第62話 レイカーズ再び
なぜレイカーズの連中がここに?
確かこいつら、寺平重助の力で全員が釈放されたと聞いたが……。
「なんでお前らがここにいる?」
「いや、その……」
「なにも答えないならこれで終わりだ。じゃあな」
俺は男の頭を掴む。
「ま、待てっ! 待ってくれっ! 俺たちはお前を殺しに来たんだっ! けどもう諦めたっ! だから許してくれっ!」
「お前らの他にもレイカーズ……いや、元レイカーズはいるのか?」
「ああっ! 元レイカーズの全員がお前を殺そうとこの階層に潜んでるぜっ! お前にレイカーズを潰されたことで今までやってきたことが世間にバレて仕事や家族を失っちまったからなっ! みんなお前を恨んでるぜっ!」
「そうか」
逆恨みもいいとこだ。
「お前らを動かしているのは寺平重助か?」
「えっ? あ……それは……」
「そうなんだな?」
「いだだだだっ!」
掴んでいる右手に力を込めると男は痛みに叫ぶ。
「そうですっっ!! そうですっっ!! その通りですっ!!」
「やっぱりか」
社長の予想通りか。
寺平重助は息子の件で俺たちを恨んで元レイカーズ全員を釈放させたんだ。
「で、でも俺たちはもうお前を恨んでないぜ。なあ?」
「あ、ああ、だから解放……」
「必要無い」
右手を横一線に払う。
と、男たちの首がゴロンと地に落ちた。
俺が甘かった。
俺が甘いせいでアカネちゃんは前回と今回で2度も襲撃を受けてしまった。
最初から殺しておくべきだったんだ
こんな奴ら……。
後悔し、そして反省した俺は自分の頭を殴りつける。
「コ……白面さん?」
「いや、大丈夫」
ここに元レイカーズの全員が潜んでいる。その目的は俺とアカネちゃんを殺すこと。しかしこっちにはブラック級の無未ちゃんもいる。それでも襲ってくるということは、無未ちゃんを倒せるハンターがいるか、もしくはなにか大きな罠を仕掛けているのかもしれない。
いずれにせよ危険に飛び込んでやる必要は無い。
「アカツキちゃん、やっぱり大会は棄権したほうがいい。すぐにここから出るんだ。いいね?」
「えっ? 嫌だ。今さら棄権なんて……」
「アカツキちゃん」
俺はアカネちゃんの目をまっすぐ真剣に見つめる。
「な、なに? 真面目な顔して?」
「俺は君の身を案じているんだ」
「でも、白面さんが一緒なら……」
「仮に俺が無敵でも、君を100%守れるとは保証できない。ブラック級の無未ちゃんが一緒でも、絶対に安全とは言い切れないんだ」
俺たちを狙う元レイカーズはなにか危険な罠を画策している。
確証は無いが、可能性は高いと思う。
ここはあまりに危険だ。
アカネちゃんをこんなところにいさせてはいけない。
「そうかな……。でもこんな中途半端で配信を終わるわけにはいかないし……」
「君のファンは君が危険な目に遭うことを望んでなんかいないさ」
マンダ:レイカーズが全員釈放されたって噂があったけどマジだったんか
タイガー:どんな力が働いたらあんな凶悪な連中が釈放されるんだよ……
ぬまっきー:白面さんと女王様がいればレイカーズなんかたいしたことないと思う けど、無責任なことは言えんね。白面さんが危ないって言うならそれに従うべきだと思うよ
ナイトマン:アカツキちゃんの無事が一番よ
ランラン:危険なことをすれば盛り上がるけど、怪我したり死んだりなんて望んでないよ
めたどん:白面さんが言うなら棄権したほうがいいかもね
そらー:アカツキちゃんが痛い目に遭うところは見たくないよー
コメントはアカツキの身を案じるものがほとんどであった。
「……わかった。白面さんとみんながそう言うなら残念だけど大会は棄権する」
「うん」
アカネちゃんがみんなを楽しませようと真剣にVTuverをやっているのは知っている。危険なことをすれば盛り上がるのはわかるし、俺はそのための護衛だ。しかし 今回は嫌な予感がする。早々にここから出たほうがいいだろう。
「無未ちゃんもそれでいいね?」
「白面の君がそう言うならば、それに従うのみだ」
しんし:これ以上、女王様と白面が共にいるのは嫌なので棄権に賛成。
セバス:白面だけ死ね
ぺん:女王様に近づくな。
adaman:fuck
無未ちゃんのファンも棄権には賛成のようだ。
「それじゃあ早く外へ出よう。ここからだと上の階層にあるボス部屋に戻るよりここのボス部屋に向かったほうが早いかな」
「うむ、戻る道にもレイカーズが潜んでいるかもしれんしな。近いほうへ向かったほうがいいだろう」
「うん」」
そう決めた俺たち魔物を倒しつつ、ボス部屋へと向かった。
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