第103話:Re:生理的にムリっ!

(※リリス視点)


「みてっ!!!ユラ!!」


「またあれよ!ほらあのっ!キモい赤いムシ!!!」


「ぎゃーーーー!またあのムシの相手?ほんとムリなんだけど!」


ミナさんとユラさんが抱き合いながら叫ぶ!!


私は膝をつきながら、その光景を眺める。


さっきまでは絶望的だったのに・・・


・・・


「この状況で、なんて人たちなの・・・」


・・・


「リリス!マーリ!シズク!生きてるー!」


ミナさんが叫び、私たちに向かって手を振る!!


さっきまで発狂していたはずのザリオンの動作がピタリと止まっている。


そして、マーリの前に立つ、シズクさんと、ユラさん&ミナさんを、人とは思えないカクカクとした動作で、気味の悪い角度で首を回しながら、交互に見つめている。


「うげーーーーーー!!!」


「ほんと生理的にムリーーーー!!」


「あれでしょ!腕とか伸ばしておっぱい触ってくるやつでしょ?」


ひとしきり、ザリオンをいじり倒した二人。


そして、ユラさんはミナさんに声をかける。


「ミナ先生、お願いします!!」


「ガッテン承知!!!」


ミナさんは大きく頷き、呪文の詠唱を始めている。


そして、地面に両手を当てて叫んだ!


「グランドシェイクーーー!!!!」


すると。


ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


大きな地響きと共に、ザリオンめがけて、複数の尖った岩の塊が、ものすごい勢いで地面から飛び出していく!


その岩の一つが、ザリオンの腹部に直撃し、ザリオンを空中に放り出した!!


その光景を横目に、ユラさんとミナさんが私に向かってダッシュしてくる。


違う方向からは、シズクさんに肩を支えられてマーリが向かってきた。


みんなが私の元に集まった。


「みんな、無事!!あいつ死なないでしょ!!」


ユラさんが声を荒げる。


「ええっ!何度も再生するんです!!」


「そしてあれは八大将軍の一人、ザリオンと名乗っていました!私は始めて対峙します!」


私は興奮を隠しきれず早口で説明する!


「エルフを操っていた奴は倒してきた。」


肩を貸していたマーリをそっと地面に座らせてシズクさんが話す。


「さすがー!」


シズクさんとミナさんがハイタッチする。


それを見て大きく頷くユラさん。


「とは言っても状況はかなりヤバイわ!八大将軍かはさておき、そのクラスの強者と想定すると、シトとムツキの力が絶対に必要よ!」


「さっき私たちも同じような奴と戦ってきたの!ミナの雷系がかなり効いていたわ!あの身体を構成しているムシを焼き尽くせば、再生能力も低下するみたい!」


「物理攻撃はあまり効果的ではないわね。炎や雷といった魔法中心でいくわ!」


「時間がない!まずは雷系のミナを中心に攻撃!そしてうちの炎系はシト!」


「大丈夫!あの子は必ず来る!それまで私たちだけでやるのよ!」


ユラさんはテキパキと私たちに指示を出す!


「マーリ!頑張ったわね!」


ミナさんがマーリにウインクする。


マーリは親指を立てて、ミナさんに向けてグッドのハンドサインをして見せた。


そして、私たちはザリオンに再び視線を送った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る