第43話 食べ物に興味があるようです
開墾した農地で何を作るか話をする俺たち。
「ご主人様、私は野菜や穀物が無くてもいいのですが」
「
肉食二人組は野菜……そもそも肉以外は嫌いなようだ。
「そうなのか……。
小麦粉や野菜が有ればいろいろな料理が思い浮かぶんだが……」
そもそも肉に火を入れるという行為さえ知らなかったグレアとノワルだ、
「その料理はおいしいのか?」
と食いついてくる。
「そうだなぁ、ピザとかも美味いし、クッキーとかも美味い。
んー砂糖が有ればなぁ、牛乳も欲しいな。
あと卵も欲しい。
プリンなんてできたら……」
懐かしい言葉に涎が出てきた。
ボトリと落ちたら、結構な水たまになっていた。
それを見たグレアとノワルが、
「「そんなに!」」
と涎を垂らす。
ウルは何にも言わずにジュルリ。
「ご主人様があんなになるなら、私が食べたらどうなるんでしょう?」
「アリヨシの顔が凄いのう。
緩みきっておる」
「アリヨシ様があんな顔をするなんて、相当美味しいんですよ」
グレア、ノワル、ウルの会話が続く。
まあ、ピザもクッキーもプリンも美味いのは間違いない。
「アリヨシ様、牛乳とは?」
ベアトリス様が食いついてきた。
「ああ、牛の乳だ。体にいいんだぞ?
色々な料理の味をまろやかにする」
「牛の乳?
労働力としてしか使っておりませんが、乳も飲めるのですか?」
「そうです、ベアトリス様。
乳を作る専用の牛を作れば、美味しいですよ?
まあ、好き嫌いは有るだろうけどね」
「牛の乳が美味しい。
知りませんでした」
「牛の乳は女性の乳も大きくすると聞いたことがあるな」
俺が言った一言に、
「それは必要じゃ」
「すぐに手に入れましょう」
「私が何とかします」
グレアとドリスを除く三人の目の色が変わった。
あまり牛乳に興味が無かったドリスが、
「卵は魔獣から得ることができますが、卵を温める魔獣はすばしっこく手に入ることは稀です。
そんな魔獣の卵を見つけて食べても病気になることがあると聞いたことがあります」
と俺に言う。
キッとドリスは三人に睨まれたが、ドリスは気付いていないようだ。
まあ、ドリスは胸がデカいからなぁ……。
俺はドリスの質問に、
「飼えばいいんだよ。
卵を産む条件に合った場所を作る。
できれば飛べない鳥のようなものが居るといいかな?
柵で事足りるから……。
飼料を食べさせ栄養をつけ卵を産んでもらえば傷んでいない卵を得ることができる。
オスとメスを一緒にしておけば雛も生まれるからな。
雛の中でオスは肉として出荷してもいいと思うぞ。
雛鳥でも香草と塩で焼くだけでも十分に柔らかくて美味いだろう。
親鳥でも少し肉は固いがその分味がある。
どちらも糞は肥料になるから、近くの村で使ってもらってもいいかもな」
俺が言うと、
「アリヨシ様、その開墾した場所で牛や鳥を飼ってみてはどうですか?」
ドリスが言ってきた。
「えっ、俺がやるの?」
俺が言うと、
「私が牛の調達をします。
どの程度の数が必要でしょうか?
自分のためですし……」
ベアトリス様が手を上げる。やる気満々?
自分の……胸のため?
「雄二頭、雌二十頭ぐらい居ればいいんじゃないかな?
様子を見て増やせばいいし、子が産まれれば勝手に増えると思う。
経験がないから適当で申し訳ない」
「わかりました。先ほどの料理は美味しいのですよね!」
あっ、それもなんだ……。
「美味いと思うぞ?」
「鳥系の魔物は、アリヨシと我らに任せるが良い。
めぼしいのは居る」
ノワルが手を上げる。
えっ、俺そのメンバーに入るの?
「アリヨシ、その料理は美味いんじゃな?」
ノワルもそこが気になるのか?
「美味い……はずだ……」
次は、
「小麦の種は私が準備します」
ドリスも手を上げる。
「アリヨシ様、その料理美味しいのですよね?」
こっちもそこなんだ……。
「多分……」
どんどん自信が無くなる俺。
「あと砂糖が有ればいいんだけどな」
「アリヨシ様、砂糖はなかなか手に入りません。南方から持ち込まれるために金額が張ってしまうのです」
ベアトリス様が説明する。
「ああ、それは南方の植物であるサトウキビで砂糖を作るからだね。こっちに飼料用の野菜で大根のように根が太くなるものは無い?」
「あっ、有ります」
心当たりがあるのか、ドリスが声を上げた。
「どうせ牛や鳥用に飼料が必要となる。
植えてみよう。
その野菜が俺が思っているものと一緒なら、砂糖ができるかもしれないね」
「ベアトリス様、俺たちが開墾した場所を買いたいのですが、伯爵様権限で何とかできないですかね?」
「わかりませんが、一度見てみたいですね。
私は明日も居ますから連れて行ってもらえますか?」
「わかりました、明日の朝に迎えに来ます。
ドリスも一緒に行くか?
お前にも見ておいて欲しい」
「行きます。明日の朝ですね……」
明日の朝は二人を迎えに来ないとな。ノワルかグレアに頼もう。
結局散歩は俺の開墾した場所の活用方法の話になった。
皆、美味しいものに目がない事も分かった。
忙しくなることを期待しよう。
ちなみに、村に帰ってもマーカーはまだ計算していた。
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