第84話 家の査定をしてもらいました。
俺は一度ホールに帰りウルを探す。
ありゃ、居ないねえ。
「ウル、どこ?」
パスで声をかけた。
「お温泉に入っております。
いつアリヨシ様のお呼びがあってもいいように……。
で、どこでしますか?」
温泉に浸かっていて見えなかったのか……。
「いや、お前とやるために呼んだんじゃないし……」
「それでは何を?」
ウルの不思議そうな声。
不思議じゃないし……。
「村のエルフたちが住む家を作ったんだ。
ウルにその家を一度見てもらって意見を聞きたい」
「少し待ってくださいね。
何なら私をじっと見ていてもいいですよ」
なんか変わったなウル……。変な方向に吹っ切れてるぞ?
ウルの着替えが終わると、二人で集落へ向かう。
「ウル、こんな感じでできたんだが……」
そこには石でできたマッチ箱のような建物が並ぶ。
「さすがはアリヨシ様ですね。これほどの物を短時間に……」
「一緒に中に入って確認してくれるか?
手直しが必要ならやっておきたい」
「はい!」
ウルは俺の腕に抱きつき一緒に中に入る。
俺的にはこの家で何も問題ないと思うが、どうなんだろう……。
「カマドが欲しいですね」
「カマドかぁ……」
田舎の古い家にあるやつでいいかな?
メイウルで小っちゃい壁、縦五十センチ、横一メートル、高さ八十センチを作り、内部の成型は土の精霊に頼む。薪を入れる所と、鍋やフライパンを置くところを作成。
後は、硬化と、石化でどうでしょう?
「ウル、こんな感じでどう?」
「はい、これなら問題ありません。
村人が来た時には薪を準備してもらえると助かります。
ずっと魔法で火を使うわけにも行きませんので……」
「おう、了解」
他の所にもカマドを作成する。
「アリヨシ様、食器などは村人たちが自分で持ってくるでしょう」
「そういや、移動の手段とかあるのか?」
「馬が数頭いたと思います。馬車での移動になりますね」
俺とノワルで荷物、グレアで人を運べば何とかなるかな。
「あっ、アリヨシ様。できたらお温泉も……」
「温泉?」
「はい」
ふむ……。
メイピで湯船を二つ、ディトで温泉の給水溝と排水溝を作成。あとメイウルで温泉場と温泉周りの壁、男女の仕切り板をつくってと……。
「アリヨシ様?」
「何?」
「何で湯船が二つ何ですか?」
「男湯と女湯って考えてるんだが」
「何で男湯と女湯なんですか?
一緒に入らないのですか?」
「エルフは一緒に入るのか?」
「エルフは行水になります。
お温泉に入る習慣は有りません。
でももしお温泉を作るなら男女一緒のほうがいいと思います。
ただでさえ出生率の低いエルフです。
裸同士でお温泉に入れば……ね?」
「『ね?』って何だ?
まあ、湯船は大きめのを一つにしておくよ」
これで、温泉はできたと……。
「ウル、食事はどうすればいい?」
顎に手を置いて上を向いて考える。
「そうですね、食料は皆で持ってくると思いますのでしばらくは問題ないでしょう。
問題はその後ですね。
弓等の武器があれば狩りに出て肉は自給すると思います。
穀物はベアトリス様に頼んで定期的に仕入れるようにすればいいでしょうし、そのうち畑でも収穫ができるようになるかと……。
野菜は、近辺に菜園でも作れば大丈夫かと」
「服は?」
「エルフは、製糸、機織り、縫製、自分で服を作る術を持っています。
時間があれば問題ありません」
さすが寿命の長いエルフだ。
時間で何とかするんだね。
「じゃあ、とりあえずこれで受け入れは可能だな」
「はい!」
準備完了!
あとは、受け入れだねぇ。
穀物の件は、ベアトリスと相談するか……。
俺とウルはベアトリスを探し食べ物系の話をしに行くのだった。
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