第90話 ノートパソコンの使い道。

 軍服を着て嬉しそうな4人。

 お揃いが楽しいということもあるからなぁ……。

 俺の趣味的にいい感じである。


 一応、俺の嫁さん設定になるわけで……。

 俺の趣味に染まるのは良しである。

 ただ、フェンリルやドラゴンに戻る時は修正可能範囲以上になるから破れるだろうな……。

 その辺は注意しておくべきだろう。


 四人の様子を見ていると、

「何をニヤニヤなさっているのですか?」

 ベアトリスが聞いてきた。

「ん?

 みんなおそろいで楽しそうだなぁ……って」

 というと、

「たまにはこういうのもいいですね」

 ベアトリスが笑う。

「それにしても、アリヨシ様に渡されたコレなんですけど、どのように使うのでしょう?」

 と言って差し出されたノートパソコン。

「そうだなぁ……。

 俺の世界では当たり前だったんだけど、こっちじゃエルフたちだけだったようだね。

 えーっと……。

 まずはこの機械……、向こうでは『ノートパソコン』と言っていたんだけど、こっちじゃ携帯端末というそうだ。

 タブレットも携帯端末の一種らしい。

 まあ何にしろコレを使うためには魔力が必要なんだ。

 この機械は魔力を溜めるところがあるから」

 と言って俺がキーボードを触ると、魔力がすこし吸われる。

 すぐに魔力が入らなくなったことから、魔力が満タンになったのだろう。

「そんで、ココが起動用のボタン」

 そこを押すと、すぐに起動する。


 ハードディスクじゃなさそうだな。

 SSDなんてこの世界にあるっけ?


 二回目にして気付いた機動の速さに首を傾げながら、

「ここにパスワードを入れなきゃいけないんだ」

 と言ってパスワードを入れると、デスクトップが現れた。

 中身を確認していないのでノートパソコンについていたタッチパッドを使い、

「まあ、こんなふうに仕分けして、必要なファイルを……」

 と「趣味の写真」とエルフの言葉で書かれたところを開けると、ズラッと縦に並んだファイルの列。

 その一つを見て見ると、現れたのはエルフの裸。

 解像度も高い。

「何ですかこれは!

 エルフの女性の裸!!

 アリヨシ様はこんなものに興味が?

 見せて欲しいといえば、私がお見せするのに!」

 何だか思ったのと違う回答。

「それにしても、本物と見まごうばかりの絵です。

 他にどのような?」

 と俺の真似をして、写真を開いたつもりなのだろうが、そこは動画だったらしい。

 エルフ同士のエロ動画。

「きゃあ、この枠の向こうにエルフが!」

 とベアトリスが驚いて抱き着いてくる。

「さっきの裸の絵が写真って言って、この動いているのが動画だな」

「『しゃしん』と『どうが』?」

「そう、 魔法を使って一瞬を切り取ったものや一定の時間の行動を保存したりしたものをこの中に保存しているんだろう。

 写真機っていうのや、撮影機っていうのがあれば、俺たちも写真や動画を撮ることはできるぞ?」

 というと、何を勘違いしたのか、

「こんな裸や私とアリヨシ様が致しているところを保存したいのですか?

 どうしてもと言うなら……やぶさかではありませんが……」

 とモジモジと体をゆすりながらベアトリスが聞いてきた。

「んー、ベアトリスが俺のことをどう思っているかは知らないが、そんな趣味はないぞ?

 でも、今の皆を撮っておけば、時間が経過した後でも思い出しやすいっていうのはある。

 そのうち、他のエルフの遺跡にも手を出してみて、写真機や撮影機を見つけたら一度撮ってみてもいいかもなぁ。

 俺が居た世界では、自分の子供の成長過程を残すようなことをしている人もいた」

「そういう使い方もあるのですね。

 過去の痴態を残して、羞恥心を煽るような使い方をするわけではないと……」

 ベアトリスが頷いていた。


 俺ってどう思われているんだろ…。


「本筋に戻るぞ。

 えーっと、このマークをぽちっとおすと、表計算ソフトが起動する」


 おー、某〇クセルそっくりである。

 俺がこっちに来る前に、技術者的な誰かが……転移または転生してきたんじゃないだろうかと思わされる。


「ここに表題みたいなのを作って……と。

 今回は『出納帳』って感じかな?

 こっちに収入、こっちが支出……って書いてと。

 もし収入がこれだけあったら……こんな感じ。

 逆に支出はこんな感じ」

 ノートパソコンにあるテンキーを利用して、支出と収入の欄に適当に数字を入力していく。

「入力を終えたら、こうすれば……」

 集計計算させれば、合計が出た。

「で、収入から支出を引けば……」

 操作すると、

「あっ……凄い。

 こんなに早いなんて!

 いつも紙に書いて計算していたのに……」

 ベアトリスが愕然としていた。

 文明の利器の勝利である。


 まあ、使い方がわからなければ、どうにもならないんだが……。


「まあ、こんな感じ。

 適当な出納帳があるなら、練習としてそれをこっちに入力してしまおうか。

 あとは追加で入力すれば、計算も自動でできるからね」

「これの使い方を教えてください!

 覚えます!

「了解だ。

 とはいえ、俺も完全に知っているわけじゃないからわかる範囲でってことになるけど」

 エルフのガイド本みたいなのがあったら、持って帰ってもいいかもな。

 そんなことを思った。


 夕食を終えて表計算ソフトの勉強。

 ベアトリスは俺を独り占めできるのが嬉しいのかニコニコ。

 ベアトリスの吸収力は高く、しばらくすればある程度のことができるようになった。

「これでホール周辺の出納を管理できます。

 でも、書類の提出には書き写す必要があるので、面倒ですけど……」

 と言って苦笑いしていた。

 

 プリンターも要るかなぁ?

 とりあえず、書類を提出するようなことは無いだろうから、大丈夫でしょう。


 そんなことを考える俺だった。


 ちなみにホールに照明があり、それを使えば夜でも明るくなることに気付く。

 ああ、やっと夜を克服できる……。

 とはいえ、夜は夜で寝るのだが……。


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