第274話
メッシュがベリーさんを連れて帰っていった。
青さんはベリーさんが帰ったのを見届けて赤さんに携帯で報告する。それが終わるとリビングでオモチが出したコーヒーを飲みながら私から何が起きたのか聞き始めた。せっけんが寂しがっていたらしく私の話を聞きながら遊んでもらった。本当に助かる。
ネコもせっけんを慰めていたらしい。実際にせっけんとベリーさんのやり取りを見て可哀想だと思ったのだろう。春さんのおかげで仲良くなった二体だが今回の件で今よりも仲良くなりそうだ。
私の話を聞き終わると今度は青さんが話を始めた。内容はもちろん私がベリーさんの国に行く件だ。赤さんの方からは特に問題ないと言われているみたいだが、ベリーさんの国から条件を出されたらしい。
「向こうの国の条件はヤヌシさんが訪問する時にベリーさんの他に何人か役人が参加するって事らしいです」
「役人を?何のために」
「考えられるとしたらヤヌシさんの勧誘?ですかね」
「私を?本気ですか?」
目的は『守り人』なのは分かっているけど私を勧誘しても無駄だろう。ミライがここにいる時点でこの子達はここから離れないし。
「だと思いますよ。通訳で一人同席するのは分かるんですが何人も同席するする必要はないですよね」
メッシュがいるから通訳も必要ないとは言いづらい。
「私としては問題ないですが砂岩にも確認しないといけませんね。話す内容は『守り人』の事ばかりですし」
メッシュが帰ってきたらお願いしよう。たぶん自分から行くと思うけど・・・。
「そうですね。砂岩様に確認してください。ヤヌシさん。せっけんちゃんをお願いします。そちらに行きたいみたいですよ」
「分かりました。おいでせっけん。ネコもね」
二体セットで左手の中に入ってきた。どちらかが私の指を掴む。おそらくせっけんだろう。私は右手で二体を撫でる。
「タワシちゃん、おいで~。これで遊びましょう!」
「遊ぶ~」
「あたし達も遊ぶ!」
青さんは今度はタワシと遊び始める。トウキとノートも一緒みたいだ。
「そういえばミカンちゃんがここに来たがってましたよ」
「車の練習をしたいからですよね」
「ヤヌシさん、分かって言ってますよね。せっけんちゃんに会いたいからに決まっているじゃないですか」
「分かってますけど、ミカンちゃんと会うのはせっけんにとって刺激が強いかなと」
「ミカンちゃんの事を何だと思っているんですか」
「『守り人』が苦手にしている人ですね。Uさんも含まれるかも」
「本人たちの前では言わないでくださいよ」
当たり前じゃないですか。言った後が怖い。
「分かってますよ。私は基本的に暇なんですからいつ来ても良いと言っておいてください」
「なら明日連れてきますね。もともと私も明日来る予定でしたし」
本当にすみません。メッシュが原因とはいえ申し訳ない。
「分かりました。そうだ。あとで私のカードを渡しますのでそれでお昼ご飯を買って来てください」
「良いんですか?」
「はい。何を買ってくるかはお任せしますね。この子達が食べた事がない物を買って来てもらえると助かります」
「なるほど~。大体みんなの好みは分かっているつもりだから任せてね~」
「僕は唐揚げが良い!」
「タワシ。今まで食べた事がない物を食べようよ。青さんが明日何を買って来てくれるか分からないけど、知らない方が楽しいじゃない」
「・・・。そうだね!たのしみ!」
「何でハードルを上げたんですか?困るんですけど」
「すみません。そういうつもりは・・・。みんなを納得させるには仕方なく」
「ちなみに聞いておきますけど、今までみんなに刺さらなかった料理は何ですか?」
刺さらなかった料理か~。数えるくらいしかないな。
「お弁当系とお寿司ですかね。お寿司はマリモとかは好きだったんですけどね」
「俺は好きだぞ!」
「分かってるって。あとブラシも好きだったね」
「なるほど。他には?」
「思い出せないです。でもそこまで気にしなくて大丈夫ですよ。みんな喜んで食べますから」
『守り人』達が青さんに食べたい物を言い始めた。先程のタワシへの注意をみんな聞いていたはずなんだけどな。青さんも聞き流している。
ちなみに車の練習はちゃんと行うらしい。『守り人』達も喜ぶことだろう。
青さんはメッシュからも話を聞きたかったらしい。だが青さんが帰るまでにメッシュが我が家へ帰って来ることはなかった。明日また詳しく話を聞かせてほしいと言って青さんは帰っていった。
青さんが帰ってから少ししてベリーさんを送ったメッシュが帰ってきた。ベリーさんがいたホテルから少し離れた場所に送ってきたらしい。あとはベリーさんに頑張って誤魔化してもらおう。
メッシュは帰ってくるとすぐに砂岩様に報告してくると言って出ていった。その日は帰って来なかった。先生曰く、砂岩から説教をされているとのこと。もともとは私のお願いが原因なので少しだけ申し訳ないと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます