第231話 魔像召喚対決
「おい生徒会長、負けちまったぞ?」
「というかなにしたんだ?」
「なんで魔法が消えたんだろう?」
生徒たちはきょとんとした反応だ。
「わお☆白面さんが勝っちゃったよー☆すごいすごーい☆」
めたどん:勝ったのか?
ナイトマン:なんかよくわらなかった
ぬまっきー:仮面の人なんかしたのか?
……動きが少な過ぎて俺の勝ちが認識されていないようだった。
「ちょっともう少し派手に勝ってよ」
「派手なのは殺しちゃうからなぁ」
転移ゲートで消すのも地味だし、殺さず派手に戦うのは難しい。
「あー、で、俺が勝ったけど土下座して彼女に謝ってくれる?」
「ふ、ふざけないでっ! どうせなにか卑怯な手を使ったのでしょうっ? 放った魔法が消えるなんてありえないものっ!」
「魔法を消す卑怯な方法なんてあるのかね?」
「そ、それは……。けど魔法が消えるなんてありえませんっ!」
「ありえるから消えたんだ。疑うなら自分で試してみるんだな」
生徒会長の彼を倒しても、どうせ謝罪はしないだろうと思っていたことだ。
「ふっふっふっ、志田君は恐らく具合でも悪かったのでしょう。あなたは運良く勝っただけです。しかし2度も幸運は続きませんよ」
「ああ」
さてこいつとはもう少し派手に戦わないとな。
しかし殺してしまっては謝罪をさせられない。難しい戦いになりそうだ。
「ではいきますよっ! 世界を統べる偉大な魔の力よ、我に従う魔像を与えたまえ……むんっ!」
おばさん校長が右手を掲げる。と、
ズズズ……。
音を立てて地面からなにかが出てくる。
やがて現れたのは、3メートルほどある岩石の巨人であった。
「ふははははっ! 魔像召喚は高等魔法ですっ! こいつに魔法は効かないっ! 岩石でできた頑丈な身体は物理攻撃もほぼ受け付けないっ! どんな卑怯な手を使っても破壊は不可能ですよっ!」
そう言っておばさん校長は高笑う。
「魔像召喚はやり過ぎだろ……」
「魔像ってA級が10人集まってやっと1体召喚できるんだろ? ひとりで召喚できるとか、さすがはS級だな」
「ミサイルでも破壊できないらしいし、絶対勝てないでしょ」
「もう運とか関係無いな」
……魔像召喚か。確かに高等魔法ではあるな。
「さあ魔像よ、やってしまいなさいっ! その愚か者に裁きの鉄槌を……」
ブチッ。
「え……」
上空から巨大な指が降りて来て魔像を潰す。
「少しでかいのを召喚してしまったかな?」
「な、なにを……?」
「魔像の強さは召喚した者が使用した魔力に比例するのくらいは知っているだろう? 俺は空に魔像を召喚してお前の魔像を潰したんだ」
「そ、空って……げぇっ!?」
地面を暗くする巨大な影。見上げると、そこには山のように巨大な魔像が浮かんでいた。
「な、なんだあれ?」
「あれ魔像なのっ? い、いやでか過ぎるでしょっ!?」
「あれを召喚したのっ? あの仮面がっ? 嘘でしょっ?」
「てか魔像の身体って大地が素だろ? なんで空に……?」
「と言うか、呪文も無しで召喚したような……」
上空の魔像を見上げて生徒たちが騒ぐ。
通常、魔像の召喚は大地に埋まっている無数の石を集めてそれを素体にして行うが、俺は万物すべての存在を魔像の素体にできる。空に浮かんでるのは空気を素体にして召喚した魔像だ。
「あ……ああ、ありえないっ! あんな魔像を召喚できるなんて……っ!」
「目で見えるものがすべてだ。さあ彼女に土下座で謝罪するか、それとも上の魔像にお前も潰されることを選ぶか。どうするんだ?」
「しゃ、謝罪なんて……するかボケがぁっ!!! 世界を統べる偉大な魔の力よっ! 我に従う魔像を与えたまえ―っ!」
おばさん校長がふたたび同じ呪文を詠唱すると、今度は複数の魔像がボコボコと地面から現れる。
「上の奴に潰される前に、お前を殺してやるーっ!」
「無駄だ」
ドンッ!
「なっ……!?」
俺の指から発射された魔力の弾が魔像の上半身を吹っ飛ばす。
「そ……そんなっ!? 魔像に魔法は効かないはず……」
「通常の魔法はな。俺のは通常ではない」
魔力の弾で次から次へと魔像を破壊する。
そしてすべての魔像を破壊し終えたとき、俺の前に立っているのは顔面を蒼白に変えたおばさん校長だけだった。
――――――――――
お読みいただきありがとうございます。
おばさん校長をあっさり撃退。今回はまあまあ派手に戦えたのでアカネちゃんも満足でしょう。
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次回は魔王様が教師に……?
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