第322話
メッシュの検証が少し前進した。私と一緒ならタワシも移動できることが判明。これからはタワシがどれくらいの距離を移動できるのか検証する必要がある。だがその日の検証はそこで終了。メッシュは家に帰ると砂岩へ報告しに行った。少し声が嬉しそうだったね。
次の日。ヘルパーさんが仕事でやってきた。訪問していつものやり取りを行いベリーさんと一緒に買い物へ出かけていった。前回買い物に行った場所と同じはずなんだけど・・・。それでも良かったのかな?まぁいいや。
「じゃあ行こうか」
「そうだな。今日はすぐに帰ってこよう」
砂岩からの要請で砂岩の住処へタワシを連れていくことになった。ベリーさんが帰って来るまでに私達も帰って来る必要があるので今日は砂岩とは会わずに帰る予定だ。
「じゃあ行こうか。今日はタワシだけ行こうね。みんな!すぐに帰って来るからね!」
「楽しみ!!」
「行くぞ!」
ちなみに今日は冬服を着ていない。どうやら砂岩は前回の住処から移動したみたいだ。メッシュはそこまで寒くないから「そのままで大丈夫だ」と言っていたが不安だ。
「着いたぞ。タワシは?」
「僕、いるよ~」
「おぉ!!ちゃんと一緒に来れたね!ミライは?」
「私もいるわ!不思議な感じね。本体から離れているはずなのにあまり離れている感じがしないわ」
どういう事?意味が良く分からないな。でも良かった。熱くも寒くもないな。
「わ~い!」
「タワシ!すぐに帰るんだぞ!・・・。え?」
右肩からタワシが降りて行った。この近くを見て回るつもりだったのだろう。でもメッシュの反応がおかしい。
「メッシュ。どうしたの?」
「タワシが地面に降りた瞬間に消えた。おい、タワシ!どこにいる!」
「タワシ!」
タワシからの反応はない。もしかして・・・。
「メッシュ帰るよ!」
「は?タワシを置いて帰るのか?」
「いいから!早く!」
「・・・。分かった」
ザリザリと音がする。すると右肩に何かが乗ってきた。
「ヤヌシ~!良かった!無事だったんだね!!」
タワシが私の顔に抱き着いてすりすりしてくる。良かった!君こそ無事だったんだね。でも痛いからすぐ離れてね。しかしタワシは落ち着くまで私の顔から離れなかった。メッシュが先生とオモチに説明している。
「どうしてヤヌシはタワシがこっちへ帰ったと思ったんだ?」
「ミライがあまり離れている感じがしないって言っていたからだよ。あれを聞いてなかったらあの場所を探し回っていただろうね」
「私はヤヌシと一緒なら移動できるって事?」
「そうみたいだねミライ。たぶん離れなければ問題ないはずだよ。もう一度行ってみよう」
「ヤヌシちょっといいですか?」
メッシュにお願いしてもう一度移動しようとした瞬間に先生から待ったがかかった。
「どうしました先生?何か問題でも?」
「いいえ。私もついて行っていいですか。あなたの肩に乗って」
「そうか!検証してみましょう。私達について行きたい子はいつもみたいに体にくっついて!」
全員が私の体にくっついた。いつもの感じだから私としては違和感はない。
「ヤヌシ。バケツを持って!あたしとフウセンは水がないとまずいわ~」
「オモチ大丈夫だ。今回は近くに水辺がある」
「そうなの?なら良いわ~」
これで問題ないかな?
「よし!メッシュお願い」
「行くぞ」
ザリザリと音がする。どうだ?
「みんないるね。良かった!」
体にくっついた状態で喜ぶ『守り人』達。少し耳が痛い。
「じゃあタワシ。肩から降りてみて。君が家に戻ったら私達もすぐに帰るからね」
「分かった!」
・・・。どうなった?
「ヤヌシ。タワシは消えましたよ。本当に消えるんですね」
「一緒に移動できるのが分かっただけでも前進ですよ。次は先生達ですね」
「私達ですか?」
「先生もメッシュの力で移動できなかったじゃないですか。タワシみたいに強制的に帰宅させられるか検証しましょう」
「なるほど。では地面に降りてみましょう」
左肩から先生が消えた。この場合はどうなるんだ?
「私は大丈夫みたいですね」
先生は強制連行されなかったみたいだ。ついてきた子が全員地面に降りてみたがタワシみたいに強制連行される子はいなかった。となるとあれはミライと契約しているからだろう。
「よし帰ろう!タワシが寂しがっているはずだ」
「そうだな。みんな準備は良いか?行くぞ!」
我が家に帰ってくるとタワシが右肩に乗ってきた。寂しかったみたいでまた私の顔を掴んですりすりしてくる。頬が削られる~。
「今日はこれくらいにしておこうか」
「そうだな。俺は砂岩様に報告してくる」
「分かった。砂岩によろしくね」
「メッシュ、ちょっと待ちなさい。ヤヌシ。砂岩様でも出来るのか試してみては?」
「砂岩をこっちに連れてくるって事?」
「そうです。それが可能になれば砂岩様が喜びます」
連れてきたらそのままおやつの時間まで居座りそうだけど・・・。そうなるとヘルパーさん達に説明するのが面倒だ。
「先生。しばらく砂岩様は移動できないぞ」
「なら仕方ありません。ヤヌシ。近い内に行いましょうね!」
やけに簡単に先生が引き下がったな。何か理由があるのだろう。でも良かった。今日はもうこれくらいにしようよ。私はそのまま花壇に水やりを行ってリビングへ戻った。少し疲れたのでヘルパーさん達が帰って来るまで休憩しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます