第341話
「以上がオカルト記者との会話内容です」
「なるほど。まさかヤヌシさんの家に電話してくるとは思いませんでしたね。でもどうやってヤヌシさんの家の電話番号を知ったんでしょう」
「元近所のやつらから聞いたらしいですよ。勝手に教えるとか勘弁してほしいですね」
私は電話で青さんに先程あった出来事を説明している。今日は日曜日。青さんもお休みのはず。明日にしようかと思ったのだが、先日「報告は早くするように」と春さんに怒られたばかりだ。本当に申し訳ない。
「元近所の人達ですか。分かりました。赤さんに伝えておきます。記者がヤヌシさんに何かしてくるとは思いませんが念のため気を付けてくださいね」
「大丈夫ですよ。ここには『守り人』達がいますし。それと別件なんですが、赤さんに水路を拡大しても良いか聞いておいてもらえませんか?」
「水路を?」
私はオモチが言っていたことを青さんに伝える。
「分かりました。たぶん大丈夫だと思いますけど聞いておきますね」
「ありがとうございます!これで青さんにお伝えしたかったことは以上です」
「ありがとうございます。そういえばベリーさんの仕事部屋を作ったって本当ですか?」
「はい。昨日作りました。早速今日からベリーさんがイラストを描いてますよ」
「簡単に作ったと言いますが早すぎますよ。これも『守り人』達の力ですか?」
「今回は先生とノート、スポンジが協力してくれました。あっというまでしたよ」
本当に早かった。『守り人』は便利すぎる。
「何で私は誘ってくれなかったんですか?━さんも仕事終わりにヤヌシさんの家に行ったらしいじゃないですか。私も見たかったです!」
「すみません。でも私もUさんがここに来ることは知らなかったんですよ。それにそもそも昨日は仕事部屋を建てるつもりじゃなかったですし」
「そうなんですか?」
「私は機材が揃うまでは仕事部屋は建てないとベリーさんに伝えてました。それにどうせ私が携帯会社と契約しないことには仕事部屋を建てるどころの話ではなかったので。ですが昨日、私が携帯会社と契約する必要がないと分かりました。なので街の家電量販店で必要な機材をまとめて購入したんですよ」
「だから仕事部屋を建てたんですね」
「まぁこれ以上反対する理由もなかったですし。それに・・・」
「それに?」
「私は昨日の午前中、春さんにこっぴどく怒られたんです。昨日建てないと春さん達に言ったらまた色々言われそうで」
「確かに。それでも私も作るところを見たかったですよ」
青さんがここまで言ってくるのは珍しいな。仲間外れにされて寂しかったのかな?
「なら明日、完成品を見に来られますか?明日ならUさんも仕事で我が家に来ますよ」
「良いんですか?行きます!」
誘っておいてなんだけど明日は平日だよ?大丈夫なのかな。
それにしても青さんは仕事部屋に興味津々だな。あとテンションが高い。何でだろう。内装が可愛いことになっているらしいからそれが目的かな?
「そういえば今日はオモチさんが電話をかけてきましたけどタワシちゃん達は電話をかけることに飽きたんですか?」
「いいえ。そういうわけじゃないんですよ。今は違うことに夢中で」
「違う事?」
「ミカンちゃんがパソコンでアニメを『守り人』達に見せたんです。案の定はまってしまって」
ベリーさんがアニメの視聴方法をミカンちゃんに教えてもらっていて助かった。じゃないと見ることが出来なかったからね。
「あぁ~。アニメって子供向けのやつですか?」
「はい。日本人の子供なら小さい頃に一度は見るアニメですよ。顔は出てるんですが名前が分からないんですけどね」
「大丈夫ですよ。分かりましたから。でもその状況はまずいのでは?」
「私も正直アニメを見せたくなかったんです。でもどうせ遅かれ早かれ見ることになっていたでしょう。それに春さんがもう釘を刺してますから。オモチの監視付きで」
「監視ですか・・・。なるほど。オモチさんなら適役ですね。ベリーさんは何をしてるんですか?」
「『守り人』達と一緒にアニメを見てますよ」
「え?一緒にですか」
「そうです」
ベリーさんはこの国のドラマやアニメに興味があるらしい。だからオモチに翻訳してもらいながら見ているそうだ。
「あの人も今の状況を楽しんでますね。適応能力が高いといいますか」
「そうですね。でも家に帰れないと落ち込まれるよりはマシですね」
「確かに」
「ヤヌシ!!終わったよ~。誰と話してるの~?」
アニメを見終わった『守り人』達が私の体にくっついてきた。タワシが右肩で飛び跳ねている。
「どうやら賑やかになったみたいですね。ヤヌシさん。連絡していただきありがとうございました。ではまた明日」
「はい。お休みの所すみませんでした。また明日」
電話越しでも青さんにタワシの声が聞こえたみたいだ。受話器を置く。すると『守り人』達が一斉にアニメの感想を言いだした。いつも言ってるけど一体ずつでお願い!
『守り人』達の感想を聞きながらリビングへ移動する。リビングではベリーさんが私を待っていた。
「※※※※?※※※ ※※※~」
「終わったの?夕食にしよう~。ですって~」
「そうだね。準備を始めようか。ベリーはアニメ楽しかったの?」
「子供向けのアニメなんてあんなものでしょ?それよりも早く夕食にしようと言ってるわよ~」
ベリーさんは早くお酒を飲みたいみたいだ。
分かったよ。ベリーさんに何かつまみになるようなものを作ってあげよう。
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