当に気色悪い。嫌な事は忘れる事にして、一つ上の階を見ると確かに窓が開いていた。さらに登って四階から中に侵入する。
ステルスを起動させた状態で忍び込み様子を伺うと、入った部屋は寝室だった。
生存術スキルがこの部屋の主がベッドで寝ているのを見つける。
ちなみに、生存術スキルと危険感知スキルだが、前回のアップデートの時に修正パッチが当たった。
内容は壁越しだと相手が確認できるなくなる下降修正。運営死ね。
修正の理由はゲームバランスではなく、アホなプレイヤーがスキルを使ってNPCの庭に忍び込み、壁を見ながら下半身をしごいてハァハァしていたという理由で修正されたらしい。
気持ちは分かる。俺もその欲求がないとは言わないが、そのおかげで貴重なスキルが修正されるのは納得いかなかった。
再びベッドに寝ている人物を確認して落胆する。
もしこの部屋の住人が凄い美人であられもない姿をしていたら、俺のラッキースケベセンサーもまんざらじゃねえなと思うが、残念ながらベッドに寝ていたのは二十歳ぐらいの小太りな男だった。
そして、ベッドの近くのゴミ箱にはイカのスメルが漂いそうな溢れんばかりの山盛りのティッシュ!
突撃! 深夜の晩御飯!!
オカズは何かな? とベッドの下を捜索すると、出てきたのは『月刊 エルフ コレクション』!!
ペンライトを口に咥えてパラパラと本を捲ると、エルフ美女のヌードが目に飛び込んできた。
そう、大自然の森林で出会った美人エルフがにっこり笑って「ぶっかけて」とねだられる。男性の大半は、そんな幻想を常に胸に抱いている。
心の中で男性にエールを送りエロ本を回収すると、気づかれないように部屋を出た。
階段を使って三階に降りる。
会計士の家の扉に手を掛けようとしたら、その扉が開いた……はい?
内側から扉を開けたのは全身黒ずくめの男性で、顔を見ればラメの入った蝶マスク? そんな変態仮面を付けている、どこからどう見ても怪しい人。
ちなみに、俺も顔の下半分を布で隠しているから、あまり人の事は言えない。
だけどこれだけは言える。こんな格好をした会計士は絶対に居ねえ!
俺もそうだが、相手も鉢合わせの状態で驚いたらしい。
暫らくの間お互いの顔を見ながら呆然と突っ立っていたが、同時に正気に戻ると行動を開始した。
「……!!」
相手が腰の武器を取り出そうとする前に軽業スキルの『ホップ』を発動。
相手に飛び掛かると、飛び膝蹴りを相手の顎に喰らわした。
「……!!」
この攻撃は腕でガードされて当たらなかったが、勢いに相手がよろめき後ろへ下がる。
その間に部屋に進入すると、鞄からパイプ椅子を取り出した。
素早くパイプ椅子を広げて反対方向に置き跨る様に座る。ついでに、背もたれに肘を乗せた。
再び相手を見れば、腰から鈍器を取り出して俺に向かって構えていた。
なるほど、血を出せば衛兵に気が付かれるから、気絶をメインにした武器を使うのか……。
「テメエ、誰だ?」
「…………」
手に顎を乗せて余裕がある様に尋ねてみたが、相手からの返答は沈黙だった。
ちなみに、余裕を見せているのはあくまでも演技。互いの正体が分からない場合、こちらの方が強いというアピールが重要だと昔、姉さんから教わった。
「「…………」」
お互いに様子を伺いながら隙を探す。
相手はどこからどう見ても俺と同じ同業者だろう。違っていたら変態会計士で確定。
それ以前に夜とはいえ、その変態仮面はスゲエな。縁取りが赤と紫のラメでクロアゲハ? それを付けながら外に出るの? 一体何のプレイだよ。俺は恥ずかしくて無理だわ。
「なあ、その仮面、恥ずかしくないのか?」
だから聞いてみた。
「…………」
「確かに仮面を付ければ自分の正体は分からないと思うけど、傍から見ればどう考えても怪しい奴にしか見えねえぜ。お前、雑魚の癖に盗賊という職業に酔ってね? チョーウケルんだけど。なあ、スクショ取ってSNSにアップして良い? コメントに『目の前に変態仮面なう』でさ」
ついでに煽ってみたら、相手は俺の挑発にキレたらしい。手に持った武器で俺に殴り掛かってきた。
「よっと!」
咄嗟に上半身を後ろに下げて、攻撃をスウェーで躱す。
上半身を戻すのと同時に、相手の髪の毛を掴んでパイプ椅子の背もたれに顔を叩きつけた。
「……!!」
相手がのけ反っている間にパイプ椅子を持ち上げると、膝で椅子を畳んで手を離し軽く浮かせる。
そして、椅子の脚を掴み頭上に持ち上げて、相手の頭を目がけて振り下ろした。
バーン!
モロに喰らった盗賊は倒れて動かななくなった。どうやら気絶効果が発動したらしい。
「ネタ武器だと思ったけど、思いのほか使えるじゃん」
パイプ椅子と倒れた相手を交互に見て肩を竦める。
だけど、叩いた時の音が大きすぎるから、深夜に使うのは控えるべきだろう。
(椅子で殴られるのもみじめだよね)
(今すぐ、全てのプロレスラーに謝れ!)
「さてと……」
気絶している盗賊に近寄って太腿辺りを軽く蹴り、反応がないのを確認する。
持ち物を調べれば、背中のリュックから書類の束が見つかった。
内容を見れば、予想通り会計報告書。目的は同じだったか。
書類を鞄にしまってから、蝶マスクを剥がして顔を見ればイケメンツラだった。
「ブサイクじゃねえじゃん」
服をはぎ取ってパンツ一枚にしてから両手を後ろに縛る。
次に鞄からインクとペンを取り出すと、瞼に目を描いて顔上半分を黒く塗りつぶした。これで仮面をかぶる必要ナッシング!
最後に『Welcome!』と胸に書いてから、M字開脚のポーズにさせる。
何となく昔の漫画でパンティーを頭から被りブリーフ一枚になって悪と戦うヒーローと似ていた。
「笑って、笑って。はい、Welcome!」
パシャ!
記念にスクショを取る。意識がないから残念ながら笑顔はなし。
(あはははははっ!)
落書きされた盗賊の顔を見てテクノブレイカーが大笑いしているけど、役に立たないのにウザい。本当にコイツの存在意義が見いだせねえ。
大笑いするテクノブレイカーを取り出すと、持ち手の部分を両掌に挟んでぐりぐり回す。
(止めてー!! 目が、目が回る!! 吐く、吐いちゃう!!)
お前、口がないのにどうやって吐くんだ?
テクノブレイカーを黙らせて撤収しようとしたら、奥の部屋から物音がした。
こっそり部屋を覗くと、ロープで縛られ猿ぐつわをしたおっさんがベッドの上で暴れていた。一人束縛SMプレイか?
んじゃ撤収。
(え? 助けないの?)
テクノブレイカーが驚いているけど、あんなプレイを見せられて参加するのはチョット遠慮しますよ。
おっさんのくぐもった声を無視して部屋を出る。
一階まで降りてアパートの入り口を伺うと、荒ぶる猫とじゃれていた酔っ払いは猫に負けたのか姿を消していた。酔っていたとはいえ、猫に負けるのは人として情けないと思う。
早く寝よう。
再び暗闇に溶け込むように街を歩き、自分のアパートへと帰った。
翌日、ゲーム内時間の午前10時に目が覚める。
窓の外からは、ドワーフのおっさんがドスの効いた声でチムチムリーを歌っていた。目覚めの一発目にドスの効いた歌を聞いて無気力になる。
両頬を叩いて活を入れ、下はダメージジーンズ、上は黒のパーカーに着替えてから外に出た。
この『ヨツシー』の店で買った黒のパーカーは、オシャレなのかファスナーが白くて後ろに格好良いイラストがあった。
作った桃曰く、「2013年Royal RumbleのCMパ○クレプリカモデルよ。チョー格好いいよね!!」だそうだ。
あいつもあいつで、結構なプロレスマニアである。ゴートゥースリープで一生寝てろ。
最初にブラッドの胃腸薬を作るため、材料を買いに素材屋に行った。
「いらっしゃ……え? もしかして、今日も?」
店の中に入ると、カウンターで商品のチェックをしていた美人エルフが、俺を見るなりギョッとして動きを止めた。そのリアクションに心がへこむ。
「さすがに二日続けてあれは無理」
両手を前に突き出し、首を左右に振って拒否のポーズ。
二日続けてあのハイポーションを飲んだら、健康になるかもしれないが、味覚は確実に死ぬ。ついでに精神も崩壊する。
俺のオーバーなリアクションに、エルフがほっとしていた。
「だよねー。この間、別のお客さんでペットの猫が病気だからって、あのハイポーションを買ったんだけど、1時間もしない内にペットがショックで死んだって苦情が来たのよねぇ……」
「……マジで?」
「一応、止めたんだけど、言う事を聞かなくて……」
エルフの姉さんが頬に手を添えて「はぁ」と溜息を吐く。
……今の話は聞かなかったことにしよう。次回飲む時に心が折れる。
「それで、今日は胃腸薬を作ろうと思うんだけど、材料はある?」
「もしかしてハイポーション対策? 無駄よ」
くっ! 思わず顔を背ける。
何でこの人はさり気なく俺の精神を攻撃をするんだ?
「いや、そうじゃなくてね。頼まれて強力な胃腸薬を作らないと駄目なんだ」
「どのぐらい強力なのが必要なのかしら?」
「そうだなぁ……全長10m以上のキングコブラが一撃で死ぬほどマズイ料理に対抗できるぐらいかな」
ちなみに、これは例えじゃなくてガチ。
「……それ、エリクサーでも無理よ」
あ、やっぱりね。ん? チョット待て!
「エリクサーって存在するの?」
「私も実物は見た事ないわ。だけど、どんな病気も治るという話だけは聞いたことがあるわね」
「……ちなみに聞くけど、エリクサーって不味い?」
「さぁ……それは知らない。だけど、エリクサーを飲むって事は、生きるか死ぬかの瀬戸際だと思うし、味は考慮していないと思うわ」
「デスヨネー」
エリクサーを飲んで病気が治っても心が病みそうで怖い。ああ、ジョーディーさんの料理も似たようなものか……そう考えたら絶望しか生まれねぇ。
「それで、やっぱり買ってく?」
「そうだな……胃腸薬の材料に、毒消しとハイポーションの材料も買ってくよ」
「……一つ尋ねるけど、毒消しとハイポーションの材料は何に使うのかしら?」
「胃腸薬にぶっ込むだけだよ。俺、ハイポーション作れないし」
まだレベルが低いから、ハイポーションの作成は作る以前にレシピすら読めない。
「……毒消しは、まあ、分かるわ。だけど、ハイポーションの材料を混ぜるのは、危険じゃないかしら?」
エルフ姉さんの顔が微妙に引き攣る。
「いやね。元々胃腸薬なんて効果がないのは知っているから、不味い料理に慣れさせるために先に味覚を殺せば、生存率は上がるんじゃないかなって。まあ、不味い物を普通に食べる、たった一つの冴えたやり方ってやつだな」
「その料理がどんなのかは知らないけど、食べる前に死ぬわよ」
「大丈夫、そのために毒消しを入れるんだし」
「……なるほど」
「そもそも、俺が食う訳じゃないから良いんじゃね?」
「……親切と非道の境界線を彷徨っているわね」
エルフの姉さんが、頭を横に振って溜息を吐く。
それから、顔をしかめたまま、材料を紙袋に入れてカウンターに置いた。
「はい、全部で1gと30sよ」
「あいよ」
カウンターの受皿にお金を置く。
「あと、これは飲んだ被害者にあげて」
エルフの姉さんはそう言うと、カウンターに小さなアメ玉を一つ置いた。
「これ何?」
「私が作ったキャンディーよ。美味しいから、その胃腸薬を飲んだ人にあげてね」
「分かった」
カウンターのアメ玉を受け取ると、エルフの姉さんに礼を言って店を出た。
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