第231話
メッシュにニンジンを炒めた物を振舞った後。砂岩の伝言を聞いてきた。一つは私が街へ行くときの事。これは私が砂岩に聞いてとお願いしたことだから問題ない。問題はもう一つの伝言だ。
「それでもう一つの伝言って?」
「それはな。俺がここに入り浸っていることで人間嫌いの守護者達がこの場所へ興味を持ってしまったらしい」
「砂岩の時と同じだね。それは私も想定していたよ。砂岩はどうしてほしいって?」
「ヤヌシに良い案がないかと言っていた」
砂岩・・・。私に丸投げするつもり?
「良い案ね~。簡単なのはここへ来てみたい『守り人』を全員招待することだけど・・・」
「それは無理よ~。ヤヌシも分かっているのでしょ?」
「分かっているよ、オモチ。それが出来ていたら初めから招待している。私にも限界があるからね。でもやり方によってはできないことはない」
「一回に来る守護者の数を制限して負担を軽くするってことですね」
「そうです先生。メッシュ。砂岩からどのくらいの数の『守り人』がここへ来たいと言っていたか聞いてる?」
「いや聞いてない」
ここに来る『守り人』の目的は主にミライだろう。次点でご飯かな。どちらにせよ私一人で対応できることではない。
「なら、まずはこの場所に来てみたい『守り人』の正確な数が知りたい。それが分からないと対処の使用がないね」
「正確な数か・・・。それは上位、下位関係なくだよな」
「守護者の話だよね?」
「そうだ」
「関係ないよ。ここへ来る意思があるかないかだから。それに私が君達をそういう風に見ていないのは分かっているでしょ?」
「知っているが確認のためだ」
今の言い方は気になるな。もしかして上位だから偉いといばっている『守り人』がいいるのだろうか。
「『守り人』内で調査をする。まずそれからだよ。あとは人間嫌いの『守り人』達が私達人間に手を出さないかだね」
「オモチがいれば大丈夫だろう。あれは卑怯だぞ?」
「あれって失礼ね!あたしはヤヌシを守るために必要なことをしただけよ!」
「分かっている。でも森の中で樹の守護者である俺が手も足も出ないとは思わなかった」
普通はそうだよね。オモチの言う通りに手水舎を拡大しておいて良かったと思うよ。
「だとしてもだよ。メッシュを受け入れるときも万全の態勢で臨んだんだ。毎回は同じように出来ないのは分かるでしょ?」
「そうよね~。ヘルパーさんや所長さんにも来てもらう必要があったしね。毎回は難しいわよね~」
「そうですよ。メッシュ。あなたが来る時にどれだけ準備したことか」
先生。言いづらいですがあなたは準備に関しては特に何もしてませんよ。あなたはメッシュと一緒に来たじゃないですか。
「む・・・。それに関しては俺が悪いと思っている」
おっ!メッシュが悪いと認めた。良い傾向だね!!
「まぁまぁ。話を戻そう。メッシュは人間嫌いの『守り人』の中でも代表格だったんでしょ?他の『守り人』をまとめることはできないの?」
「難しいだろうな。俺がこの場所に入り浸っているのはみんな知っている。人間に屈したと思われていてもおかしくない」
「全員がそう思っているわけではないと思うよ。じゃないとここへ来たいとは思わないはずだ。とりあえず何体か会って話をしてみてほしい。話してみて問題なさそうな『守り人』を連れてくる方向でいこうか。これで良い?」
「そうだな。この話の結果と持ってもう一度砂岩様のもとへ行ってくる」
「分かった。でも少し休んでいきなよ。ネコも食べているし」
ネコは私達の話など関係ないと言わんばかりに食べ続けているみたいだ。そのニンジンはメッシュのものなんだよ?
「分かった。あとヤヌシ。ネコがマヨネーズが欲しいと言っている」
「・・・。次で最後だと言っておいて。絶対に最後だと」
今は体が小さいから良いけど。みんなみたいに体の大きさを変えれるようになった時が怖い。今のうちから言っておかないと。
「分かったと言っているが納得はしていないみたいだ」
「ふ~ん。なら追加はやめておこうかな」
「食べたいと叫んでいるぞ」
「君だけココアとニンジンを食べているんだ。あまりわがままは言わない方が良いよ。みんなは我慢しているんだから」
「ネコが謝っている」
「ネコ。君にはまだ難しいと思うけど周りの事も考えて発言するようにね」
私はそう言ってキッチンへ移動する。ネコが首元へ移動してきた。首元に来たと思ったらそこから右耳へ移動し耳たぶを掴む。何がしたいのだろう。タワシのマネをして謝罪しているのかな?
ネコは私の耳たぶを触ったまま動かなくなった。放っておこう。リビングへ戻ったらニンジンを食べに戻るだろうし。
「ヤヌシ。ネコはあなたがまだ怒っていると思っているみたいよ。ずっと謝っているわ」
「そうなの?この行動の意味は?」
「タワシがこうすればいいと言ったみたい」
タワシはネコに何を吹き込んでいるんだ。あとでミライに注意してもらおう。そもそも私は怒っていないのだけど。
「ネコに私は怒っていないと伝えて」
「はいはい~」
少ししてネコは私の首元へ戻った。私がマヨネーズを持っているからか落ち着きがない。リビングへ戻るとメッシュが話しかけてきた。
「体を小さくして食べるのは楽しくていいな」
「みんなそう言うよね。君達にしかできない芸当だけど」
「良いだろう?ヤヌシも頑張ればできるんじゃないか?」
それはない。せいぜい人間にできることは太るか痩せるぐらいだ。
「出来たら楽しいだろうね。それを食べ終わったら悪いけどもう一度砂岩に伝言をよろしくね」
「あぁ。俺達の事だ。何の問題もない」
それから私はココアが飲みたいとアピールしてくるネコを相手にしながらタワシ達と雑談をしていた。メッシュはニンジンを食べるのに必死で一切会話に入ってこなかった。
「食べ終わったぞ。また頼むな。次はもっと多めで!!」
メッシュ。今日の分だけでもニンジン五本も使っているんだよ?ニンジンの買う量を増やさないとな。
「気に入ってもらえてよかったよ。ネコは食べ終わった?」
「ネコも食べ終わったみたいだ。今は俺の背中に張り付いている」
ネコは私の首元にいないときはメッシュにくっついていることが多い。メッシュも嫌がっている素振りを見せない。あれかな?おじいちゃんと孫的な感じ?
「そっか。なら良かったよ~。じゃあ悪いけど砂岩に報告をお願いね」
「おう!行ってくる!」
ザリザリと音がする。メッシュがリビングからいなくなったみたいだ。
「さて花壇に水やりをしに行こうかな。みんなも行くでしょ?」
「待って!ネコがいないわ!!」
「え?」
そういえばネコが私の首元に帰ってきていない。もしかしてメッシュにくっついて行った?
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