第47話 柵を作ろう。
「さて、牛と鳥を飼うために柵を作る必要があります。
という事で、今日は柵作りです」
頷く三人。
「俺とウルは製材。
グレアとノワルは製材の手伝いの後、杭打ちして板を張り付け柵を作ります」
「「「はい!」」」
俺は、三人を肩に乗せ、農地に向かった。
開墾の時に引き抜き端に寄せておいた木の前で止まる。
結局、俺たちで使うことになったな。
俺はナイフを使って枝打ちを始める。
一本一本枝を取り丸太にした。
グレアとノワルは一部だけ人化を解く。
人差し指の爪がフェンリルとドラゴンの爪になっていた。
太い枝は杭として使うので、細かい枝をグレアとノワルに切ってもらう。
百本ほどあった木がみるみる丸太と杭になっていった。
俺はその丸太を、ナイフで板にする。
んー、ナイフだとさすがに厚さが一定にはならないか……。
まあ、家を作る訳じゃないし別にいいかな?
ウルは水の精霊に頼んで等間隔に並んだ高圧水の刃を丸太の太さに合わせて数枚から十数枚生成、それを動かして板にしていく。
製材されたような木の板ができた。
「ウル、その発想凄いな」
「でも魔力の使用量は多いですね」
「精霊って俺でも扱えるのかね?」
「アリヨシ様はエルフに作られたと言っていたから、精霊と相性はいいと思います。
というか、アリヨシ様の周りで凄い数の精霊が魔力を吸っているんですよ?
アリヨシ様は魔力を垂れ流しているから、おこぼれを貰いに来ているのです」
なんかダダ漏れらしい。
確か温泉にも漏れているとか言ってたな。
「どうやったら精霊が言うことを聞く?」
ウルに聞いてみた。
「お願いすればいいと思います。
精霊に魔力を渡してお願いして精霊ができることをやってもらうのが精霊魔法。
私が唱えている呪文はエルフの言葉でお願いしているだけですから」
「だったら、あの木を指差して『俺の周りに居る精霊よ、ここにある丸太を板にしてくれ』ってエルフの言葉で言ったらしてくれるわけ?」
と言った瞬間、ちょっと魔力が抜ける感覚があった。
目の前の丸太に等間隔で亀裂が入り同じ厚さの板が出来上がる。
「へ?」
「アリヨシ様、木の精霊が手伝ってくれたようです。
精霊の指定をしなくても手伝ってくれるなんて凄いですね」
「おお、訳がわからないが凄いんだな。
でも、俺の知識では火、水、地、風の四つの精霊だけだと思っていたんだが」
「アリヨシ様が言ったのは四大精霊ですね。
ただ、他にも精霊はいます。
先ほど手伝ってくれた木の精霊。光や闇の精霊も居るんですよ。精霊を指定した方が必要な魔力は少なくなると思います」
俺の精霊魔法の知識は基本的なことだけなのかな?
「じゃあ精霊よ、杭の皮剥きと乾燥をお願い」
俺がそう言うと、あっという間に杭の皮は剥かれ、乾燥が終わった。
グレアとノワルはポカンとしている。
ウルに板の乾燥を頼むと、
「アリヨシ様がやった方がいいのではないですか?」
そう言ってきたが、ウルは少ない魔力で俺より上手く精霊魔法を使う。
「俺は今日初めて精霊魔法を使った。
ただ、魔力が多いお陰でウル並みに魔法を使えたけど、もっと効率よく効果的に使えるようになりたいと思うんだ。
だからまた教えてな」
「はい、任せてください」
ウルが頷いた。
さて、材料はできたぞ。
グレアとノワルに、牛を飼う予定の農地と鳥を飼う予定の農地の周囲に等間隔に杭を打ち込んでもらった。
というか突き刺すと二メートルほどありそうな杭が半ばまで埋まる。
すごい力だな。
そこに板を取り付けるわけだが、板を置き「木の精霊、木同士くっつけて」と言うと下手に釘を使うよりも強くくっついた。
ウルが引っ張ってもびくともしない。
こうして柵ができた。
まだ杭も板が残ってるが、また使い道もできるだろう。
ホールの奥に積み上げるのだった。
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