第102話 言いがかりをつけられました。
ん?
近寄る赤い光点。
なぜこんなところに何者が?
煌びやかな鎧に剣を身に着けた騎士のような者、杖を持ちローブを纏った魔法使いのような者、短刀を持ったシーフのような者が現れた。
おぉ、自身以外の冒険者パーティー初めて見た。
ちょっと見入ってしまうぞ。
「お前、せっかく罠にかかったスレイプニルをなぜ逃がした!」
リーダーらしき騎士が怒って俺に言った。
「逃がしてないぞ?
懐いたんだ。
それにお前このスレイプニルは体力も落ちていた。
放っておけば死んでいたと思うが?
それに歩けないスレイプニルをどうやって連れて行く?
いう事を聞かないスレイプニルをどうやって従える?」
俺がマイナス要素をまくし立てると図星だったのか、
「ぐっ」
何も言えない騎士。
煽るように、
「言い返せないなら言うな!」
俺が言うと、
「三頭のうちの一頭を俺に渡せ」
と無理難題を言い始める始末。。
「何で?」
「必要だからだ」
「何に必要?」
問いに問いで返す俺。
「我が帝国のご息女であるエリーザ様がスレイプニルを求めておられるからだ」
そんな冒険者たちをスレイプニルたちは前足を掻いて威嚇している。
子供は特に鼻息が荒い。
痛かっただろうなぁ……。
そりゃ怒る……。
「スレイプニルは嫌がっているが?
嫌がっている理由はお前らが卑怯にも罠を仕掛けたから……」
と更に煽ってみた。
すると、
「我々は帝国から派遣された騎士と冒険者。
お前らは帝国とやり合う気か?」
と息をまく。
帝国の威光って奴かね?
そんなものは知らん。
「帝国って何だ? グレア」
俺が聞くと、
「知りません。
それって美味しいのでしょうか?」
首を傾げてグレアも煽る。
正直、国同士のパワーバランスなんて知っているはずもなく。
ベアトリスあたりなら知っているんだろうが、呼んでくる気もない。
潰すことも考えたが、それは向こうから攻撃してきたとき……。
「あんた、帝国って何だ?」
って聞いてみた。
そう言えばベアトリスが襲われたのは帝国との戦争推進派だと聞いたような気がする。
壁向こうの国がそれなのかもしれない。
「田舎者め!
カール・アッカーマン率いる我が帝国の事を知らないのか?」
見下す騎士。
「『ド』が付く田舎者なので知らないなぁ」
知らないものは仕方ないのでそう言って睨み返す。
俺の物言いが気に入らなかったのか、
「バカにしやがって!
これは王国側から我々に喧嘩を売ったと考えていいのだな?」
と凄んできた。
「帝国に喧嘩を売ったつもりは無い。
ただ、帝国でも喧嘩を売るなら俺が買うぞ?
俺は壁向こうの村を統べる者だ。
住民は数十人、相手にしたかったら来ればいい」
売り言葉に買い言葉。
まあ、最悪、周辺を焼け野原にするぐらいの魔法は使えるらしいので、それを落としてもいい。
でも、それやっちゃうと、今の生活はできなくなりそうだよなぁ……。
「我々は数万人を有する軍でいく。
勝てると思うなよ!」
捨て台詞と共に騎士たちは去った。
お前にそんな権力は無いだろうに……。
俺は苦笑いするのだった。
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