第101話 目的のものを見つけました。
というわけで、
「ドリスにはオセレで待っているように言いました。
それじゃ、ノワル、元家の近くに連れて行ってくれないか。
俺は周囲にスレイプニルの小さな群れが無いか確認するから」
「了解なのじゃ」
そう言うと、ノワルは俺の肩から飛び降りてバハムートの巨体になった。
それを見てグレアは俺の肩からノワルに飛びつく。
俺も人サイズに戻るとノワルの背によじ登る。
「皆、さあ行くのじゃ」
「はい!」
「ノワル頼むぞ」
ノワルは大きく羽ばたくと山にある元家に向かうのだった。
俺たちはノワルの元家に向かう。
山頂付近の洞窟。
この周辺にスレイプニルの群れが居るということだった。
ノワルの場合、移動は音速を越えるので少々距離があっても元家まではすぐに辿りつく。
「アリヨシ、到着じゃ」
ノワルはいつもの通り強引に洞窟内部に着陸した。
「ノワル、ありがとな」
「どういたしましてじゃ!」
グレアはノワルの飛行速度に驚き、
「ノワル様、凄く速くなっていましたね」
と言っていた。
するとノワルは、
「進化したからの」
と言った後、
そしてノワルはわざわざ胸を張り。
「グレアに負けぬ武器も手に入れたぞ」
と胸を強調した。
負けずとグレアは、
「私はご主人様のお手付きになりましたから」
と張り合うと、
「アリヨシは、いつ
少し声が小さくなったノワルがジト目で俺を見るのだった。
あっ、俺に飛び火した……。
「とりあえず、まずはスレイプニルだな」
ノワルのジト目を軽くかわしレーダーで魔物を探す。
何カ所か集団でいる魔物が居るがどれがスレイプニルなのやら……。
しらみつぶしで探すしかないか。
「固まっている魔物の反応が数カ所ある。
そこに行ってみるか」
俺はグレアとノワルに言うと、
洞窟を出て巨人に戻った。ノワルとグレアを肩に乗せる。
「とりあえずこっちだな」
しばらく歩くと、遠目に六頭の魔物が居た。
体長一メートル五十センチぐらいか……。
「ゴールドゴートじゃな。
岩場に住みつく魔物じゃ」
「美味しいのですか?」
「
じゃが美味しそうな匂いがする」
「確かに美味しそうですね」
じゅる……っという音がしたので、肩を見ると二人が涎を垂らしていた。
「ちょっと待て、体毛が長い。
ということは、布の材料になるかもしれない。
そうでないのなら、解体して食べればいいんじゃないか?」
俺が言うと、
「ふむ……アリヨシがそういうのなら仕方ない。
しかしどうやって連れて帰る?」
と聞かれ、
「こうするんだ」
と言って俺がスタンクラウドでゴールドゴートを痺れさせた
しかし、このまま放置というわけにはいかない。
「ノワル、悪いんだけど、これ持って一度俺んちに帰ってくれるか?
エルフたちにできる者が居るなら解体を依頼して欲しい。
俺とグレアはスレイプニルを探してるから」
「了解じゃ。
しかしグレア、二人っきりとは羨ましいのう」
ニヤニヤするノワル。
「二人っきりです」
ニコニコするグレア。
「今日は何もせんよ」
俺がそう言うと、
「残念」
グレアの呟く声が聞こえた。
押しが強くなりつつあるグレア。
ノワルがゴールドゴートを持って俺んちに向かうのを確認すると再びスレイプニルを探す。
近くにあった群れをレーダーを確認してそこへ向かった。
そこには八本足の馬、スレイプニルが三頭。
大きめが二頭、小さめが一頭、親子かね。
俺の匂いに気付いたのか、俺のほうを見るスレイプニルたち。
一番大きなやつは体高で三メートル近くありそうだ。
それでも俺よりは小さいはずなのに逃げなかった。
前足で地を蹴り、あからさまに敵対心を見せる。
そして、空を蹴り飛び上がるとグレアを襲った。
グレアも慣れたものでそのまま地上まで飛び降りフェンリルに戻る。
スレイプニルは驚いたのか動かなくなった。
巨人のままじゃ威圧感があるかな?
俺は人サイズに戻る。
それを見たグレアも人化した。
「わざわざ、負けるのがわかっていてなぜ戦う?」
「ご主人様、あれを」
グレアが指差す先に居た小さなスレイプニルの足に金属。
鎖が杭に繋がれている。
小さなスレイプニルは体力が落ちているのかうずくまっていた。
トラばさみ?
こっちにもあるんだな。
別の物を捕まえる罠にかかった?
逃げようと暴れたのか足の肉が抉れて骨が見えている。
俺はそのスレイプニルへ近寄った。
何度か蹴られたが片手で軽くいなし、トラばさみを広げると小さなスレイプニルの足を抜く。
そして、フルヒールでその足を治療した。
みるみる元の足の姿に戻る。
驚いているのか固まるスレイプニルの一頭
小さなスレイプニルが回復した足でトントンと地面を蹴って感触を確かめた。
フンフンと俺の匂いを嗅いだ後、俺を舐め始めた小さなスレイプニル。
大きな二頭も俺に近寄り舐め始めた。
「羨ましいです」
ちょっと違うぞグレア。
スレイプニルは頭が良いようで、恩を感じて俺に懐いたようだった。
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