第87話:魔剣「火凛・改」
「シト、私はあの三体のダークエルフの相手をするわ!」
「スケルトンドラゴンはやれる?」
「はっ、はいっ!なんとかしてみます!」
ムツキさんは僕に向かって大きく頷いた。
「行くわよ!!!」
「はいっ!!」
ムツキさんは、ダークエルフの方に向かい、僕はスケルトンドラゴンへ向かって走り出した!
「スケルトンドラゴン!そのクズを焼き殺せ!」
遠くから、ダークエルフの叫び声が聞こえる。
その声に反応するかのように、咆哮をあげる三体のスケルトンドラゴン。
その三体に向かって猛スピードで駆け寄る。
ドワーフの長、ドルスキンさんが改良してくれた、"
一体のスケルトンドラゴンに向かって、剣を突くように構える。
「燃えろ!!火凛ーー!!!!」
僕の掛け声と共に、火凛の刀身が真っ赤に燃え上がり、炎の剣が出来上がった!
続けて火凛に命ずる!
「射貫け!火凛ーーー!!!!」
火凛を前方に突き出す!!!
スケルトンドラゴンまでの距離はまだ遠い!
しかし、改良された火凛の新しい能力が発動する!!!
前に突き出した火凛の剣先に炎が集まり、スケルトンドラゴンに向かって炎の刃が発射された!!
ゴオオオオッ!!!
大気を帯びてさらに巨大化した炎の刃は、一体のスケルトンドラゴンに向かい直撃した!!
ドゴオオオオン!!!
スケルトンドラゴンが炎の刃を受けて爆発する!
その間を縫うように走り、もう一体のスケルトンドラゴンに近付く!
スケルトンドラゴンの巨大な脚が、僕に向かって振り下ろされ、間一髪のところで交わして、火凛を振り抜く!
「くっ!!!」
スケルトンドラゴンの脚が地面をえぐり、その破片が僕の額に直撃する。
額に強烈な痛みが走るが、それでも構わず火凛を振り抜く!!
「燃えろ!火凛ーーー!!!」
スケルトンドラゴンの1本の脚を切り裂くと、火凛から燃え上がる炎がスケルトンドラゴンを包む!
回転した勢いで、もう1本の脚の近くに素早く移動して、巨大な脚に向かって刃を振り抜く!
切り裂いた箇所から、再び炎が燃え上がる!!
火力もこれまでの火凛とは比べ物にならないぐらいに上がっている!
スケルトンドラゴンを形成していた骨はボロボロと崩れ、その大きな巨体を炎が包んでいく。
「射貫け!火凛!!!!」
崩れゆくスケルトンドラゴンに向かって炎の刃を放つ!!
スケルトンドラゴンは、炎に包まれながら、ガラガラと崩れ落ちていった!
つっ!!!
右腕に強烈な痛みが走る!
火凛から発せられる火力はあまりにも強く、僕の右腕も炎で焦がしている。
「熱いっ!!!」
でも、やれる!!
「ドルさん、ありがとうございます!!!」
「二体目!!!!」
あと一体を探して周りを見渡すが姿がない!!
嫌な気配を察して後ろを振り向く!!
・・・
「しまった!!!」
後ろを振り向いた、その時!
・・・
目の前には、紫の炎を蓄えたスケルトンドラゴンの巨大な口が待ち構えていた!!!
間に合わない!!!!
「燃えろ!火凛!!!!!」
スケルトンドラゴンの口に向けて、炎の刃を振り抜いた!!!!
ドゴオオオオン!!!!!
「うわあああああああああ!!!!」
目の前で炎のブレスと炎の刃が激突し、スケルトンドラゴンの口で大きく爆発する!
その爆発に巻き込まれて、僕の身体も爆風で吹っ飛ばされた!!!!
遠くまで吹き飛ばされて地べたを転がる!!
「アツッ!!!あつっ!!!あつーーーい!!!!」
身体についた炎を慌てて叩いて消す!!!
僕の身体からは黒い煙が舞い上がっている。
改めてスケルトンドラゴンの方に視線を向けると、そこには炎に包まれて、崩れ落ちる三体のスケルトンドラゴンの姿があった。
最後の一体は、首から上を爆発で吹っ飛ばされて、ガラガラと身体が崩れ落ちている。
「やったのか・・・」
・・・
そうだ!ムツキさん!
ムツキさんは!!!
僕の視線がムツキさんを捉えた。
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