かつて異世界で最強の魔王をやってた平社員のおっさん ダンジョンで助けた巨乳女子高生VTuberの護衛をすることになったけど、今の俺はクソザコなんで期待しないでね
第279話 封印されたアレ、そして魔物の大量発生
第279話 封印されたアレ、そして魔物の大量発生
……明くる日。
俺のアレが役立たずになったと聞いて、部屋には無未ちゃんや雪華がやって来た。
「ほんとに立たんのか?」
「ま、まあ……この通り」
俺は仮面をはずして顔を見せる。
勃起不全なんて書かれた顔を人前には晒せない。なので人前に出るときは白面の仮面をつけていた。
「うははっ! なんじゃその顔っ!」
「笑いごとじゃないよ……」
雪華に笑われて俺は肩を落とす。
こういうことはあまり知られたくないのだが、これが神の仕業ならば黙っているわけにもいかない。神と戦うとなれば、どうしたって身近な人たちには迷惑をかけてしまうだろうし……。
「けど神様はどうして小太郎おにいちゃんのアレを立たなくしたんだろ?」
「さあ……」
神のすることだし、なにか重大な思惑があるはず。
世界のためだとか言っていたが、しかし俺のアレを立たなくすることがどう世界のためになるのかさっぱりわからなかった。
「もーっ! せっかく昨日は最高の夜になるはずだったのにっ!」
アカネちゃんは昨夜からご立腹だ。
俺のせいではないけど、なんとも申し訳ない気持ちだった。
「コタローっ! 今からあのクソ女を殺しに行こうっ!」
「こ、殺すって、神を?」
「そうっ! あいつ殺さないとわたしたちできないじゃんっ!」
「ま、まあ落ち着いてよ。説得して呪いを解かせることだってできるかもしれないし、殺すってのはちょっと……」
そもそも神って殺せるのだろうか……。
「神を殺すことはできませんよ」
と、千年魔導士が俺の心に思った疑問に答える。
「神とは始まりの無い存在です。始まりの無い者には死という終わりもありません」
「それってどういうこと? 神だって生まれたときがあるはずでしょ?」
「ありません。神とはそういうものなのです」
「そ、そうなんだ……」
しかしやはり納得はできないようで、アカネちゃんは首を傾げていた。
「じゃあやっぱり説得して呪いを解いてもらうしかなさそうだな」
「それしかないでしょうね」
しかしこちらから神に会うことは難しい。
いつか俺の前に現れるまでこの状態では、アカネちゃんも我慢ならないだろう。
「本当に立たんのかちょっと見せてみるのじゃ」
「えっ? いやちょ……っ!?」
自然な動作で雪華が俺のズボンへ手をかけてくる。
「ちょっとなにやってんのっ! そこはわたししか触っちゃダメなのっ!」
「小太郎はわしの息子じゃ。じゃから小太郎の息子はわしの息子でもある。だから自由に触れてもいいんじゃ」
「いや意味わかんないしっ!」
俺もよくわかんない……。
「あ、じゃあこういうのはどう? 小太郎おにいちゃんのアレを復活させた人が正妻の座をもらうってのは?」
「おうそれじゃ。そうするのじゃ」
「ちょっと勝手に決めないでよっ! 小太郎はわたしと結婚したんだからわたしが正妻なのっ! あんたたちがもらうとかありえないからっ!」
「しかし立たせられんのでは世継ぎを作れんではないか? 小太郎はこの世界を支配する魔王じゃぞ。世継ぎを作れん正妻よりも、作れる正妻のほうがいいはずじゃ」
「アカネちゃんにはかわいそうだけど、小太郎おにいちゃんの正妻には小太郎おにいちゃんのアレを元気にさせる力が必要だと思うの。大丈夫。わたしが正妻になっても、アカネちゃんを側室として認めてあげるからね」
「あ、あんた、よくもそんなこと言えたねぇ……」
なんだか不穏な空気が3人のあいだで流れ始める。
俺の妻はアカネちゃんで揺るがない。
それはアレが立とうが立たなかろうが関係の無いことだ。
そう2人に言って止めなければ。
と思ったとき……。
「ま、魔王様っ!」
そこへジグドラスが慌てたようで部屋に飛び込んで来る。
「どうしたジグドラス?」
行儀の良いこの男がノックもせずに部屋に飛び込んできたのだ。
よっぽどのことがあったのだろうと予想できた。
「ま、魔物ですっ! 魔物が発生しまして……」
「魔物?」
イレイアの身体から取り出し、今は俺の中にある力の集合装置によって、魔物の発生は抑制されている。現れてもたいした数ではないので、慌てることもないと思うのだが……。
「は、はい。日本の地方にある町に大量の魔物が発生したのですっ!」
「なんだって?」
装置は問題無く機能している。魔物の大量発生などありえないはず……。
「千年魔導士」
「はい。どうやら不測の事態が発生しているようですね」
「うん。なにが起こっているかはわからないけど、とりあえず魔物を討伐に行かないとな」
そうしようと俺は転移ゲートを発生させるが、
「お待ちください魔王様。日本に常駐している魔王軍がすでに討伐へ向かっております。魔王様が直々に行かれることはないでしょう」
「そ、そうか?」
「はい。お立場がありますので、滅多なことで魔王様が直々に動かれるようなことはお控えください」
「うん……」
今まではなにか起これば自分で行って対処していたので、つい動こうとしてしまう。ジグドラスの言う通り、魔王の俺が軽々しく動くのはあまりよくないか。
「なぜ魔物が大量発生したのか、現場の者には調べてもらいたい」
「承知いたしました。すぐに連絡を致します」
そう言ってジグドラスは部屋をあとにする。
しかし一体なにが起こっているのか?
魔物大量発生の原因に、俺は不気味なものを感じていた。
――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます。
アレを立たせた者が魔王様の正妻に……。
伝説の魔王剣を抜いた者こそが真の正妻……のようです。
☆、フォロー、応援、感想をいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
次回は小田原復活を知る魔王様……。
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