第4話 ペットにするなら……。

 レーダーに反応、赤が二つ。


 赤は敵性反応って事で俺の敵?

 俺の家の前で何やってるんだろ?


 一応剣を取り外に出る。

 外に出ると、俺の胸の高さ位あるティラノサウルスっぽいのと体高で膝よりちょっとあるデカい犬? 狼? が闘っていた。

 

 カッコいいから狼にしておくか……。

 

 狼のほうが劣勢、すでにティラノサウルスが狼の首に噛みつき窒息させようとしていた。

 

 んー、ペットとしては狼のほうがいいよな。

 爬虫類ならドラゴンのほうがカッコいいし。

 ティラノサウルスじゃ、頭悪そうだしなぁ……。

 

 勝手な判断で俺はすでに狼を飼い慣らす気になっていた。

 魔法は誤爆があると考え、俺は剣を持つと気配を消してティラノサウルスに近づく。


 悪い、個人的趣味だ。

 ちなみに爬虫類は苦手だ!


 そう思いながら大剣を振るい、首を飛ばした。

 剣の型とかは体に覚え込まされているのか流れるような動きで首を飛ばす。

 ティラノサウルスの首は真上に飛び、そのまま立ち往生したのだった。


 俺は狼に近寄り治癒魔法であるオールヒールを使う。

 魔法は……ゴメン、勝手に思い浮かんだ。

 すると狼の傷は消え綺麗な毛並みの狼に戻る。

 信じられない事なのか狼は目を開けキョロキョロと自分の体を見て傷が消えていることに驚いていた。

 周囲を見ると首なしで立っているティラノサウルスに気付いたようだ。

 そしてそれを倒したのが俺だと言う事も?

 狼は俺を見ると服従のポーズ(って奴?)で俺に腹を向けて寝転がる。


 俺は狼の腹を撫でる。

 おぉ、気持ちいい。モフモフって奴なんだろうな。

 狼も目を瞑り気持ちよさそうにする。

「おっと、チ〇コないねぇ。お前メスか?」

「ワウ」

 質問に吠えて返す狼。

「お前頭いいな。返事できるのか」

「ワフ」

「やるのう」

「ワフ」

 意識が戻ってから一人ぼっち……会話になっていない会話ができるだけでも俺は嬉しかった。

 話し相手が居るって素晴らしいねぇ。

 撫でるのをやめると、俺の横に座り込む狼。

「お前名前要る?」

 と聞くと狼は、

「ワフ」

 と吠えて、ブンブンと尻尾を振る。

 名が欲しいようだ。

「ポチ」

「クゥーン」

 あからさまに嫌な顔をする狼。

 尻尾に元気がなくなる。

「じゃあ、タマ」

 まさかねこの名でも……と思って言ってみたが、

「クゥーン」

 再び狼は嫌な顔をした。

 俺は無い頭を振り絞って考える。

「日本語の奴はダメか?

 うーん、灰色だからグレアってのは?」

 と聞いてみると、

「ワウ!」

 グレアの大きな同意の返事と共に、何かが繋がったような感じがした。

「ご主人様」

 若い女の子の声が聞こえる。

「ん?」

「ご主人様!」

 やはり聞こえる。

 目の前にはお座りをしてブンブンと尻尾を振っているグレア。

「グレアか?」

 俺が声をかけると

「そうです、グレアです。

 先ほどは助けていただいてありがとうございました。

 あのままだったら死んでいました」

 グレアが礼を言ってきた。

 俺を見ているだけだが俺には言葉が聞こえてくる。

「どういう事?」

 そう考えた時、頭に『パスシステム』と言う言葉が浮かんだ。

 特定の人や動物と意思疎通ができるという物だった。

 

 巨人は大きすぎて、エルフたちの声が届かない可能性があった。

 そのためマスター的なエルフと俺は『パス』を繋ぎ、念話で意思疎通する予定だったようだ。

 グレアに名前を与えたことでパスがつながったって事かな?

 よくはわからんが、まあ貴重な同居者ができただけでも良しとすることにする。


「グレア、あれどうする?」

「ご主人様、走竜の肉は美味しいのです。

 昔、群れで勝った時に食べたことがあります。

 食べましょう!」

 期待しているのだろう、グレアは尻尾をブンブンと振っている。

「じゃあ、俺んちで食うか?」

「はい!」

 俺は走竜(ティラノサウルス)の体を担ぎ、頭を右手に持つとホールに向かって歩き出した。

 そして、その後を追うように、俺なのか肉なのかを見上げながらグレアがついて来るのだった。

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