第35話 俺……どうなった?
「で、ドリス。俺の冒険者登録はどうなった?」
と聞くと、
「あっあのー……。さすがに巨人は冒険者にはなれないようで……」
申し訳なさそうに言う。
「なら、俺はどういう立ち位置だ?」
「グレアさんとノワルさん、ウルさん……あとは……」
「ん? あとは?」
「私の四人パーティーの従魔という事にしました。
ちなみにリーダーはノワルさんです」
「ん?
ドリスもパーティーメンバー」
「行ける時は私も一緒に行きたいので……ダメですか?」
ドリスが見上げてくる。
「はあ、別にいいけど」
「それで、従魔になる事で制約は?」
俺が聞くと、
「特にありません」
とのことだった。
「わかった。金は皆に分配される?」
「いいえ、お金はパーティー用のカードがありまして、そこに入金されるようになっています。
ですから、お金の管理は三人を経由すればアリヨシ様でも可能です。カードはグレアさんが持っています」
「直接使えないのは面倒だがまあ何とかなるだろう。
俺としては人に対して問題を起こさなければいいわけだな」
「はい、そういう事になります」
ドリスが頷いた。
「ドリス、ワイバーンの素材はどうなる?」
「この村の冒険者ギルドから街のギルドへ連絡が行って、その後素材の買取に来ると思います。早くて一週間はかかるんじゃないでしょうか?
それまでは我が館の倉庫に入れておきます。これほど綺麗な素材はなかなか手に入りませんから、高値で取引されると思いますよ?
その時は皆様に来ていただいて立会してもらえますか?」
と言っていた。
「わかった。その時は呼んでくれ」
俺は了承する。
「ドリス、質問なんだが、簡単な料理道具は手に入るかな?
ウルは普通サイズだから、自分の食べ物は自分で調理させようかと思うんだ」
「包丁とまな板、あと鍋とフライパン程度ならすぐに準備できます。
館では掃除洗濯などは下働きが居ますが、食事については領民に料理を作って持ってきてもらっていますので、料理道具は余っているんです」
「それは助かる。
あと、俺用の服とかを作ろうと思ったら、結構お金がかかるよな?」
「そうですね、かかると思います。
その前に仕立てられる店があればいいのですが……」
そこからか……。
「そこはまた考えるかな」
「その……熊の服ではいけないのですか?」
「ああ、これ一枚じゃなぁ。
着替えられないと匂うだろ?
夏は下着だけというのもいろいろ問題があってな」
「アリヨシ様の匂い……」
上を向いて考えるグレア化しているドリスに、
「目を瞑って想像するな!」
突っ込みを入れると、
「はっ」
と復旧。
「それで問題とは?」
「見せたくないものが見える」
「見せたくないもの?」
「それはドリスが考えろ。下から覗けるんだぞ? 男が見られると困るものだ。見たくないだろ?」
「!」
気付いたかな?
「でもちょっと見たいかも……」
と素で言う。
「えっ?」
驚く俺に、
「あっ……」
真っ赤になるドリス。
そして、
「ちょ、ちょっと料理道具を準備してきますね」
ドリスが館へと走っていく。
「あっ、逃げた」
と言うと、
「逃げましたね」
「逃げたのじゃ」
「逃げるんですね」
グレア、ノワル、ウルがドリスの後姿を見て言う。
お前ら……揃ってきたな……。
暫くすると、何事も無かったかのように下男と共にドリスがやってくる。
手にしている袋は料理道具だった。
ノワルが袋を受け取ると、手に三人を乗せて立ち上がった。
ドリスが俺をじっと見る。
本当は一緒に行きたいんだろうな……。
「ドリス、ギルドで何か良い依頼があったら呼んでくれ。
すぐに来るからな。いい理由になるだろ?」
「えっ」
「俺はお前の従魔だからな。
ああ、ワイバーンの肉を食うときは呼ぶから。
そうだな……ノワルに迎えに行ってもらおう」
「
「だったら、私もです」
グレアが、言う。
「私も友達でいいですか?」
ウルが声をかける。
「ああ、みんな友達。
よろしく」
ドリスは笑って答える。
「ちなみに、アリヨシ様にとって私は?」
ドリスはわざわざ他の三人には聞こえないようにパスで聞いてくる。
「さあ? 友達じゃいかんか?」
「今はそれで納得しておきます」
パスが切れた。
「それじゃ、帰るぞ」
俺は三人とウルの服、料理道具を持って家へ帰るのだった。
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