第42話 使えない守護霊

 激しい一日が終わった翌朝。『プリンセス・マーマン』のベッドで目が覚める。

 昨日はあの後、特に何もせずに宿屋へ直行。飯も食わずにベッドに横になると一瞬で眠りに落ちた。

 朝起きると防具も脱がずに寝たせいで体中が痛かったから、試しにポーションを飲んだらなぜか治った。何にでも効くのか、この薬……。

 体の痛みは治っても、残念ながら防具の損傷は直らなかった。まあ当然である。

 片耳のレイピアで刺された箇所は穴が開いているし、他の所も血まみれで汚くボロボロだった。

 昨日は暴れに暴れまくったしズダボロになるのは仕方がない。我ながら無茶をしたけど、人間はノリと勢いでしぶとく生き残れる種族なのだと思う。


 食事を取らなかったせいでバットステータスにもなっていたが、寝ている最中にゲイの宿主に襲われなかっただけでもよしとしよう。俺の貞操は内視鏡だけで勘弁してほしい。

 装備がボロボロの状態で町中を歩くのは不審者かイカれたファッションセンスの持ち主以外の何者でもないから、以前に着用していたリザードレザーを装備した。


 お日様大好き。


 一階の食堂に降りると、チンチラ、ジョーディーさん、ステラ、それとリックとフランの5人が朝食を取っていた。

 俺もゲイのおやじに適当な品を注文してから同席する。


「よう、リックにフラン、久しぶりだな」

「レイさんお久しぶりです」

「おはよう。久しぶりね」


 二人は俺が居ない間も元気そうだった。

 リックを見たとき姉さんのパンツを盗む任務について思い出したが、今は話せる話題じゃないから素知らぬ顔をする。


「昨日は良く眠れた?」

「あっという間だったね。何時寝たのかも覚えてないよ」


 チンチラに素直に答える。


「他の皆は?」

「昨日飲み過ぎたからまだ寝てるわよ。あ、ブラッド君はただの寝坊だね」


 ジョーディーさんが教えてくれたけど、今この場所にあの犬が居ないという事は……。


「……ベイブさんも?」

「……ええ」


 そう答えたジョーディーさんの顔から笑みが消える。あの犬は懲りるというのを知らない。


「今日は全員で祠に行くんだけど、レイ君も来る?」


 チンチラから皆の予定を聞かされたけど、祠の指輪は昨日のうちに義兄さんに渡している。

 俺が行ってもやることは特にないと思うし昨日は俺一人で活躍してたから、今回は皆に任せてさぼりたい。


「他のプレイヤーも一緒なんだろ、だったら行かないで別行動を取るよ」

「ふうん。どこに行くの?」


 ジョーディーさんから尋ねられて、予定を考える……。


「取り敢えず教会だな。その後でスキルの常駐枠が2つ余っているから何か取ろうと思う」

「相変わらず忙しい人ね」


 俺の行動を聞いてフランが呆れているけど、皆と違ってコトカに戻るのも久しぶりだから仕方がない。


「スキルか……羨ましいわね」


 うへ、常駐スキル増加の指輪を取り合ったステラにこの話は薮蛇だった。

 彼女に軽く睨まれて溜息を吐かれたけど、じゃんけんが弱いお前が悪い。


「教会には何しに行くんですか?」

「ああ、お祓い」


 リックに答えるとレイピアから、


(え?)


 と聞こえたけどあえて無視。


「お祓い?」

「まあ、いろいろあるんだよ」


 チンチラの質問を適当にごまかした。


(まさか僕の除霊じゃないよね?)


 レイピアから声が聞こえたけど、お前以外に何の用がある?




「お待たせー」


 宿屋のゲイが朝食を持ってきて、去り際に俺に向かってウインクを飛ばす。それだけで空きっ腹なのに食欲が失せた。

 飯は普通だが、ゲイが作ったという理由だけで食べるのに抵抗が生じる。差別的な感想だが、性癖がまともだという証明でもあるから、差別主義者というレッテルも敢えて受け入れようと思う。


 食べると空腹で付けられたバットステータスが消えた。

 何となく体も身軽になった気がしたけど、やっぱりゲイの作った料理と考えると食欲も消えていく。


 食事中、窓の外が騒がしい事に気が付いて振り向けば、数人のプレイヤーが窓に張り付いて俺達を見ていた。物乞いプレイか? ゲームでたかる位なら現実で働け。


「あれ何?」


 俺が尋ねると、皆が同時に溜息を吐いた。


「あれね……私達の追っかけよ」

「はい?」


 ジョーディーさんの返答に首を傾げる。


「ニルヴァーナの知名度が上がったおかげでね、私達も有名になって非公認のファンクラブができたの」


 ステラが呆れ顔で両肩を竦めた。


「なるほど読者サービスか……」

「「それ止めて、本当にシャレにならないから!」」


 俺の呟きにチンチラとステラが同時に頭を抱える。


「ジョーディーさんにも?」


 俺がドチビを見ると、横目でジロリと睨まれた。


「何よ、悪い?」

「だってロリータじゃん」

「一応、私は大人だし、結婚してるし」

「だけど幼女だし」

「現実だとちゃんとした大人だもん」


 大人は語尾に「だもん」を付けないと思う。


「それは知っているけど。姉さんとタメ張るぐらいの美人なのに、何で幼女にしたのさ」


 それを聞いて、現実のジョーディーさんを見たことがないチンチラとステラが驚く。


「だってβの時、大人の格好で趣味に走ったら変な目で見られたし、幼女だったら許されそうだと思ったからかな?」

「いや、許されないから」


 手を左右に振って否定する。

 このドチビは幼女なら何でも許されると思っている時点で、人としての生き方が間違っている。


「ジョーディーさんって美人なんですか?」


 ステラがさり気なく失礼な質問をしてきた。

 本人に悪気はないと思うが、そのさり気なさが酷いと思う。


「一応、学生時代はもてたわよ」

「まあ、メガネを掛けた知的美人って感じだったね」

「あれ、伊達メガネ」

「何で掛けてるの? そのままでも美人じゃん」

「ベイブの趣味」

「「「…………」」」


 ……この夫婦はダメだと実感した。


 もう一度窓の外を見れば、相変わらず数人のプレイヤーがこちらを見ていた。

 フードを被っているから俺の顔は見られないと思うが、見られながらの食事は正直気まずい。

 だけどそんなに暇なのか? 俺がこのゲームをすると毎回ログアウト時にはヘロヘロで疲れるのだが、少しは俺の忙しさを分け与えたい。


「うーん。中まで入ってこないし、それなりに行儀は正しいのか?」


 だけどそれは違ったらしい。


「宿のおじさんが追い払ってくれたのよ」


 おじさん? ……ああ、ゲイね。


「やけに楽しそうだったけどね」


 チンチラが答えて、ジョーディーさんがその様子を教えてくれた。

 確かにゲイに迫られたら目の前に美人が居ても確実に逃げるだろう。

 ゲームの中で青お、違う。青髭イに迫られるとか、このゲームは何時からホラーゲームになったんだ?

 それと、シリウスさんのネット情報だと、女子人気ランキングの一位は姉さんらしいが既婚だぞ? 二位がチンチラ、三位が同順でステラとローラさん。五位にジョーディーさん。

 ヨシュアさんがランク外なのは意外だと思ったら、男子の人気ランキングに入っているらしい。

 しかも、一位がヨシュアさん。二位が義兄さんで、三位がシリウスさん。残りのメンバーはランク外と、こっちは最初の一位からいろいろとおかしい。


「ヨシュアさんって女性じゃん」

「でも美形じゃん」


 突っ込んだら、さも当然という感じでジョーディーさんが答えたけど、それ同性愛ちゃうのか?


「ちなみにレズとかそういうのじゃないわよ」

「そうなの?」

「そうよ、女性というのは男女関係なく美しいものを愛する心を持っているのよ。これだから芸術を理解していない野蛮人は駄目ね」


 ボロクソに言われたけど、腐った芸術性を持つお前だけからは言われたくない。

 男性のランク外メンバーのファンクラブは特になかった。それでブラッドがいじけているらしいけど、どうでもいい話だからこの話題はここまで。




 食事が終わると俺だけ先に出かけることにしたが、正面から出たら面倒臭そうだし、ステルスを起動して裏口からこそこそ宿屋を出た。

 コトカの町を歩いて最初に教会に向かう。


(嫌だ! 嫌だ!)


 教会の前に立つと腰のレイピアから声がしたけど、犬や猫を飼う時だって予防接種をするんだから、お前も素直に受けろよ。


(犬や猫と一緒にしないでよ)

(それ以下?)

(酷い!!)


 まあ、いくら叫んでも無機物のお前は動けず逃げられないんだから諦めろ。


 教会に入ると厳粛な空気の中、中央の奥に一人の若いシスターが瞑想をしていた。妄想とも言う。

 世の中、他人の解釈次第で偉人にもなれるし、変人にもなれる。


 彼女に近づくと、俺の気配を感づきシスターが目を開けた。

 彼女は目の色が緑でやや年配だけど、なかなかいける美人のシスターだった。

 聖職者はエロと一番かけ離れた職業だけど、そのギャップが堪らない。


「おはようございます。今日はどのような御用でしょうか」


 彼女は優しい声で俺を出迎える。つい、喘ぎ声を妄想する。


「除霊をお願いします」

「除霊は5gになりますがよろしいでしょうか」


 微妙に値段が高けえ。だけど今の俺なら余裕の金額なので、素直に頷き5gをシスターに支払った。

 腰のレイピアがグスグス泣いているけど、俺だって悪霊かもしれない奴と常に一緒とかゴメンだ。


「では除霊を行いますので、背を低くしてください」


 そう言われてシスターの前で立て膝をつき、レイピアを掲げる。

 シスターが俺の頭に手を載せて聖書の一文らしき呪文を唱えると同時に、天からの光が俺の頭上に射してきた。

 なかなか良い演出をする神様だなと思っているとレイピアから……。


(ああ、気持ちいい……心が洗われるナリィ……)


 という声が聞こえた。よし、このまま成仏しろ、アバヨ!


「終わりました。お疲れさまでした」


 射し込む光が消えると、シスターが微笑んで俺の頭に載せていた手を離した。


「ありがとうございます」

「いえ、また何かあったら何時でも来てください。神は常にあなたを見守っています」


 奴も成仏したし、この場を立ち去ろうとシスターに背を向けると……。


(気持ちよかったー。また来ようねー)


 とレイピアから声が聞こ……なん……だと?


「クソッたれ!!」

「キャッ!!」


 レイピアを思いっきり大理石の床に叩きつけると、バーン! と静寂な教会に騒音が響き、目の前のシスターが悲鳴を上げる。


(だから、もうそれ止めて!!)

「ウルサイ! 黙れ!!」


 レイピアを拾ってから、シスターの目の前に突きつける。


「オイ、ババア! 成仏できてねえじゃねーか、仕事しろ!!」

「ヒャイ!!」


 クレームを入れたらシスターが変な悲鳴を上げた。声が可愛いくて、イク時の声を妄想する。


「ヒャイじゃねえ、そこはイグだ! ってちげえよ!! 除霊ができてないって言ってるんだ!!」

「でも、除霊はしましたよ?」

「だったら何でこの武器から声が聞こえる!!」


 俺の文句にシスターが顔を近づけてレイピアを調べた。


「……これ、別に呪われていませんが?」

「何? ……どういうことだ?」

「もしかして、その話し掛けている方って守護霊じゃありません? それだと除霊できませんよ」


(そうなのか?)

(そうだよ)

(お前何の守護をしてるんだよ。騒ぐだけで何の役にも立ってねえじゃん)

(いつも応援しているよ)


 使えねえ……。


「守護霊って除霊できないの?」

「守護霊を除霊してくれという方は始めてですね……やったことがないから分かりませんが、守護霊は霊位が高いので普通の除霊は無理だと思いますよ」


 シスターからの回答を聞いて、溜息を吐く。


「あのーー。ブリトンに行けば守護霊も除霊できる高位の司祭も居ますけど、寄付金も凄く高いと思います」

「……そう……ありがと……」


 シスターの話にガックリ肩を落として、そのまま教会を後にした。




 教会を泣く泣く後にした俺は、冒険者ギルドへ向かった。

 冒険者ギルドに入ると、数人のプレイヤーが中で屯していた。

 普段はもっと混んでいるんだろうけど、今日は祠でイベントがあるから高レベルのプレイヤーはそちらへ向かっているんだと思う。


 壁のスキルリストを見て腕を組んで色々と悩む。取るとしたら戦闘系か、探索系のどっちにしようか……。

 一度自分のスキルを見てから考えることに決めて、コンソールを開き確認することにした。


 まずレベルだが、レベルが2つも上がっていた。

 何時も思うのだが、上がるタイミングが常に忙しすぎる。今回も海賊や片耳と戦っている最中に上がったと思うけど、あの状況でスチェックしている暇とかないし、レベルアップも空気を読んで上がってほしい。


 Lv19

 スティールレイピアSTR+3、AGI+6、痛覚倍増付与付


取得スキル

 スキル増加の指輪(+3)

 【生存術<Lv.18> INT+1】

 【危険感知<Lv.18> INT+1】

 【戦闘スキル<Lv.20> VIT+2】

 【盗賊回避スキル<Lv.14> AGI+2】

 【盗賊攻撃スキル<Lv.20> AGI+2】

 【盗賊窃盗スキル<Lv.8> DEX+1】

 【盗賊隠密スキル<Lv.17> DEX+1】

 【突刺剣スキル<Lv.20> AGI+4】

 【打撃スキル<Lv.14> STR+2】

 【格闘技スキル<Lv.14> STR+2】

 【サバイバルスキル<Lv.8>】

 【空き】

 【空き】


控え

 【生産スキル<Lv.10> INT+1】

 【調合士スキル<Lv.14> INT+1】

 【毒作成スキル<Lv.14> INT+1】

 【薬草学スキル<Lv.14> INT+1】


 攻撃と生産で分けてみた。

 今回、生産系のスキルは取らないからパス。

 攻撃で欲しいのは、戦士回避(パリィ)スキルと軽業スキル、探索で欲しいのは罠解除スキル。

 戦士回避(パリィ)スキルはベイブさんやブラッドが持っているスキルで、武器で敵の攻撃を受け流す技の成功率が上がる。

 軽業スキルは跳ねたり、機敏に動いたりできるスキルだと思う。

 昨日の戦いで思いついたから実はちゃんと調べてない。だけど、盗賊回避スキルと合わせると回避が楽になりそうだし、片耳との戦いで素早さ重視の攻撃を散々喰らって自分も使いたいと思った。


 罠解除スキルは罠解除の補佐をするスキル。

 補佐と言ってもアドバイスがあるわけじゃなく、何となくヒントが脳裏に浮かぶ程度らしい。


 散々悩んだ揚げ句、場所でスキルを切り替えればいいやと三つとも取ることにした。

 今までのゲーム履歴を考えると、ダンジョンだと表立って戦闘には参加していないことから、追加でセットするスキルを軽業スキル、罠解除スキルにする。

 対人戦の場合、何故か表立って戦闘。しかも、今回はボス戦をタイマンするとか「ゲームで死ぬのにそんな戦闘するとかありえません」とか言われそうな行為までしちゃったりして、俺だって好きでやってる訳じゃねえし、あくまで成り行きだから仕方がない。

 おっと、現実に戻ろう。対人戦があると分かっているときはパリィスキルと軽業スキルをセットすることに決めた。


 うん、これで決まり。

 ここでは軽業スキルを購入。戦士回避(パリィ)スキルは戦士ギルド、罠解除スキルは盗賊ギルドで売っているから、後で買いに行く予定。




 受付に居た猫耳姉さんの所へ行って、軽業スキルを注文する。


「10sになるにゃ」


 にゃ! 猫の獣人NPCと初めて会話したけど、語尾の「にゃ」があざといな。


「よろしくにゃ」


 10sをカウンターに置く。


「マネするにゃ」

「ごめんにゃ」

「もういいにゃ。プレートに手を置くにゃ」

「了解にゃ!」


 ちょっと怒らせたらしい。ジロリと睨まれた。

 素直にスキルトレーナーに手を置くと、猫耳姉さんが何かを弄ってプレートが光る。


「終わったにゃ」

「ん、ありがと」


 俺の礼を聞いてた猫耳姉さんがズッコけた。


「チャカすなら最後までやるにゃ!」

「スマンコ」

「最低にゃー!」


 猫耳姉さんに片手で謝ってスキルを確認すると、軽業スキル<Lv.8>が追加されていた。

 レベルがいきなり8で、瞬発ステータスにも+1追加された大盤振る舞いが嬉しい。

 多分だけど、盗賊回避スキルで避けたり、バク転やバク宙、飛んだり、逃げたりした結果だと思う。

 そして、アクションスキルも追加されていた。


 ホップ……通常より大きく飛ぶことができる。


 ステップ……ホップの後に連続で大きく飛ぶことができる。


 ……次に覚えるのはどう考えてもジャンプ。

 それと、確認した時に盗賊攻撃スキルのレベルが上がっていて、新たなアクションスキルを手に入れていた。


 バランス崩し……足蹴りの後の連続スキル。ダメージはないが、高確率で相手を転ばす事ができる。


 まともだよぅ。盗賊攻撃スキルが仕事したよぅ。

 前の死んだふりを手に入れた時はスキル選択を間違えたと泣いたけど、今回のスキルはまともで嬉し涙が出てきそう。

 気分も高揚して、軽業スキルの確認を兼ね、ピョンピョン跳ねながら冒険者ギルドを後にした。


「ギルドの中で飛び回るにゃ!」


 背後で何か叫び声が聞こえたにゃ!




 パリィスキルの取得に戦闘ギルドへ向かうその途中で、「ヨツシーの武器防具屋」の看板を掲げた店の前を通り過ぎる。

 ヨツシー? あの配管工がジャンプの土台にして、いつも谷底に落とされる緑の珍獣に似た名前だけど微妙に違う。

 チョット気になって店の前で覗くと、どうやらプレイヤーが経営している武器防具の店で、修理も請け負っているらしい。

 昨日の戦闘で壊れた防具の修理はしたいけど、アイテム預けてそのまま持ってかれる詐欺もありそうだし、やめとくか……。


「でっていうー!」

「ぬお!!」


 踵を返した途端、背中に衝撃を受けて道端に倒れる。

 振り返ると、金髪でピンクの服を着た女性が俺のマントを掴んでにじり寄って来た。


「な、な、何?」

「今、うちの店を見てたよね? 見てたでしょ? 見てなくてもいいから、うちの店で何か買って!」

「え? え? え?」


 女性が絶対に逃がさないという形相で俺に迫ってくるけど、出会って0.1秒で路上プレイ? 初対面で恥辱プレイを強制されても、俺にはちょっと敷居が高い。


「ブリトンに行くお金がないの! このままじゃ破産しちゃうの!」


 金がないなら、今すぐパンツを脱いで中年おやじに売りに行け。

 さらに、彼女が俺に跨って襟を掴みガクガク揺さぶっていると……。


 ゴン!


 別の女性が俺の後ろから現れて、跨っている女性の後頭部を殴って気絶させた。


「お前は痴女か? 客引きがポン引きを超えているぞ」


 倒れた女性越しに見上げると、そこには背の高いエルフが立っていた。

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