かつて異世界で最強の魔王をやってた平社員のおっさん ダンジョンで助けた巨乳女子高生VTuberの護衛をすることになったけど、今の俺はクソザコなんで期待しないでね
第7話 終業後の小田原智(小田原智視点)
第7話 終業後の小田原智(小田原智視点)
終業後、小田原智は自分が所属するダンジョン探索のチーム拠点へ訪れていた。
このチーム拠点というやつはダンジョン内の一角にあり、探索前の準備や魔物から獲った素材を保管して置ける便利なスペースだ。
智は高校生のころからこのチームに所属し、素材を集めて金を稼いでいる。
会社は副業禁止だ。しかし関係ない。
自分は会社の次期重役候補で、父親は会社の専務だ。
バレたところで、処罰なんてされるはずはない。
ダンジョン探索にそれほど興味があるわけでもないし、金にも困ってない。
しかし魔物ハンターをやめないことには理由がある。
ここでは外よりも犯罪が露見しづらい。
例えば女を犯して殺しちまっても、魔物に殺されたってことにすればそれで済む。
このチームに所属してる全員は探索なんかには興味が無く、女ハンターを騙して捕まえて犯したいって奴らばかりだ。
今もチーム拠点のどこかから女の悲鳴が聞こえてくる。
ダンジョンってやつは最高だ。
日頃のストレスを解消してくれる。
「あー女の悲鳴を聞いてたら滾ってきたわー。俺も女を捕まえてくっかなー」
智のハンターランクはシルバー級5位。
たいていの女は力づくで捕まえられる。
「まあ俺くらいのイケメンなら声をかけるだけで女なんてほいほいついて来るけどさ。しっかし最近、遅刻が多くて親父に注意されてんだよなー。しかたねぇ。今日は前に犯った女の動画でも見て我慢するかー」
このチームの慣習というか、チームのみんな女を犯るときは動画で撮影して保存している。犯った女のコレクションみたいなもんだ。これが多いほど、チーム内ではでかい顔ができる。
「さてどれを見っかなー……」
近くにあるイスに座った智はスマホをタップする。と、
「くそっ!」
誰かが壁を叩く大きな音がした。
「うん? あ……」
皇隆哉さんだ。
このチームのサブリーダーで、チームでは智の先輩にあたる。
「どうしたんすか隆哉さん? 機嫌悪そうじゃないっすか?」
「あん? ああ、智か」
隆哉が不機嫌そうな視線をギロリと智へ向ける。
「英太さんから落とし前つけろって言われてな」
「落とし前って……なんのすか?」
「知らないのか?」
「知らないって?」
「ああ……」
智は隆哉から事情を聞く。
「へー逃げたんすか。そりゃダサいっすね」
「てめえっ!」
「ちょ、冗談っすよ。そんな怖い顔で睨まないでくださいよ。そんなやべーデカサソリ現れたら俺だって逃げるっすから」
「はあ……。くそ、あの女、配信なんかしやがって。おかげで俺のイメージは台無しだ。おまけに英太さんから落とし前つけろって言われるし……」
護衛失敗の落とし前をつけろ……ってわけじゃないな。
護衛なんてのは建前で、本当の目的は護衛対象の女を騙して犯すのがこのチームの目的だ。護衛の成否なんてどうでもいいはず。
「落とし前つけろってなんだよ。女を騙して捕まえて犯すだけのチームだろ。護衛でミスったからって……」
「違うっすよ隆哉さん。英太さんが言ってるのは、その女を犯せってことっすよ」
「えっ?」
「俺たちは女を犯すのが目的のチームっすよ。隆哉さんは女を犯せずに逃げたんす。だからそのミスに対して落とし前をつけろって英太さんは言ってるんすよ」
「つ、つまりあの女を犯せばいいってことか?」
「そうっす。簡単じゃないっすか。いつも通りに女を捕まえてやっちまえばいいんすから」
「そ、そうだなっ!」
一転して隆哉の表情が機嫌の良いものに変わる。
「お前、頭良いな」
「隆哉さんより高学歴っすから」
「てめえの行ってた大学、俺の大学とそんなに偏差値かわんねーだろ」
「それでも隆哉さんより高学歴っすから」
「てめえ……まあいい。それじゃあさっそく昨日の女を捕まえてくるか」
さっそく出掛けようとする隆哉だが、
「ちょっと待ってください。その女が今日もダンジョンに来てるかはわかんないんじゃないっすか?」
「そうだけど、行かなきゃいるかどうかもわかんねーだろ?」
「その女ってVTuberやってんすよね? だったらネットで配信やってるか確認すればダンジョンに来てるかわかるんじゃないっすか?」
「おお、確かにそうだ。お前、頭良いな」
「隆哉さんより……」
「もういい。次言ったら殺す」
「い、言わないっすよ」
殺気の篭った目で睨まれて智は尻込みする。
隆哉は馬鹿だが、強さは本物だしチームメンバーでも平気で殺す。
実際、何人かは隆哉の機嫌を損ねて殺されている。
力はそうでもないし、剣技だってたいしたことない。
けれど装備してる鎧がやばい。あの鎧についてるスキルがやばいんだ。
隆哉とやりあったら、たぶん気が付いたときには死んでる。
そういうやばいスキルだ。
「ちっ、てめえはいつも一言多いんだよ」
舌打ちしつつ隆哉はスマホを取り出し、タップする。
「お」
「どうっすか?」
横から隆哉のスマホを覗くと、そこには配信が始まったばかりの動画が流れており、アカツキというVTuberが何者かを紹介していた。
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