第17話 人化に挑戦しました。
村への水の目処が立ったので、湧水の玉を元に戻し垂れ流しの水のみが村へ流れるようにする。
これで元通りになった。
フェンリルのグレアとドラゴンに戻ったノワルの体を洗い、俺も温泉に入って一息つく。
すると、
「ご主人様、人化の練習をしてみましょう」
「そうじゃな、やってみんか?」
グレアとノワルに言われた。
まあ、俺もグレアやノワルのように人の大きさになれるなら助かるので、
「で、どうやるの?」
やり方を聞いてみると。
「魔力を使って、人になりたいって思うのです。すると、自分に合った姿になれるのです」
「我もそんな感じじゃぞ? 容姿の事は考えたことは無かったが人になると思ったら、あの姿になっておった」
なんとも適当な説明である。
まあ、やってみるしかないんだけどね。
「要は、魔力を使って人になりたいと思えばいいんだな?」
「そうです」
「そうじゃ」
二人がそう言ってるんだから間違いないだろう。
温泉に入って、
「まあ、やってみるか」
と人になりたいと思いながら魔力を通す…………。
ムッ……ムムム……。
踏ん張ってみたが何も起こらない。
「何も変わらんぞ?」
俺が言うと、
「そんなはずはありません!」
「気合が足りんのじゃ!」
えっ、気合で何とかなるもんですか?
「じゃあもう一度」
めっちゃ人になりたいと思いながら力んで魔力を通す………………。
ゴボッ……。
気泡が出た。
「何か出たぞ」
ノワルに突っ込まれ、
「臭いです!
でもいい匂いです」
意味が分からないグレア。
話を逸らそうと、
「息を止めて気合入れて頑張ったけど、何も変わらんぞ?」
というと、
「温泉に魔力がダダ洩れですね。お陰でいいお湯です」
「
ニコニコしながら温泉を楽しむ二人。
「お前ら……」
睨みつける俺。
ノワルが考え込み、何かに気付いたようで「ポン」と手を打つ。
そしてノワルが言った。
「そもそもアリヨシよ、お主は巨『人』じゃろ?
人化せずとも人の姿ではないのか?」
「そうです、ご主人様は人です。
大きな人です。
だから人化が使えないのではないでしょうか?」
グレアも同調する。
「だったら最初っから言ってくれ、これじゃ俺が魔力を流しただけじゃないか!」
根本的な問題に気付けない俺も問題が有るのだが……。
「まあまあ怒るな。濃厚な魔力の温泉は気持ちよかったぞ?
「私もこの魔力で能力が強化できたのではないでしょうか」
踏ん張って流した魔力が温泉に溶け込んだようだ。
「はあ……お前らだけ得してるじゃないか!」
ちと気が抜けてしまった。
しかし、俺はふと気づく。
「そう言えばグレアは体の大きさ変えられたよな?
その方法は?」
「はい、でもこれはフェンリルの固有能力で魔法ではありませんので、ご主人様は使えません」
グレアが申し訳なさそうに説明してくれる。
そう都合良くはないか……。
「そうなのか……残念。
なんとか人の大きさになる方法を考えないとな」
「そこは魔道具じゃろうな。
大きさを変えられる魔道具は聞いたことが無いが、作れる者が居るかもしれん」
そうノワルが教えてくれた。
「ノワル、ありがとうな」
俺はがノワルの頭を撫でると、ノワルは気持ちよさそうに目を細くしていた。
俺が小さくなる事にこだわっているのが気になったのだろう、不思議な顔をしてノワルが聞いてきた。
「しかしアリヨシは何で小さくなりたいのじゃ?」
「最近下着の痛みが目立ってきてな、替えが欲しいんだが、俺サイズの服なんて『なかなか』と言うか『全然』手に入らないだろ?
今は暖かいからいいけど冬が来たら大変そうだしな。
正直下着だけでなく服も欲しい。
だったら人サイズになるほうが手に入りやすいと思ったんだ」
体が大きい分、体内に溜め込んでいる熱量が大きいだろうが、やはり冬の寒い時期を下着だけで生活するのはなぁ……。
氷河期の恐竜のように、寒さにやられて死ぬのも嫌だ。
最終、魔法を使えばいいのかもしれないがね。
「それにお前らが大きいから見えないだろうけど、人の大きさぐらいになれば下から見上げる格好になるだろ? そうするとトランクスの隙間から俺のが見える」
俺が気になっていた部分だ。
トランクスタイプのため太ももと下着の隙間が結構あるのだ。
こっちの方が重要事項のような気がする。
「何がですか?」
「俺のチ〇コ、俗に言う横〇ン」
「ああ、ご主人様の生殖器ですね。
私はいつもご主人様とお温泉に入っていましたから気にはなりませんが……」
「
もう見慣れているのね……。
つかノワルは見慣れるほど居候している訳か……たまには家に帰れ!
思わず睨んでしまう。
「いや、そうじゃなくてな、村人たちに見えてしまうだろ?」
「それはそれで村人にとって神のモノですから、拝む対象ではないでしょうか?」
グレアが少し考えながら呟く。
秘宝館じゃないんだぞ。
俺のモノを拝まれてもな……。
「それは嫌だ、何で拝まれなきゃいかん……」
俺が愚痴ると、
「それは神に祭り上げられたものの宿命じゃろう。諦めるしかないのう」
とノワルに言われてしまう。
はあ、神も面倒な事だ。
「まあ、寒ければ私が温めてあげます。
フェンリルのフカフカの冬毛は最高ですから」
グレアが胸を張り言う。
「ふかふかの冬毛か……グレアその時は頼む」
グレアは期待ができるな。
そこに更に一歩前に出て威張って言うドラゴンが一頭。
「我もブレスで温めてやるぞ?」
「ブレスで温めるって……
それは温めているんじゃなくて焼いているんじゃないのか?
ただでさえ無い下着を焼いてどうするんだ」
「下着を焼かない程度にブレスは吐けるのじゃ!
でも焼けたら焼けた時なのじゃ!」
適当な事を言う……。
「『焼けたら焼けた時』って、そんなこと威張って言われてもなぁ」
「
「はいはい、信用しています」
面倒臭いので適当な返事になってしまう。
「信用しているなら良いのじゃ」
でもノワルは納得してくれたようだ。
ノワルは「信用している」と言われたのが嬉しいのか、口角を上げニヤリと笑った。
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