第53話:恐怖の再来
-- 同時刻/シトとシズク --
「一体何が起こったんだ!!!」
僕とシズクさんは、合図の光が上がった後、作戦通りフレアドラゴンの背中から飛び降りた。
ユラさんの浮遊魔法のおかげで、無事に地面に着地することができた。
先ほど一閃の光がフレアドラゴンを貫き、その巨体は地面に落ちていった。
「ドルさんたちがをやってくれたようね。」
シズクさんが光の方向を見ながら
作戦では、僕とシズクさんが誘導隊、ユラさん、ミナさん、ゴレさん、ドワーフ隊がフレアドラゴンを地面に落とす。そして、地面ではローザさん率いるアマゾネス隊が最後のトドメを刺しているはずだ。
「シズクさん、ローザさんたちに合流しましょう!」
シズクさんはうなづき、僕たちはフレアドラゴンの落ちた方向に走り出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(※ユラ視点)
「ユラ!シズク!ご苦労じゃった!お主らは少し休んでおれっ!ワシらはローザの所に向かう!」
元の小柄な体型に戻ったドルさんが私たちに向かって叫ぶ。
「ムアは良い弟子を持ったのー!グッドじゃ!」
親指を立て笑顔を見せる。
「ごめんなさい!正直、身体が重くて・・・」
魔法刻印の力を解放した後、膨大な魔力量の放出と引き換えに極度の脱力感が身体を襲った。ミナも同じように息を切らしている。
「いくぞ!者ども!!」
「オウッ!!!」
マッチョさは幾分下がったドワーフ達が、隊列を組んで走り始める。
私はそれを見送った後、ミナと共に地面に座り込む。
「ミナ、これ!」
回復薬の入った小さいなビンをミナに手渡す。
「この刻印・・・、初めて使ったけど、なんなのこの力・・・」
ミナが回復薬を受け取り、中身を飲み干す。
この薬はドルさんがくれたドワーフ特製の回復薬だ。私もバッグからもう1本の回復薬を取り出し、中身を飲み干した。
私たちの身体を光が包み、身体のダルさがすぐに薄れていく。
「でも解放した後が問題ね。反動が強すぎるわ。」
ミナがうなづく。
「ふぅーー、いける?」
ミナがうなづいて立ち上がる。
その時、
・・・
・・・
「まったく余計な事をしてくれましたね。せっかくドワーフたちを絶滅させることができたというのに。」
私とミナは、ハッとして声の方に視線を送る。
そこには、鳥のような翼を生やした男が岩の上に立っていた。
体つきは長身でほっそりしており、銀色の髪は長く、鋭い目つきで私たちを見つめている。身体には羽毛のような体毛が生えており、足は肉食の鳥のようで鋭い爪が岩を掴んでいる。
その風貌を見ると、一瞬でヒューマンでないことがわかる。
何者???
いつからそこに???
「せっかくドラゴンを起こして、私は高みの見物を楽しんでいたのですが。もう、台無しです。」
そのモンスターは、呆れたポーズを大げさにして私たちを見つめる。
「なっ、何者よっ!!!」
ミナが、レイピアを構えて叫ぶ。
「何者?貴方達に教える義務はありませんが、まあいいでしょう。私は八大将軍が一人。鳥獣将軍スカイハイ。」
・・・
・・・
「八大将軍・・・、まさか・・・ガジュラと同じ・・・」
ミナと私の視線が合う。
「ガジュラ?・・・、ガジュラと言いましたか?まさか貴方たちが、ガジュラを倒したという・・・」
・・・
・・・
「まさか・・・」
・・・
「ふふふふ、あははははは!!!」
スカイハイと名乗るモンスターは、頭を抱えて狂ったように笑い出した。
「これは、これは!なんとツイていることか!探してましたよ!貴方たちを。」
「まあ、仮に違っていても、その名前を口にしたら生かしてはおけませんね。」
「ここで死んでもらいましょうか!」
スカイハイは私たちに向き合い、大きな翼を広げた。
「ミナ!!!!」
私はロッドを構え、ミナの方を見る。
私とミナはお互いの視線を合わせて、スカイハイと名乗るモンスターと向き合った。
ガジュラとの戦い・・・
あの時の恐怖がフラッシュバックする。
私の首筋を冷たい汗が流れた。
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