第25話 17年ぶりの再会
「な、なんですか?」
変な人だけどすごい美人だな。近づかれるとそれがよくわかる。
あとおっぱいがでかい。これ重要。
「もしかして……小太郎おにいちゃん?」
「えっ? なに? こ、小太郎おにいちゃん?」
急になにを言っているんだこの人は?
いやでも、名乗ってないのになんで俺の名前を知ってるんだろう?
「わたしだよっ。無未っ。鹿田無未っ。忘れちゃった?」
「鹿田無未……? 鹿田……無未……無未……」
鹿田無未って名前、やっぱりどこかで聞いたことがあるような……。最近ではない。もっと昔。子供だったころ……あっ!
「も、もしかして無未ちゃんっ!? 子供のころ隣に住んでたっ?」
俺が小中学生くらいのとき、隣の家に8つ下の女の子が住んでいた。
泣き虫だけど人懐っこい子で、その女の子とはよく一緒に遊んであげていたのだがまさか鹿田さんがその……。
「そうっ! 無未だよっ! 昔、隣に住んでたっ!」
「やっぱり無未ちゃんっ!」
「うんっ! わーひさしぶりーっ! まさか仮面の人が小太郎おにいちゃんだったなんてーっ」
俺が異世界へ行く前までは会っていたから17年ぶりくらいか。
まさかこんな形で再会するとは思ってもみなかった。
「えっ? なに? コタローの知り合いなの?」
「うん。子供のころ隣の家に住んでた鹿田無未ちゃん。いや、もう立派な大人なんだし、無未ちゃんなんて言ったら失礼かな?」
「ううん全然いいのっ。無未ちゃんでっ。そう呼んでくれたほうが嬉しいしっ」
「そう? じゃあ無未ちゃんで」
「うんっ。あ、これ返すからっ。ごめんね小太郎おにいちゃんっ」
「あ、うん」
仮面を返してもらう。
「ところで小太郎おにいちゃんはそんなもの被ってなにしてるの?」
「俺はここにいるVTuberのアカ……ツキちゃんの護衛でここに来たんだけど……その、俺はあんまり目立ちたくないから仮面を被ってるってわけで」
「そうなんだ。へー小太郎おにいちゃんもハンターやってたんだね」
「ま、まあね。無未ちゃんはずいぶん変わったね」
主におっぱいが。
彼女が8歳のときに会ったのが最後だから当然だけど、まさかこんな巨乳に育つとは思わなかった。
「そりゃそうだよー。前に会ったのわたしが8歳のときだもん。17年も経ったら変わるよー。おにいちゃんもすっかりおじさんだしー」
「ははは……おじさんね」
「うそうそ年齢のわりには若いって。でも、おにいちゃん中学校を卒業してから行方不明になったって聞いたけど、どうしてたの?」
「行方不明?」
アカネがじっと俺を見上げる。
「えーっと……それは……っと、そ、それより無未ちゃんブラック級のハンターになるなんてすごいなー。子供のころは普通の女の子だったのに」
怖がりの泣き虫で、いじめっ子やカラスから俺が助けてやったこともあったっけ。
けど、明るくて人懐っこい子でもあった。
話をした感じ、性格はそんなに変わってなさそうだが……。
「う、うん。えっと……いろいろあって」
「そうなんだ」
なにか言い難いことなのだろう。
察した俺は深く聞こうとは思わなかった。
「でもなんでそんな中二病設定やってるの?」
「ちゅ、中二病はやめてよー。こういうの本当はもうやめたいんだから」
「そうなの?」
それにしては設定に拘っていたような気がする。
「そうだよー。わたしってほら、なんか冷たそうな見た目じゃない?」
「まあ……」
こうして会話をすれば明るくて人懐っこい感じとわかるが、外見だけ見るとクールビューティーな冷たい印象を受ける。
「だから素で誰かと話すとなんかガッカリされるんだよね。ひどくない?」
「あーそれはひどいね」
「でしょー。だからもう見た目通り冷たい女王様キャラでやってやる決めたら、それが定着しちゃって、やめづらくなっちゃったんだよー」
「そうなんだ」
気の毒なような自業自得なような、まあ大変なんだなと思った。
「あ、小太郎おにいちゃん連絡先を交換しよ。電話するから」
「あ、うん」
スマホを出して電話番号を交換する。
「うふ。じゃあわたしもう行くから。また会おうね。小太郎おにいちゃん」
「うん。あ、俺が仮面を被ってハンターやってるのは内緒ね」
「わかった。わたしが実はこんな性格ってのも内緒だからね」
「了解。あ、あと、俺に会ったってことは俺の家族には言わないでもらえるかな?」
「えっ? 小太郎おにいちゃん、もしかして行方不明から戻って来て家族には会ってないの?」
「うん」
「あ、そっか。会ってたら小太郎おにいちゃんが帰って来たことをわたしが知らないはずないか……。けど、どうして?」
「うーんなんというか……気持ちの整理がつかなくて、いつかは会いに行くつもりだけど今はちょっとね」
「そっか。うん、わかった」
「ありがとう」
「うん。それじゃー……っと、我は行く。達者でな」
「あ……うん」
漆黒の女王ディアー・ナーシングへと戻った無未は、黒い手に乗って行ってしまう。俺はその背に向かって手を振りつつ、去り際に無未が寂しいような悲しいような、そんな表情を一瞬だけ見せたのが気になった。
「漆黒の女王がまさかコタローの知り合いだったなんてね」
「うん。俺も驚いた」
小さかった無未ちゃんが立派になったものだ。主におっぱいが。
「あの人、中学卒業してからコタローが行方不明になってたって言ってたけど、なにがあったの?」
「えっ? いやそれは……」
「言い難いことなの?」
「いや、言い難いって言うか、きっと信じてもらえないから」
「信じるか信じないかは言ってみないとわからないでしょ? 言って」
「う、うーん……16歳のときに異世界に召喚されて魔王やってたって言って信じてくれる?」
「なにそれ? ラノベ?」
「ははは……確かにラノベみたいだね」
事実なのでしかたないが、ラノベの設定みたいな過去は自分で言っていて信じ難いと思う。本人がそうなのだから、他人が信じることなどまずないだろう。
「本気で言ってるの?」
「嘘だったらもっと信憑性のある嘘を吐くよ」
「それはそうだけど……」
と、アカネは俺へと近づき、
「うほぉっ!?」
ぎゅーと抱きついてくる。
俺の身体に当たって押し潰されるおっぱいの心地良い感触に頭が沸騰しちゃう。
「コタロー、本当のことを言いなさい」
「ほ、本当ですぅーっ! 本当に異世界で魔王をやってたんですぅーっ!」
「じゃあどうしてこっちへ戻って来たの?」
「向こうで命を狙ったり狙われたりする魔王の生活に嫌気が差して戻って来たんですぅーっ! こっちで就職して安全で安定した人生を送りたいからぁーっ!」
「……こうしてやるとコタローはわたしの言うことなんでも聞くし、異世界で魔王ってのは本当のことなの? 信じられないけど、でも本当だとすればコタローのものすごい強さに説明がつくかも」
そう言うとアカネは俺から離れる。
「はあ……」
「魔王だったのに童貞なの? 魔王なら女とヤリまくりでしょ?」
「ヤリまくりって……俺はそんなふしだらじゃないから」
「ふーん。意外と固いんだ。だから童貞なんじゃない?」
「それはまあ……そうかも」
「けど」
アカネの手がそっと俺に触れる。
「わたし的には高ポイントかも」
「ア、アカネちゃん……」
微笑むアカネに、俺は少しドキリとしてしまった。
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