第213話
私は青さんと一緒にリビングへ移動した。私の体にはネコ、オモチ、メッシュがくっついている。他のみんなは青さんのバイクを見ているらしい。先生もあっちへ参加しているとは。
青さんにコーヒーを出して私は席に座り話かけた。
「冷蔵庫を設置するだけなのにわざわざ来てもらってすみません」
「いいえ。良いんです。私も暇なので。それで・・・。その方が新しい『守り人』ですか?」
「そうです。メッシュ!ちょっとテーブルに顔を出して!」
膝の上で座っていたメッシュに顔を出すようにお願いする。今のままだと青さんに顔が見えないからね。
私の発言を受けて膝の上でメッシュが動いている。私の服をよじ登り鳩尾ぐらいの高さで動きが止まった。もしかしてその位置で話をするつもり?
「そこで良いの?はぁ。青さん紹介します。木の上位守護者、メッシュです。メッシュ、私の友人の青さんだ」
「初めまして!━━です。青と呼んでください」
「お前が例の・・・。俺はメッシュだ。よろしく」
「メッシュ。もしかして砂岩から青さんの事を聞いていたの?」
「あぁ。この島の代表とつながりがあると聞いている」
そう言う認識なのか。でも間違ってはいない。
「今日の青さんは仕事で来ているけど普段は友人としてここに遊びに来るからよろしくね」
「よろしくお願いします!それにしてもウサギなんですね」
「そうなんですよ。好物もニンジンです。私はもうしゃべるウサギとしか思えませんよ」
「何の話だ?」
「君が我々の知っている動物にそっくりって話だよ。まぁ君だけじゃないんだけどね」
『守り人』はみんな動物の姿を模している。普通に考えれば動物にしか見えないよね。
「良いじゃないですか!ウサギ、可愛いですよね!」
あれ?もしかして青さんはウサギ好きなのかな?
「そ、そうですね。あ、そうだ。青さん、ネコとあいさつしますか?」
「そうですね!ぜひ!」
私が首元にいたネコを掴んで青さんに差し出そうとすると、ネコが私の手の中から逃げ出した。
「あ!あれ?ネコはどこに行った?」
「あの~。私の手の中にいます」
え?青さんの手の中に移動したの?てっきり触られるのが嫌で逃げ出したのかと。
「おはようネコちゃん!そうそう。ん、これが良いの?」
青さんがネコで遊びだした。ネコが嫌がっていないのなら別に良いか。
「ヤヌシ。あれは放っておいていいのか?」
「良いと思うよ。青さんはネコを虐めたり嫌がることはしないしね。ミカンちゃんならちょっと気になるけど」
「ミカンちゃん?」
「君の最大の障害になりうる存在さ」
「意味が分からない」
「いずれ意味が分かるよ。そして後悔するかもね」
「・・・。気になる」
「しばらく来ないと思うよ~。たぶんだけど」
彼女は一人で来れないからね。車の練習をする必要があるけどそれも保護者がいるし。
「あぁ、それなんですけど。ミカンちゃんが明日ここへ訪問したいみたいです。聞いておいてほしいと頼まれました」
青さんがネコと遊びながら私達へつぶやく。最近ミカンちゃんの話をするとここに来たいという話になるな。もしかしてミカンちゃんの話をするとフラグが立つのか?
「え?別に良いですけど誰がミカンちゃんを連れてくる予定ですか?」
「私が連れてこようかと。あとヘルパーさんも明日は休みらしいので来て良いか聞いてほしいと言われてます」
「Uさん。明後日に仕事でここに来ることになるのに・・・。まぁ本人が良いのなら別に私は気にしないけど」
「じゃあ良いってことですね?連絡しておきます!」
私の家がペットカフェみたいな扱いになっている気がする。『守り人』達からは喫茶店扱いな気がするし・・・。ま、まぁ別に良いけどね。
「明日来るのか?」
「そうだよ。嫌なら明日は来ない方が良いと思う」
「・・・。いや一度会ってみる」
今の間は何だ。葛藤しているな。
「君があっていないのはあと三人。ミカンちゃんに会っておけばあとの二人は常識人だから問題ないよ。所長さんみたいな人間だ」
「本当か!それは良かった」
「だから明日は頑張って」
「・・・。分かった」
テンションの落差がすごいな。
「大丈夫ですよ。私もちゃんと言っておきますから。ね~、ネコちゃん」
「ネコはどんな感じですか?」
「この間の拒絶が嘘のようです。昨日ヘルパーさんが触れたって聞いていたので私も触れるかもと思っていましたが・・・。人見知りが終わったのかもしれませんね」
「そんなに急に変わるものですかね?」
「たぶんタワシのせいだと思いますよ?」
先生が私の左肩に乗ってきた。バイクはもう良いのかな?
「先生!なんでタワシの名前が出てくるのですか?」
「ネコはタワシと一緒に行動することが多いです。性格も似ています。ミライも一緒になって遊んでいるとしたら人間に対して警戒心が薄れたのかもしれません」
なるほど。ミライも同じようなことを言っていた気がする。
「ネコちゃんが遊んでほしいと言っているように感じますよ。でも先生。ミカンちゃんでも触れますかね?」
「どうでしょう。ミカンは特殊な人間ですからね」
とうとうミカンちゃんが先生に特殊扱いされてしまった。でも否定できない。
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