第3話 外に出てみました。

 ギシッ!

 軽く扉を押してみたがきしむ音がするだけで全く動かない。

 

 閂でもしてあるのかね?


「んっ!

 ふんっ!」


 扉を押す力を強くしてみたが更にギシギシと言うだけだった。

 

 壊れている?

 

 よく見ると蝶番が内側にあった。

 って事は内開きの扉だったのね……。

 失敗失敗……。


 巨大な体でテヘペロを一人でして寂しくなる。

 何をやっているんだか……。


 軽く内側に引くと案外簡単に開いた。

 外は見えず土の壁があるだけ……。

 埋まっているようだ。

 手で掘ってみるが土がホールの中に入るので鬱陶しい。

 しばらく家にしなけりゃいけないのに。


 うーん、面倒くさいなぁ。


 本気のパンチを土の壁に入れた。

 ゴッと言う音とともに拳大の穴が開く。

 おっと上手くいった。穴を通して外が見える。

 位置を変え数発……すべての穴から光が入ってくる。

 残った土を除去しようと触ると、ガラガラと言う音とともに崩れ、俺が十分通れそうな道ができていた。


 パンチのが入った位置から放射状に土が飛んだらしくパンチの位置から遠いほど土が無くなっていたようだ。 

 出来上がった道を通って外に出ると、鬱蒼とした森林地帯だった。

 本当に何もない。

 夕方だろうか朝だろうか空が焼けていた。


「今の情報何も無いなぁ」

 そう独り言を言って空を眺める。

 時間が経つにつれ空が暗くなってきた。

 夕方だったようだ。

「まっ、明日だな」

 俺はそう言って、ホールに戻った。


 次の日の朝、

「ん?」

 外に何かの気配がした。レーダーにも数個の光点。

「……!」

「……!」

「……」

 何かの声もする。

 気になって俺は起き上がり外に出ると、ちっちゃな人が俺を見て逃げていくのが見えた。

 あのガリバーの気分はこんな感じなのかもしれない。

 人と俺の大きさを比較すると大体十倍かな。


「おーい、俺の言っていることわかるか?」

 声をかけてみたが恐れているのか、声を出したとたんに逃げ出した。

 しばらく待ったが、結局戻っては来なかった。

 俺も取って食う気も無いのでそのままホールに戻る。


 俺どうすりゃいいんだろ……。


 ホールの天井を見て考える。

 しかし何も思い浮かばない。


 この大きさじゃなぁ。

 世界に溶け込むのも難しそうだ。


 不意に立てかけてあった鎧を見た。

 俺、これ着けられるんだろうか?

 試しに付けてみたが、意外とやり方がわかる。

 とりあえずそこら辺の知識も俺には入っているようだ。

 せっかくなので兜もつける。


 おぉ巨〇兵。

「薙ぎ払え!」ってか?

 俺が口から魔法を吐けばそんな感じになりそうだ。

 

 実際に口から魔法!

 とか思ってぶっ放したら、実際に光線が出た。

 当たった山が吹き飛ぶ。

 そんなふうに巨神○になった気分を味わっていたが、むなしくなってやめる俺だった。


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