第59話 お風呂でいろいろありました。

 俺が湯船に大の字になってすべてをさらけ出して浮いていると、気配を感じた。

 レーダーにも光点。

「ハッハッハッハッ」

聞いたことがある呼吸音。

 突然その音が消え、。

「誰ですか? ご主人様の匂いはしますが……」

人化したグレアの声が聞こえてくる。

 グレアの裸をまじまじと見たことは無かったが、月明かりを背にグレアの銀髪に包まれた体は美しかった。

「おう、起きたか?」

 じーっと俺を見るグレア。

「私のご主人様は小さくありません。

 でもやっぱりご主人様の匂いがします」

 グレアは乳房が俺に当たりそうなぐらいに俺に近づき、スンスンと俺の匂いを嗅いだ。

 

というか、近すぎるだろ? 


 目鼻立ちがはっきりした人化したグレアの顔が近づく。

 これはちょっと困るな……。


 俺はパスを繋ぎ、

「これでわかった?

 間違いなくアリヨシだから」

 と声をかけパスを切った。

「パスが繋がりました、間違いなくご主人様です」

「そういう事」

 グレアの服が消える。

グレアの服は毛を変化させたものなので消すことができるのだ。

「私も入ります! 裸同士は初めてです!」

 興奮気味に言うと、温泉に飛び込み、俺に抱きついてくる。

 形のいい大きな胸が俺の腕に当たる。


 んー、俺、我慢できるんだろうか……。

 と言うか息子がヤバい。


「グレアよ、ずるいぞ!」

 そこには人化したノワルが居る。

 それも、全裸だ……。

 んー、ツルペタ。

「急にメスの匂いがしだしたと思ったら、温泉の方から音がする。

 覗きに来てみればこうじゃ。

 アリヨシもアリヨシじゃ、なぜ小さくなったのならわれに言わん。

 われがいろいろ悦ばせてやるのに」

 そう言いながら温泉に入ってきた。


 いろいろって何だよ? 


「人の男は興奮するとソコが大きくなると聞く」

 指差すノワル。

「『聞く』ってお前、実際にどうすれば俺が喜ぶかなんて知らんだろ?」

「えっ、それは、聞いたことがあるぞ?

 あんな事やこんな事……」

 自信が無くなったのか声が小さくなるノワル。

「だから、したことないんだろ?」

「無いが、やろうと思えば……」

「んー、この前ノワルに聞かれたよな。

『記憶喪失って言葉を何で知ってる?』って……。グレアはもう一度聞いてくれるかな。

 俺はこの世界に来る前、別の世界に住んでいたんだ。

 結構勉強もしたんだぞ?

 まあ結婚はしていなかったがね。

 だから、この世界の事はわからないが、お前らの喜ばせ方を少々は知ってるんだよ」

 俺はグレアとノワルに触れる。

「あっ……もっと」

「なんなのじゃ……これは」

 二人は悶える。

「ね、こんな感じ。

 でもな、今はしない。

ここに俺もグレアもノワルもウルもドリスも、そしてベアトリスもみんなが暮らせるようになったらだ。

わかった?」

 ヘタレでグダグダの説明だな。

「ご主人様、我慢します」

「むー、我慢するのじゃ」

 というグレアとノワル。


 俺も我慢してるんだよ……。

 

 空を見上げると明るくなってくる。

「あーあ、夜が明けて来たねぇ」

「アリヨシ、触ってくれんかの?」

「ご主人様、触って欲しいです」

「ダーメ」

と言った後で、

「でもおいで、抱っこしてやるから」

 と言うとグレアとノワルが左右の腕を抱く。

そして俺は二人を抱きしめる。そして三人で明るくなる空を見上げた。

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