第58話 ドリスが寝ぼけました。
とりあえず、残り物を使って、軽く食べられるように準備した。
誰か起きても飯ぐらいは要るだろう。
最悪朝食にしてもいい。
それが終わると縮小化を解いた。
するとなぜかスプーンが俺に連動するように大きくなる。
ん? 魔力で縮尺が変わる?
とりあえずスプーンは立てかけておいた。
1メートル以上になってるんじゃないかな?
このスプーンのメリットは、縮小化、つまり俺が小さくなり人サイズになれること。
着けている物も小さくなるようで、服の心配はなさそうだ。
ただ、デメリットは魔力の消費が大きい。
自然回復量を若干上回っているようだ。
ずっと縮小化していると魔力が枯渇する可能性があるな。
魔法を使えばその分魔力の枯渇も早まるかもしれない。
こりゃ一度テストして、枯渇までの時間を確認しておく必要がある。
スプーンをなくさない対策も要る……。
その前にベアトリスがこのスプーンを俺に渡したのを覚えているかどうか……。
と言うか、魔道具を作るおばさん、何でスプーンを選んだ……。
とりとめのないことを考えながら俺もホールで横になる。
頬をつつかれる感覚。
「ん?」
目を覚ますと、周囲はまだ暗い。
そして、皆の寝息が聞こえる。
横になって寝ている俺の顔の前にドリスが居る。でも目が開いてない。
半分寝てる?
「どうした、ドリス?」
と聞くと、
「おしっこ」
と小さな声。
「そこら辺でしてこい。
トイレは無いんだ」
「怖い、付いて来て」
と言って熊の毛を引っ張るドリス。
仕方ないので、ドリスについて外に出た。
すると、ドリスは陰に入りしゃがみ込んだ。
慣れているのは一応騎士だからか?
戦場ではどこでもできないといけないだろうし……。
ただ、今は寝ぼけたお姉さん。
とはいえ、じっと覗き見るわけにもいかないので、ちょっと離れようとすると、
「ダメだよぉ、後ろ」
とドリスが振り返る。
「後ろに居ろって?」
コクリと頷く。
ドリス幼児化?
正確にはドリス寝ぼけて幼児化?
何だこのシチュエーション。
「終わった……寝る……」
ドリスが服を直す。
俺が呆然と立っていると、
「一緒に行く」
そう言って俺を見上げる。
「おう、ついていくから」
ドリスがコクリと頷くと歩き出した。
んーわからん。
ついていくと、結局毛布にくるまり寝始めた。
一人残された俺……。
「こいつも迷惑」
見下ろしながら思うのだった。
一度目が覚めるとなかなか寝られない。
「温泉だな」
俺は、スプーンで縮小化するとウルの温泉に入る。スプーンは縮小化した後、ちょうどいい具合にスプーンの柄の部分に飾り穴があったので、そこらへんにあった紐を通し俺の首にかけた。
「ふえー、気持ちいい。
源泉かけ流しの温泉。
贅沢だねぇ」
のんびりである。
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