第20話
ヘルパーさんが買い物と掃除をしてくれる日。
週で一番楽しみにしている日だ。
私は縁側でお昼ご飯の準備をしていた。
鉄板で厚切りのバラ肉をしっかりと焼き、ヘルパーさんにお願いして一口大に切り分けてもらった。切り分けたバラ肉はポトフの鍋に入れ焚火台の上に置いて放置した。
鍋を火にかけている間にレトルトご飯を温めるために家の中に移動する。
少し前から肩にタワシがいない。またヘルパーさんが掃除をしているところを見ているのだろうか。
電子レンジの前に移動するとトウキが腕から降りて行った。
君もヘルパーさんがやっていることに興味があるんだね。
電子レンジから音する。温め終わったみたいだ。
私は一人で縁側に戻っていった。するとすぐにトウキは左腕に戻ってきた。
トウキは掃除にあまり興味がなかったらしい。
昼食が完成してすぐに食べ終わった。
今日も美味しかった。さすがに作ったポトフすべてを食べることはできなかった。
明日の昼食に温めなおして食べよう。
昼食の片づけを始めるとタワシも肩に戻ってきた。
楽しかったのだろうか。肩の上で動き回っている。
ヘルパーさんに片づけを手伝ってもらい、すべての片づけか終わった。
いつものテーブルに移動してヘルパーさんにお菓子の事について相談した。
「先週暇だったんでバターケーキをホットサンドメーカー使って自分で作ったんですが、他にも何か作りたいんです。簡単にできるレシピとかご存じないですか?」
「お菓子ですか?。それは買い物に行く前にお聞きしたかったですね。・・・。そうですね。ちょっと待ってください」
「ガサガサ」音がする。スマホを取り出しているのだろうか。
何か叩くような音がする。
「ホットケーキミックスがあればホットサンドメーカーを使わなくても電子レンジで蒸しパンが作れるみたいですよ」
「なるほど。じゃあ来週の買い物でお願いしようかな。薄力粉でできるものはないですか?」
「薄力粉ですか?ベーキングパウダーは家にありましたっけ?」
「ないです。牛乳もないです」
「あるのは薄力粉、たまご、砂糖、バターってところです」
「ちょっと難しいかもしれませんね。ホットケーキミックスを使用するレシピが多いです」
「そうですか~しょうがないですね。おやつは来週にしましょう。ちなみに蒸しパンのレシピはどんな感じですか?」
急に返事が返ってこなくなる。
「もしかして小麦粉で作ろうとしてます?」
私は今どんな表情をしているだろうか。間抜け面をさらしているだろう。
「・・・はい。暇なのでやってみたくて」
「分かりました。それなら小麦粉を量って袋に入れておきましょうか?」
「ありがたいです!3人前で量っておいていただけますか?」
「3人前ですか?少し多いと思いますが良いですか?」
「大丈夫です。よろしくお願いします」
ヘルパーさんからレシピを教えてもらった。これでおやつを作れそうだ。
上手くできるかどうかは別として。
「そうそう、私からもお伝えすることがあるんです」
ヘルパーさんから連絡なんて珍しい。
「何か問題でもありましたか?」
「いえ、所長が━━━━さんのお宅で話がしたいそうです」
「所長さんが?良いですけど、なんだろう」
「あまり深く考えないでください。最近こちらに来てないからって言ってましたよ」
確かに最近は所長さんにあってないな。
「分かりました。日取りはお任せします。決まったら教えてください。電話でも構いません」
「所長にお伝えしときます。私からは以上です」
「私ももう大丈夫です。ありがとうございます。ついでに来週の打ち合わせをしましょうか」
いつもは玄関で行う打ち合わせをついでにやった後、ヘルパーさんは帰っていった。
私は疲れたのでイスに座って休んでいた。
今日はやっぱりいつもよりもお金を使ったみたいだ。
しょうがない。冷凍フルーツも高いんだよなぁ。
今晩は生のカットフルーツをタワシ達に出してみようと思う。今日のカットフルーツはパイナップルだ。
恐らく食べるだろうが、生のフルーツを食べるのかどうか気になる。
どういう反応をするだろうか。
少しして所長さんから電話がかかってきた。
我が家に電話がかかってくることは滅多にないのでとてもびっくりした。
一番びっくりしていたのはタワシかもしれない。普通に肩から落ちてた。
多分だけどねてたな。
急だけど明日来るらしい。私は一つお願いをして明日会う約束をした。
所長さん、電話越しだけど元気そうで良かった。
今日は私も夕食をフルーツだけにしよう。さすがにまだお腹は減っていない。
タワシ達の食器に生のカットフルーツをいれてテーブルに置いた。
私もすぐに自分のカットフルーツをテーブルに持ってきて食べ始めた。
少ししてタワシ達も食べ始まめたみたいだ。だがそのあとに続く咀嚼音が聞こえない。
もしかして食べていない?
「トウキ、もしかしてこの果物は美味しくなかった?正直に言って良いよ」
トウキは私の足を軽く2回叩いた。
「分かった。いつものやつにしよう。ちょっと待っててね」
生のカットフルーツが入っていた食器を一度下げて朝食と同じ冷凍フルーツと入れてテーブルに戻ってくる。
「さぁ、どうぞ」
いつも通り食べる始めるタワシ達。生はだめだったか~
もしかしたらパイナップルのような酸っぱいフルーツがダメなのかもしれない。
意外な結果に驚いたが、タワシ達の新しい一面が分かって私は少しうれしかった。
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