第42話:カプッとひと噛み♪

6日目の夜。


僕は、次々と飛びかかっている白ヘビたちを捕まえては離す、捕まえては離すを繰り返す。


バッ!シャッ!シャッ!


僕の腕と手が動く度に、風切り音が鳴る。


「僕の腕はヘビ!僕の腕はヘビ!」


ブツブツと独り言を呟きながら、ヘビたちを捕まえていく。


あれからムツキさんとヘビたちと、この体術をずっと練習していた。


昼間の練習がわりに使っていた大木は、7つの箇所だけ木の皮がめくれ、大きく削られている。


僕がヘビを捕まえる姿を、腕組みしながら見つめるムツキさん。


「あと一匹!!!!」


最後の一匹のひときわ大きい白ヘビ、お馴染みシロちゃんと対峙する。


ずっと練習に付き合ってくれた、今や僕の大事な友達だ!


シロちゃんは、頭を起こして大きく左右に揺れながら、舌をチロチロと出してタイミングを測っている。


シロちゃんの頭が僕にめがけて、目にも止まらぬ早さで飛びかかってきた。


途中で大きく動きを変え、僕の視界から一瞬消えるシロちゃん。


方向を変えて地面スレスレから、大きな口を開けて飛びかかってきた。


僕も負けじと手首をひねり、腕を伸ばす方向を変え、指をヘビの牙のように曲げた手を伸ばす。


シッ!!!!


僕の手がシロちゃんを捕まえる!!!


「やった!!!!」


それと同時に、


カプッ!!!


「ぐっ!!!!!」


「いったーーーーーい!!!!!!」


僕の手がシロちゃんを捕まえるのと同時に、シロちゃんが僕の大事な所に噛み付いている!!


「きゃああああああ!!!!!!」


僕は股間を抑えながら、その場に座り込んだ!


それを心配するかのように、僕の身体に巻きついて来るシロちゃん。


「大丈夫!少しかすっただけだから・・・」


僕は涙目になりながら、シロちゃんに触れる。


「シト、よく頑張りました!これで免許皆伝です。」


ムツキさんが手を叩きながら、僕の方に歩いてくる。


「はっ、はい!ありがとうございます!!!」


僕は股間を抑えながら、涙目でムツキさんを見つめる。


「じゃあ、見せて!」


「はい?」


「噛まれたところを見せて。」


「はいっ????」


「早く見せなさい!!!!」


「嫌ですっ!!!!!」


ゾロゾロとヘビさんたちが僕の身体に巻きつき自由を奪われる。


「あーーー!!!!!」


ヘビ達で見えないけど、なんだかズボンが脱がされた感覚がする!!!!


「ムツキさん!!!ダメです!!恥ずかしいです!!」


ダメだ!


丸見えだ!!!!!


恥ずかしい!!!


「大変!シト君のヘビさんから血が出ている!!!消毒しないと!!!」


・・・


っ・・・!!!!


この・・・・


・・・


この感覚は・・・・


何かが僕の大事なところをペロッとした感覚が走った・・・。


「あっ・・・・」


未知の・・・・


感覚・・・・


・・・


僕の大量の鼻血を吹き出した。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


--- 最終日 ---


昼間は弱いはずのムツキさんとシロちゃんが起きている。


「行くのね、シト・・・」


ムツキさんは少し寂しそうだ。


「でも、私もそろそろお仕事に戻らなくっちゃ。」


シロちゃんが、僕の頰をチロチロと舐める。


「ムツキさん、シロちゃん、本当にありがとうございました!」


僕は二人に大きく頭を下げた。


「シト・・・、君とはまた必ず会える気がするの・・・。」


「というか、私がまた君の匂いを辿たどって会いに来るわ。それまで必ず生きているのよ。」


ムツキさんが僕の頭を撫でる。


「はいっ!ムツキさんもご無事で!」


「あの・・・、最後にいいですか?この必殺技の名前は・・・?」


「名前か・・・、そんなものはなかったわ。シトが自由につけていいわよ。」


「ええっ!!!いいんですか???では・・・」


・・・


・・・


「じゃあ、ムツキ・スペシャルでどうでしょう?」


「ふふふっ・・・、却下。」


「次に会う時まで、もう少しステキな名前を考えておいて。」


「最後に・・・」


ムツキさんが僕をそっと抱きしめる。


ムツキさんの大きな胸に僕の顔が埋まる。


とてもいい匂いだ。


そしてなんてやわらくてモチモチなんだ!!!


僕がムツキさんの胸のモチモチをこっそり堪能していると・・・


・・・


カプッ!!!


「イテッ!」


ムツキさんは僕を身体から離した。


ムツキさんの口からは少し血が流れている。


「あああ・・ん。シトの・・・本当にお・い・し・い・・・」


ムツキさんは指で唇をなぞり、血のついた指をそのまま口に含んだ。


ムツキさん、僕に噛み付いた????


そんなことより、なんてエッチな光景なんだ!!!


僕は自分の指を舐めているムツキさんに見惚れてしまう。


「シト、またいつか・・・」


ムツキさんは僕にウインクして、あっという間に姿を消した。


・・・


・・・


僕はその場に立ち尽くす。


「不思議な女性だったな・・・、また会えるといいな・・・」


・・・


・・・


そして、勢いよく振り返り、アマゾネスの集落に向かって走り出した。


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