第77話

 先生がタワシも新しい力に目覚めたはずだと言い出した。そうなの?タワシと話すことができるみんなが羨ましいよ。


「先生はそんなことも分かるんですか?」


「はい。私の目にはタワシの色が少し変わって見えるのですよ」


「色?体の色が変わったの?トウキ知ってた?」


「え?あたしは分からないわ!」


「守護者の体を覆っている色というべきですかね。トウキなら深い緑。マリモは青緑。オモチは複雑すぎて言い表せませんね」


 なんと!『守り人』はオーラ的な判別が出来たとは・・・。ファンタジー要素の追加だな。それにちょっと男心がくすぐられる。


「へぇ~。トウキとマリモは知ってた?」


「初めて聞いたわ!」


「俺も!」


「今まで聞かれませんでしたからね。誰にも言ってませんよ」


「なるほど。で、タワシは何色何ですか?」


「ちょっと待ってくださいよ~。正確に判別するには目を凝らさないと分かりませんからね。これは・・・。タワシは枯れ草色ですね」


枯れ草色ってなんだっけ?確かカーキ色だったかな?


「嘘でしょ!?本当になの?先生。それって大地の要素が混じってるんじゃないの?・・・。ごめん、ごめん。勝手に盛り上がってたわ~。先生、早くみんなに説明してあげなさいよ!」


 何かが私の頬にくっついてきた。オモチかな?大地の要素ってなんだろう。でも大方の予想はつく。


「木の『守り人』は緑色が基準となっていて木を操るトウキは深い緑。空を飛べて風を操るマリモは青緑。各々の力の色が混じってるってことですね。木は緑で風は青。そうなると大地は何ができるんですか?」


「・・・。分かりません。前にも言いましたがこの子達はあくまで育樹の育成係です。我々みたいな戦闘がメインの守護者と違います。恐らく育樹のためになる力を持っているはずですが、普通は大地の力が混じることはないはずなんです」


「なんで混じることはないのですか?」


「大地の力は大地様達、大地の守護者しか使えないはずです。はぁ・・・。これは砂岩様にまた報告しなければ。砂岩様がこっちに来たがっているのを抑えているというのに」


「そうねぇ。ちょっとまずいわよねぇ~」


 そんなにまずいの?タワシは何も悪くないよ。


「先生、タワシはどこかへ連れていかれたりしますか?」


「・・・えっ?すみません。もう一度言ってもらえますか?」


 先生が動揺しているのか?そのレベルの出来事なの?


「タワシはどこかへ連れていかれたりしますか?」


「あぁ、その心配はありませんよ。大丈夫です」


「タワシおいで!」


 私は手のひらにタワシを呼び寄せた。そしてチクチクしている体を触る。急にいなくなるかもと不安になったが安心した。


「トウキ、タワシに何かできるようになったのか聞いてみてくれない?」


「分かったわ!」


 少しの間、リビングが静寂に包まれる。トウキが会話を再開する。


「タワシはまだ分かってないみたい。でも力があふれてくるのは感じるんですって!あたしの時もそうだったから分かるわ。すぐに何ができるか分かるようになるわよ!」


 別に急いでない。いずれ能力が分かったら教えてもらおう。


「大地の力ってどんなことが出来るんですか?」


「それは・・・。どっちかというと攻撃に特化した能力なんですよ。へたに力を使うとここら辺一帯を破壊しかねません」


 いきなり話が物騒になってきたな。だから砂岩に言いに行くのか。


「タワシに伝えて。力を使うのは絶対に禁止。いいね!」


「分かったって!」


「良し!この話はここで終わりにしよう!」


 下手に話を大きくして面倒事になるのはごめんだ。こういう時は食べ物の話をするのに限る。


「先生、オモチ。さっきまで次のヘルパーさんの日に何を食べるか決めてたんですよ」


「ヘルパーさんの日って何よ~?」


 頭の上にマリモが戻ってきたみたいだ。オモチが頭の上に移動してマリモから説明を聞いている。


「先生は何か希望はありますか?タワシ達はいつものジャガイモを希望してましたよ」


「え?えぇ、そうですね。私もジャガイモは食べたいですね。でも私も参加して良いんですか?最近ずっと参加してますよ」


「忙しくなけれ別に構いませんよ!先生も暇気味って言ってましたしね」


「それではお言葉に甘えます。そうですね。タワシ達は他に何を希望したんでしょう?」


「他にはチーズ、私のおすすめ、バターケーキって所ですね」


「なるほど。確かにヤヌシのおすすめは私も気になりますね。でもバターケーキは時間的に難しいのでは?」


「だから別日に作るよってタワシに言ったんですよ」


「それが良いですね。私は地面を掘った時のお礼のケーキとヤヌシのおすすめを願いしますよ」


 ケーキについてはもう考えている。料理はもうちょっと考えよう。


「分かりました。オモチはどう?」


「ん~。美味しい飲み物が欲しいわ!」


 そうだよね。君はそう言うと思ったよ。いろいろと試してみようか。


「食べ物は良いの?」


「あたしはヤヌシが作ってくれたものを食べるから大丈夫!ヤヌシの出す物は全部美味しいって聞いてるから期待してるわ~」


 君達は私に対して期待しすぎだよ。でもまだまだ紹介したい食べ物はたくさんある。少しずつ紹介していこう。


「そういえば私が育てている野菜ってもう食べれそう?」


 私はふと気になってみんなに問いかけてみた。


「それは・・・。どれが食べれるか分からないので何とも言えませんね」


「そうですか。今度Uさんに聞いてみよう。まだ間に合うならジャガイモでも植えてみようかな」


「本当?あたしが面倒を見るわ!」


「俺も!」


 それから私達はリビングで飲み物を飲みながら雑談をした。楽しくなってきたな。早く次のヘルパーさんの日が来てほしいね。

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