第113話 アーネコス村の村長が来ました

 俺ホールに戻ると、ベアトリスとウルが現れて、

「凄い音でした、それにあの雲」

「何なんですかアレ」

 と、二人が口々に聞いてきた。

「ああ、メテオストライクだ」

 そう言うと、ウルが固まる。そして、

「メテオストライクなんて、何百人ものエルフが同時詠唱で使う魔法じゃないですか。

 それも魔力操作が難しくて成功率も低い!」

 と捲し立てる。

「んー、俺の魔力量なら問題ないようだね。

 なんせエルフと比較して五百万対一の比率らしいから。

 まあそういうことで、メテオストライクで村を消滅させた。

 帰るところを消滅させたわけだ。

 だから俺には獣人たちを幸せにする責任がある。ベアトリス、ウル、手伝ってもらえるかな?」

「はい、当然です」

「私も」

 二人は頷いた。


 獣人たちに食事が終わるとミカルさんや獣人たちと話をする。

 その時、

「あなたは、私たちの主になる人です。

 ですから『アリヨシ様』と呼ばせていただきます」

 ミカルさんが俺に言うと、獣人たちも頷いていた。

 そして、今後の事について、獣人にやってもらいたい仕事の内容、賃金、衣食住について、獣人たちの質問を交えて話し合い合意すると、

「わかりました、我々はあなたに従いここで生活をします。

 ここまでしていただいたのです。十分に恩に報います。

 いいな、みんな」

 ミカルさんが話を締め、それに合わせ獣人たちは頷くのだった。


 数日後アーネコス村の村長爺さんが二人ほどお付きを連れ俺の家にやってきた。

「巫女様、先日凄い大きな音と共に高く雲が上がりました。何かご存じでは?」

 ということらしい。

「巨人が言うには、あれは隕石だと言うことじゃ」

 ノワルに対応してもらった。

 落とした本人が言うんだから間違いない。

「隕石?」

 村長爺さんはわからないようだ。

「隕石とは空の上から落ちてきた石。凄い高さから落ちてきた石は凄い速さになり凄い力がある。だからあんなふうになったのじゃろう」

 俺の言葉を代弁するノワル。

「『隕石』は頻繁に起こるものでしょうか?」

 不安げに聞いてくる。

「滅多には無く、昨日の隕石もたまたまじゃろう……と言うておる」

 というと、

「そうですか、少し安心しました」

 村長爺さんは胸を抑えフウとため息をついた。

 納得したようだ。


 ノワルに

「獣人の事も話しておいてくれないか?」

 と、パスで話す。

「村長よ、今度ここに獣人たちが住むことになった」

「えっ、獣人がですか?」

 不安げな村長爺さん

「『事後報告で申し訳ない。迫害されている者を我々の近くに住まわせることにした。アーネコス村に迷惑をかけることは無いので、安心するように』と巨人が言うておる」

「わかりました、我々に迷惑が無いのであれば問題ありません」

 こっちは渋々納得かな。

 そして村長爺さんお付きを連れて、村へ帰っていった。


 獣人たちはエルフに付き従い仕事へと向かう。

 ウルが言うには、獣人は力仕事に向いていると言うことらしい。

 鉱山ではドワーフとともによく働いてくれていると言っている。

 家畜の世話も畑の手入れも丁寧だといっていた。

 採掘した岩塩の運搬やランニングバードや牛の世話は獣人に任せてもいいかもな。

 獣人たちの住む家も作らないとなぁ、仮住まいじゃ大変だろう。

 

 こうして、獣人たちがうちに住むようになる。

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