巨人に転生してしまいました。

義助

第1話 自転車の整備はちゃんとしましょう

 俺はアリヨシ。

 山を削って作った団地の一つに両親と住んでいた。

 麓にあるコンビニへ向かういつもの下り坂を家のママチャリで下る途中、長年乗りっぱなしだった整備不良のチャリンコのブレーキワイヤーが前後ともにブチ切れる。

「へっ?」

 少し前から利きが悪いと思っていたブレーキ。

 ここにきて破綻したらしい。


 怖いんっす。

 止まらないってのは!


「あーーーーー!」


 焦って足で踏ん張るも、漕ぎやすさとカッコつけでサドルを上げていたせいで足が届かない。

 結局停止できず、下りきったところにあるT字路のガードレールに当たり、慣性で俺だけ飛んだ。

 壁にぶつかってでも止まれば良かった、と飛びながら思っても後の祭り。

 三十五歳独身人生終わったかな?

 そんな事を思っていると衝撃と共に目の前が暗くなった。

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