第60話:獄炎の悪魔
(※ユラ視点)
ムツキに回復魔法を施していた私に、多くの炎の羽が降りかかる。
私たちはムツキが咄嗟に出した防御壁のおかげで、炎の羽の直撃を逃れることができた。
そして、私とムツキはシトたちの元に向かった。
「えっ!まさかドルさんが・・・」
まさか!
あの炎の羽を!!!
目の前には黒く焼け焦げたドルさんが横たわっている。
「どいて!すぐに回復魔法を!」
私は、すぐさまドルさんの元に駆け寄り、回復魔法をかける。
「うぅっ、ユラか・・・」
ドルさんは
「すまん・・・、ローザ・・・、ローザを頼む・・・」
そうだ!ローザも派手にぶっ飛ばされている!
彼女の安否も心配だ!
「わかったわ!この後にすぐに向かう!」
私はドルさんの回復を続ける。
ヒドイ火傷・・・、
短期間での回復は正直難しい・・・
早くちゃんとした手当をしないと!!!
・・・
その時・・・
「シズクさん!!!!!!」
「なっ・・・なんで!!!!」
私の後ろで、シトとミナの叫び声が聞こえた。
「ぐっ!!!」
そして、シズクの呻き声が!
「シ・・・、シズク・・・」
振り向くとそこには炎を
「ごふっ・・・」
シズクは大量の血を吐き出し、苦しんでいる!
「まさか・・・」
「また変化したっていうのっ!!!」
目の前のスカイハイは人型のサイズになっている。
しかし、全身炎に包まれているその身体は、鳥の外観はもはや
ただの炎の塊が、人のカタチをとっているように映る。
両腕は、剣のように鋭く尖っており、脚というよりは燃え上がる炎の中に、ユラユラと人型の炎が燃え上がっているように見えた。
頭と思われる部分には鳥型の顔はなく、黒の吊り上がった目と、大きく開いた口のようなものがあるだけだ。
「うわああああ!!!」
シトが回転してハンマーを振り回す。
しかし、そのハンマーは確かにスカイハイの身体を捉えたはずだが、大きく空を切った!
スカイハイは、シズクの刺さっている腕を振り抜き、シズクを地面に放り投げる。
そして、次の瞬間・・・
スカイハイは目にも止まらぬ速さで、炎で包まれた剣のような尖った腕を振り抜いた!!!
ザシュッ!!!!
・・・
ゴロン・・・
・・・
「うそっ・・・・!!」
シトの右腕が地面に転がった!!!
「うわあああああああーーーー!!!!」
傷口の肩を抑えて地面にうずくまるシト!!
傷口が炎で焼かれている。
「シトーーーーー!!!!!!」
スカイハイは、シトには全く目もくれずに、一瞬でミナの後方に移動する。
その瞬間、ミナの腹部を炎の腕が貫き、大量の血しぶきを撒き散らした。
「ミナ・・・、ああっ・・・、そんな・・・・」
・・・
「キキキキーーーーー!」
・・・
スカイハイの大きく裂けた口から、けたたましい笑い声が聞こえる!
その時、ムツキの鋭い両腕のツメがスカイハイの腹部を貫いた。
ムツキの腕にだんだんと炎が燃え移る。
ゆっくりとムツキの方を振り向くスカイハイ!!
「そっ、そんな・・・もしかして物理攻撃が効かないの・・・」
ムツキも目を見開いて炎のスカイハイをみる。
ザシュッ!!!!
・・・
ドサッ!!
「う・・・そ・・・」
一瞬でムツキの長い両腕が切られて、地面に転がる。
その切り口からは大量の血が吹き出し、炎で燃え上がった。
スカイハイは、両腕を失ったムツキをさらに蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたムツキは、地面に何度も身体を打ち付け地面に伏した。
「ムツキッ!!!!!」
私とドルさんに近づいてくる、スカイハイ!
くっ!!!!!!!!
「うわあああ!!!エアリアルバースト!!!」
私はありったけの魔力を込めて、スカイハイめがけて風の魔力弾を放った!!
スカイハイは、かわしもせずに魔力弾を受け止めた。
「にげ・・・、逃げるんじゃ・・・」
ドルさんの声を無視して、寝ているドルさんの前に立ちふさがる。
「キキキキキーーーー!」
避けた口を開いて、けたたましい鳴き声をあげるスカイハイ。
ぐっ!!
やられる!!!!
・・・
その時、スカイハイの後ろから大きな叫び声が聞こえる。
あれは!!!!
「ダメっ!!!!逃げてー!!!!!」
私はありったけの声で叫ぶ。
崖の上の獣人・竜人との戦いを終えたのだろうか。
十数人のドワーフとアマゾネスたちがこちらに向かって走ってくる。
「逃げてーーー!!!!」
ドスッ!!!
・・・
・・・
熱い・・・・!!!
・・
「ぐっ!!」
私の太ももから炎が燃え上がる。そこには鋭い炎の腕が突き刺さっていた。
「ぐっ!!!!!」
私から、炎の腕を抜いたスカイハイは、迫り来るドワーフとアマゾネスたちに向き合い、けたたましい叫び声をあげる。
「ダメーーー!!!!!」
スカイハイの尖った腕の炎がさらに勢いを増して燃え上がり、その腕を大きく振り抜いた!
ゴオオオオ!!!
スカイハイの腕から放たれた炎の衝撃波が、ドワーフとアマゾネスたちを襲う。
彼らがいた箇所が大きく燃え上がった。
ダメ・・・
「ダメ・・・、そんな・・・!」
スカイハイは、私たちに向き直し、大きな口をさらに広げ、耳を防ぎたくなるほどの奇声をあげた。
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